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法務省・入管こそヘイトクライム機関-医療ネグレクト、給食に異物、職員の暴力etc 織田朝日さんトーク

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
東京入管前に難民の不当拘束、人権侵害をやめろと訴える人々 筆者YOUTUBEより

 迫害から逃れて来た難民や、日本に家族がいるなど、母国に帰るに帰れない事情を持つ在日外国人の人々。そうした人々を個々の事情を十分に鑑みることなく、法務省・出入国在留管理庁が次々に収容施設に「収容」し、かつ被収容者に医療を受けさせないなど、重大な人権侵害を行っている。そこで筆者は、在日外国人の人々に寄り添い、法務省・入管の問題に取り組み続けている織田朝日さんを招き、今年5月に勉強会を開催した。本稿は、その内容をまとめたものである。筆者と織田さんとのやり取りの書き起こしは2万字以上に及んだため、2,3回に分割して配信する。

 本稿の主な内容は以下のようなもの。

・国連から9回も改善勧告

・オリンピックのための難民狩り

・難民認定審査の改悪

・入管職員の罵詈雑言、虐待

・「懲罰房」でのストレス

・まともな食事を与えない

 以下、講演録より。

○国連から9回も改善勧告

志葉:土曜日の夕方という、いろいろ忙しい時分に来ていただいてどうもありがとうございます。ジャーナリストの志葉玲でございます。今日は、この間、問題になっている法務省および入管庁の、その人権問題について、この問題をずっと長いことやっていらっしゃる織田朝日さんを招いて勉強会をさせていただきます。

今回この勉強会をやろうかなと思った一つのきっかけは、昨年末にいわゆる改正入管法というようなことで、外国人研修生の問題が結構いろいろ議論されたわけなんですが、一方でそもそもの問題である、在日外国人に対しての、いわゆる難民を含めてなんですが、出入国在留管理庁、いわゆる入管の扱いというのがあまりにもひどいのではないかと。そこら辺のことについては、残念ながら野党側も時間がなかったこともあり、あんまりというか、ほとんど議論にならなかったんですよね。

ただし、今回の呼び掛け文にも書いてあるように、実は日本の入管行政に関しては、国連の人権関連の委員会から過去9回も改善の勧告が出ているわけです。そういった問題をいつまでほったらかしにしているのかというようなことはありますし、今年夏に参院選、場合によっては衆院選、衆参同日選挙というようなこともまことしやかにいわれていますけれども、やはり与党にしても野党にしても、そんな国連から9回も勧告を受けているような入管行政をこのままほっといていいのかと。そのまま、入管行政をこのままにしておいてオリンピックを迎えると、そんなことが許されるのかというわけです。

筆者(左)と、織田さん。 撮影:藍沙
筆者(左)と、織田さん。 撮影:藍沙

そういうようなこともありまして、今後私としては、織田さんもそうですし、関連のこういったことをやっている団体のかたがたとも相談しながら、与党および野党に対して、夏の参院選あるいは衆院選の一つのテーマとして、オリンピックを迎えるに当たって、口先だけで外国人ようこそと言っているわけなんですけど、レイシズムなヘイト行政をやっているわけなんです。ヘイトクライムとかヘイトスピーチとかよく言うんですけれども、法務省、入管自体が、あれがヘイトクライムじゃないかと。ヘイト組織じゃないか、ヘイト行政じゃないかと、そういう問題があるわけです。そういったことに関して、現場でいろいろ制度だとか法律とかあるわけなんですけれども、でも実際に重要なのは、それがどのように運用されているかということなんです。そういったことは、恐らく私が知っている限り、最も日本で詳しい方の一人だと思うんですけれども、織田さんが長年やっぱり東京入管に通い詰めていらっしゃいまして、そういった現場で見聞きしたお話から、われわれが考えていくヒントがあるんじゃないかなと思います。それでは、ちょっと前口上が長くなりましたが、織田さん、よろしくお願いします。

織田:よろしくお願いします。どうも、皆さま、こんにちは。織田朝日と申します。よろしくお願いします。ちょっと今緊張してて、始まりがいつも私駄目で。

志葉:エンジンかかってくるとマシンガントークになるんですよね。

織田:それでなんか、こんな感じなんですけれども、なんていうか、収容されている方の声をやっぱり届けることが自分の使命だと思っておりますので、それはどうしてもやっぱり伝えなければいけないので、ちょっと頑張ろうと思いますので、最後までお付き合いください。では。

志葉:最初にお伺いしたいんですけど、皆さん多分TwitterとかFacebookとか見ていらっしゃったかと思いますけど、東京入国管理局の収容所に、外国人のかたがたが拘束されている、大勢拘束されているということを割と基本情報としてご存じの人手挙げてください。ほぼ全員ご存じですよね。じゃあそういう前提で。

○オリンピックのための難民狩り

織田:じゃあ結構皆さまのほうがひょっとしたら私より知っているかもしれないんですけど、そういうときは遠慮なく言ってください。まず、今収容の問題がニュースでだんだん明るみに出ているんですよね。それに対して、なぜこうなっていくのかということなんですけれども、入管の歴史って結構古いんですよね。大村入管から始まって70年以上やっているんですけれども、そういう話はあんまり、割愛して、2015年あたりから、法務省が収容を強めようという通達を出したんです、入国管理局に。それはなぜかというと、やはり東京オリンピックが決定したというのがきっかけなんですね。もちろん大きく言えば東京オリンピックがたくさん、外国人狩りの理由ではあるんですけれども、オリンピックのせいなのか、オリンピックを言い訳としているのかというところまでは、ちょっと私にもはっきり分からないし、結構弁護士さんの方もそれはどっちなんだろうねという話ではあるんです。

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フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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