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ハーマイオニー役エマに卑劣な攻撃―「反ユダヤ」の批判にユダヤ人達が反論

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
エマ・ワトソンさん(写真:REX/アフロ)

 映画『ハリーポッター』シリーズでのハーマイオニー役ほか、数々の映画に出演し、世界的な人気女優であるエマ・ワトソンさんが、「反ユダヤ主義者」と中傷されたことが、海外で話題となっている。ことの発端は、ワトソンさんが自身のインスタグラムでのパレスチナに連帯する投稿。これに反発したのが、イスラエル国連大使のギラド・エルダン氏や同国元国連大使のダニー・ダノン氏ら。とりわけ、ダノン氏はワトソンさんが「反ユダヤ主義者」だとレッテル貼りした。だが、当のユダヤ人達からも、これらのワトソンさんへのレッテル貼りに批判の声が上がっている。こうした、ワトソンさん支持のようなユダヤ人の人々の変化は、米国、そして日本の対イスラエル外交のあり方にも変化を及ぼすかもしれない。

○ワトソンさんは「反ユダヤ」なのか?

 結論から言えば、ユダヤ人の人々を差別し攻撃する「反ユダヤ主義」と、イスラエルが行なっているパレスチナの人々への様々な人権侵害や国連決議や国際人道法に反する行為に対し抗議することは、全く異なるものだ。だが、今回、ダノン氏らがワトソンさんに行なったレッテル貼りは、シオニズム(ユダヤ人による国家を建設することにより、迫害を逃れるためのユダヤ人の安住の地を得ようとする政治運動)の強硬派達が、これまでも繰り返し行い、多大な成果をあげてきた、言論封殺の手法である。

 ナチスによるユダヤ人を始めとするマイノリティーの大虐殺「ホロコースト」が、決して許されない「人道に対する罪」であることは、筆者も含め世界の大多数の人々にとってのコンセンサスだ。とりわけ、欧米社会ではホロコーストへの反省から、反ユダヤ主義を決して許さないという風潮が色濃くある。そのこと自体は望ましいものである反面、イスラエルによるパレスチナ占領及び人権侵害に対し、

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フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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