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指原莉乃さん「検察庁法改正ハッシュタグ依頼あった」はミスリード。実際はツイッター上での返信レベルの話

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
拡散しているツイート。記事執筆時点で6,000RT。筆者キャプチャ

 指原莉乃さんが5月17日に放送されたテレビ番組『ワイドナショー』で、5月10日ごろにネット上で話題になっていた「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをツイートして欲しいとの依頼があったと語っていたとする情報が拡散しています。

 しかし、この「依頼があった」はミスリードです。

拡散させているのは悪質まとめサイト

 拡散元となっているまとめサイト『Share News Japan』は、同番組を観たと思われる人のツイートを引用するかたちで次のように書いています。

「ハッシュタグの依頼もあったけど、私はそこまでの信条を持てなかったのでつぶやかなかった」

「相関図みたいなのがあるけど、どちらの意見も聞かずに『ヤバい』ってやっちゃうのは違うなって思った」

「でも政治に関心を持つきっかけになったらいいんじゃないかと思う」

出典:【検察庁法改正】指原莉乃さん「ハッシュタグの依頼あった」「私はそこまでの信条を持てなかったのでつぶやかなかった」

 しかし、指原莉乃さんは「依頼があった」とは言っていません。

「検察庁法改正案についてどう思うんですか?」という話

 問題の部分のやり取りを書き起こしました(敬称略)。

東野幸治「ちなみに『Twitter』とかで指原さんも、ハッシュタグお願いしますみたいなんくるんですか?」

指原莉乃「きてました。『どう思うんですか?』って。だけどやっぱり私はまだそこまでの、固い信念を持つほど勉強できてなかった」

東野幸治「なるほど。なるほどなるほど」

指原莉乃「だから『Twitter』を書いてる人がみんながみんなまったく勉強してないとはまったく思わないです。もちろん勉強したうえでこれを書いてる人もたくさんいると思うんですけど、もしかしたら、なんかたった一人の言ってることを信じて、書いてる人もいるんじゃないのかなって思っちゃいます」

出典:5月17日放送『ワイドナショー』より

 読めばわかりますが、「依頼があった」とは言っていません。

 言葉遊びのような話ではなく、『Twitter』でファンやほかのユーザーから「ハッシュタグをツイートしてください」や「どう思ってるんですか?」と言われた程度の話であり、なんらかの団体などから依頼されているようなものではありません。

 実際、『Share News Japan』から引用されているユーザーも「依頼があったとは言ってないので、ファンからとか言われたんじゃないですかね?なんとなくそんなニュアンスだったような・・・」と「依頼があった」とは言ってないとしています。

 指原さんが話していないことをタイトルに持ってくるのはミスリードだと言えます。

Twitterで「お願いします」はあったか?

 ついでに調べてみたところ、指原さんにTwitter上で「検察庁法改正のハッシュタグをツイートして欲しい」とお願いするようなやり取りはいくつかありました。

 ただしこれらも数えられる程度のものであり、いずれも個人によるツイートと推測できる内容です。

 情報の拡散とともにうわさされているような「特定の団体からの依頼」は確認できませんでした。

 『Share News Japan』は過去にもグレタさんの母が「娘は二酸化炭素が肉眼で見える」と比喩表現で話したことを切り取り報道したデマ中国人が日本の健康保険に悪乗りして新型コロナウイルスの治療を目的に押し寄せるデマを取り上げたことがあります。

 ぶっちゃけた話をすると「このまとめサイトの情報を信じないで欲しい」というのが筆者の本音です。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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