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【森友学園】安倍昭恵夫人釈明、江田民進党代表代行が論破―谷氏独断あり得ない、証人喚問求めていく

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
安倍首相と昭恵夫人。森友問題は「アッキード事件」とまで揶揄される様相に(写真:ロイター/アフロ)

森友学園への国有地がタダ同然の安値で払い下げられた問題は、安倍晋三首相のパートナーである安倍昭恵氏の関与が焦点となってきた。田中角栄元首相の逮捕につながったロッキード事件(1976年)にかけて「アッキード事件」とまでネット上や野党議員から言われる様相に。そんな中、23日に昭恵氏が自身のフェイスブックで、籠池泰典氏の証人喚問をうけてのコメントを投稿したが、それは身の潔白を証明するどころか、さらに疑いが濃くするものだった。

〇森友学園へのFAX、谷氏の独断はあり得ない

昭恵氏のフェイスブックでの投稿の最大の問題は、当時、首相夫人付きの官僚であった谷査恵子氏から森友学園に送られたFAXについて、昭恵氏がその関与を否定していることだ。かつて通産官僚として、総理秘書官を務め内閣参事官室(現・総務官室)にいた経験を持つ江田憲司・民進党代表代行は、自身のウェブサイトでのコラムで谷氏のみの判断であることは、あり得ないと指摘をしている。

こういう国有地の売買をめぐる案件で、経済産業省出向の一職員が、彼女の単独の判断で、意思で、本来、財務省所管の案件で連絡調整することはあり得ません。その権限も力も、彼女自身にはない。安倍夫人を含む官邸内の誰かの指示とみるのが普通でしょう。特に財務省という役所は、自分の専管事項について、官邸の職員といえども他省庁の役人が容喙(「ようかい」横から口出しする)をしてくることについては極力嫌う役所ですから、そこには、昭惠夫人、あるいは政務担当総理秘書官、あるいは経産省出身の総理秘書官(彼らから財務省出向の秘書官に依頼したことも考えられる)の指示に基づいて動いた、だからこそ、ああいうファックスのやりとりもできたと解するのが自然なわけです。

出典:江田憲司・民進党代表代行のコラム

上記の「政務担当総理秘書官あるいは経産省から出向している総理秘書官」とは、今井尚哉・政務担当総理秘書官や宗像直子・総理秘書官のこと。24日の会見で江田代表代行は今井、宗像両氏の喚問も視野に入れている意向を示した。

〇フェイスブックではなく、証人喚問の場で説明必要

明恵氏の23日の投稿は、彼女の他の投稿と全く文体が異なり、官僚用語が多用されていることから、「代筆されたものではないか」と指摘する声も、元検事の郷原信郎・弁護士をはじめ多々ある(関連情報)。そもそも、証人喚問での証言に対し、フェイスブックのコメントで返してよいのか、という批判もある。テレビ朝日『報道ステーション』で、コメンテーターの後藤謙次氏は、「籠池は偽証罪の恐れの中で発言。打ち消す側もリスク付きで語らないと。フェイスブックのコメントは証拠になり得ない」と指摘した。政府与党は、明恵氏の喚問に反対しているが、世論調査でも安倍政権の説明に納得していないとの意見が圧倒的に多い。昭恵氏の証人喚問におうじるべきだろう。

(了)

以下、安倍昭恵氏のフェイスブックでの投稿全文。

https://www.facebook.com/akieabe/posts/10155122586026779?pnref=story

本日の国会における籠池さんの証言に関して、私からコメントさせていただきます。

1)寄付金と講演料について

私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません。この点について、籠池夫人と今年2月から何度もメールのやりとりをさせていただきましたが、寄付金があったですとか、講演料を受け取ったというご指摘はありませんでした。私からも、その旨の記憶がないことをはっきりとお伝えしております。

本日、籠池さんは、平成27年9月5日に塚本幼稚園を訪問した際、私が、秘書に「席を外すように言った」とおっしゃいました。しかしながら、私は、講演などの際に、秘書に席を外してほしいというようなことは言いませんし、そのようなことは行いません。この日も、そのようなことを行っていない旨、秘書2名にも確認しました。

また、「講演の控室として利用していた園長室」とのお話がありましたが、その控室は「玉座の間」であったと思います。内装がとても特徴的でしたので、控室としてこの部屋を利用させていただいたことは、秘書も記憶しており、事実と異なります。

2)携帯への電話について

次に、籠池さんから、定期借地契約について何らか、私の「携帯へ電話」をいただき、「留守電だったのでメッセージを残した」とのお話がありました。籠池さんから何度か短いメッセージをいただいた記憶はありますが、土地の契約に関して、10年かどうかといった具体的な内容については、まったくお聞きしていません。

籠池さん側から、秘書に対して書面でお問い合わせいただいた件については、それについて回答する旨、当該秘書から報告をもらったことは覚えています。その時、籠池さん側に対し、要望に「沿うことはできない」と、お断りの回答をする内容であったと記憶しています。その内容について、私は関与しておりません。

以上、コメントさせて頂きます。

平成29年3月23日 

安倍 昭恵

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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