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希望の党「奴隷契約書」の内容に批判続出―脱原発はどこへいった?

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
新党「希望の党」設立会見で発言する小池百合子代表。(写真:アフロ)

 小池百合子・東京都知事が代表を務める新党「希望の党」が、衆院選の候補者と取り交わした政策協定書。その内容に「これでは、むしろ奴隷契約書」「ブラックすぎる」等の批判が続出している。

「公約に従え、批判はするなと書かれてますが、国会は議論の府。国会議員から議論の自由を奪ってどうするのでしょうか」。上智大学の中野晃一教授(政治学)は手厳しく批判する。「憲法改正を支持しろとも書かれていますが、憲法のどこをどう変えるのかの説明もなしに支持しろというのは、無茶苦茶です。その上、金額も書かずに金をもってこいと。まるでブラック企業。これでは政策協定書ではなく、奴隷契約書です」(中野教授)。

希望の党の政策協定書(原案)。 出典:希望の党
希望の党の政策協定書(原案)。 出典:希望の党

 希望の党の政策協定書には、安保法制や憲法改正についての言及、そして大きな争点にはなっていない外国人参政権への反対はあるが、同党設立の際、大きく報じられた「脱原発」の文字はない。小池代表の語る「原発ゼロ」がどこまで本気なのか疑問を持たざるを得ない内容だ。昨日3日の記者会見で小池代表は「2030年を目処に(原発を)フェードアウトを考えるのも国家の選択の一つ」と語りつつ、「原子力規制委員会が判断した(原発)再稼働に異論を唱えるつもりはない」と述べ、即時脱原発へとは舵を切らないことも明らかにした。

 希望の党の政策協定書に対しては、ツイッターなどネット上でも、疑問を呈する声が広がっている。言論統制を強いるような体質や、候補者に金を差し出せという姿勢への批判の他、これまで安保法制に強く反対しておきながら、希望の党に合流した民進党の前議員らが「踏み絵」を踏んだことへの批判もあった。

(了)

 以下、識者やジャーナリストらのツイッターでの反応。

2017/10/4 14:43 加筆

流出した希望の党の政策協定書の原案は、その後、修正が加えられた。

現在は、以下のようなっている。

 1、希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。

 2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。

 3、税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての国民に行き渡る仕組みを強化すること。

 4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。

 5、国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること、および、いわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き上げを凍結すること。

 6、外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。

 7、政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。

 8、希望の党の公約を順守すること。

 9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。

 10、選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。

出典:希望の党 政策協定書より

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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