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ブロガーHagexさん刺殺事件、『低能先生』と呼ばれた男に懲役18年の有罪判決「理不尽で身勝手」

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
判決の出た福岡地裁。筆者撮影

 昨年6月に福岡の起業支援施設で、インターネット上での一方的な恨みから相手をナイフで30回以上刺して殺害したなどとして、殺人や建造物侵入などの罪に問われていた男(43)に対し、懲役18年(求刑懲役20年)の有罪判決が言い渡されました。

「(自分の定義した)集団リンチをやめさせるためだった」

 この事件の被告人は、株式会社はてなが運営するインターネットサービス上で、自分の定義した「集団リンチ」をしていると考えた相手に対して「低能」、「ゴミクズ」、「死ねばいい」といった罵倒を数年に渡って繰り返していました。

 被告人のアカウントは罵倒行為により凍結されるものの、新しいアカウントを取得して変わらずに罵倒を繰り返すことから、同サービス上で被告人はほかのユーザーから罵倒の言葉をとって『低能先生』と呼ばれていました。

 なお、筆者が傍聴で聞いた被告人の供述によると「低能」は「馬鹿なことを言うな」の意味、「ゴミクズ」、「死ねばいい」は「集団リンチをやめろ」の意味だったとのことです。絶対に相手に伝わらないと思いました。

 これまでの公判で被告人は、被害者のブログが「集団リンチをそそのかしており」、長年続けてきた罵倒行為について被害者が「運営への通報」や「運営会社は業務妨害で提訴するべき」と呼びかけたことから、「自分も集団リンチの被害者になった」と考え、犯行に至ったと語っています。

 大手メディアの報道では理解しやすいためか「ネット上のトラブルがあった」、「やりとりで恨んでいた」と説明されますが、実際は一方的に罵倒し、恨みをもったという身勝手な犯行です。

裁判長「理不尽で身勝手な犯行」

 20日の判決で福岡地方裁判所の岡崎忠之裁判長は「強固な殺意にもとづく計画性の高い犯行であり、客観的にみれば被害者は罵倒行為を通報したに過ぎない。身勝手で理不尽と言わざるを得ない」と指摘。

 被告人に懲役18年を言い渡しました。

 判決に対し弁護人は「被告人自身は(以前の)公判で『控訴しない』と語っていたが、まだ結論は聞いていない。接見してから決めることになる」と話しました。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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