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昭和天皇をファシズムとする動画掲載でウクライナ公式アカウントが炎上→修正して謝罪へ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
当初掲載されていた動画の内容。Twitterより

 ウクライナ公式Twitterアカウントが、日本の昭和天皇の写真をファシストだと批判する動画を掲載していたことがわかり4月24日に炎上、同日に謝罪して修正した動画を再公開しました。

ヒトラー、ムッソリーニと昭和天皇を並べる

 炎上した動画は2022年4月1日に、「我々はラシズム(ロシアの統治体制)と戦わなければいけない」とのメッセージとともに公開されたものです。

 動画内では「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」のメッセージとともに、ドイツのアドルフ・ヒトラー、イタリアのベニート・ムッソリーニ、そして日本の昭和天皇の写真が並んで掲載されていました。

 当初は発見されていなかったのか話題になっていませんでしたが、4月24日未明から日本人からの批判が大きくなり、炎上状態となりました。

ウクライナ公式アカウントが動画を削除。修正して謝罪へ

 これを受けてウクライナ公式Twitterアカウントは同日に動画を削除。

 昭和天皇の写真を削除し、ヒトラーとムッソリーニのみを掲載する内容に修正した動画を再公開し、そのうえで「以前のバージョンの動画に誤りがあったことを深くお詫びします。日本の友好的な人々を不快にさせるつもりはありませんでした」と謝罪しました。

 なお、佐藤正久参議院議員によるとこの件について日本は外務省を通じて抗議したとのことです。

日本と海外の認識の違いによる問題、今後も起きるかも?

 今回の事例は「昭和天皇」でしたが、ウクライナ関連では以前も「真珠湾攻撃を思い出してほしい」といった発信がウクライナ側からされたことにより、日本のネットで騒がれるという事例がありました。

 「真珠湾攻撃」はアメリカ連邦議会での演説のためその国にあった話をしていたのだと判断できますが、重要なことはアメリカでは「真珠湾攻撃は卑怯なこと」、欧州では「昭和天皇はヒトラーとムッソリーニに並ぶ人物」であると広く認識されているであろう点です。

 我々日本人が受けてきた社会教育、そして広く持っている社会認識と、海外の人々の認識には大きく違うところがあり、その違いが今後も同じような摩擦を引き起こし、騒ぎとなることが予想されます。

 それについて抗議するのか、海外にあわせるのか、スルーするのか、様々な選択肢が取れますが、重要なことは「今後も起きること」だと認識し、すぐに怒らず冷静な対応をすることだと筆者は考えます。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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