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常磐道あおり運転暴行の同乗女性として根拠なしに特定人物の名前が拡散。名前を出された女性は否定

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
名前を出された女性は自身の『Facebook』で否定。筆者キャプチャ

 常磐自動車道で起きた「あおり運転暴行」事件の容疑者と同乗していた女性だとして、特定の人物の名前(以下、被害女性)が『Twitter』やトレンドブログを中心に拡散しています。

 しかし、この被害女性が車に同乗していたという情報に根拠はありません。

初期に拡散していたユーザーはアカウントを削除

 明確な情報元がないため、どのアカウントが最初に「同乗女性はこの人物である」と投稿したのかまでは突き止めきれていません。

 ただ、『Twitter』での拡散初期のころに「血染めの由乃 (@yuno_die)」や「烏 (@cornix96)」を名乗る人物が被害女性を同乗者だとした情報をまとめており、その投稿が多くのトレンドブログに掲載されていることまではわかりました。

 上記のユーザーはどちらもアカウントを削除してネットから消えており、彼らの投稿を根拠にした情報の信ぴょう性はなくなっていると言えます。

顔と服装が一致?→一致してません

 また、同乗女性と被害女性が同一人物である根拠として、「顔と服装が一致している」という指摘も多くあがっていました。

 顔は画質の問題や写真(動画)の角度から判断が分かれるところなので(私刑をしたいユーザーは「似ている」と言い張ると思うので)ここでは取り上げませんが、服装は一致していません。

根拠としてTwitterで拡散している被害女性の服装(左・インスタグラムより筆者キャプチャ。モザイクは筆者加工)と同乗女性の服装(右・YouTubeのANNnewsCHより筆者キャプチャ)
根拠としてTwitterで拡散している被害女性の服装(左・インスタグラムより筆者キャプチャ。モザイクは筆者加工)と同乗女性の服装(右・YouTubeのANNnewsCHより筆者キャプチャ)

 同乗女性が車から下りてきたときの映像(1分53秒あたり)を見ればわかりますが、ツイートで拡散している写真とボトムのデザインが一致していないことは明らかです。

被害女性は『Facebook』で関係を否定

 名前を出された女性は、自身の『Facebook』で「起きたら犯罪者扱いされててびっくりですが完全に事実と異なりますので無視してください」と、「あおり運転暴行」事件の容疑者との関係を否定しています。

 また、心配しているであろう知人のコメントに「警察行ってきます」とも返信しており、同乗女性である可能性はゼロに近いと思われます。

 この件について被害女性にお話を伺ったところ「警察には相談しましたが、事件にならないと動けないそうです。そのため、まずは私が営んでいる事業のホームページ上で声明文を掲載する準備を弁護士に進めてもらっています」とのコメントも得ました。

根拠なしにネット私刑は明らかな間違い

 「あおり運転暴行」事件の容疑者については、その名前が報道される前にも『5ちゃんねる(2ちゃんねる)』の書き込みから「名前は金村竜一ではないか」という情報が拡散していました。

 しかし、その名前ではなかったことは報道ですでに皆さん知っていることでしょう。

 事件の犯人を許したくない。罰を受けるべきだ。との気持ちは理解できますが、根拠のない情報をもとにネット私刑(リンチ)をすることは絶対に間違っています(根拠があっても許されることではありませんが)。

 被害女性を同乗女性だとするツイートを拡散・投稿している人は、今からでもそれを取り消すべきです。

2019年8月17日21時13分追記

 被害女性のコメントを追記しました(「被害女性は『Facebook』で関係を否定」の段落)。

2019年8月18日9時7分追記

 被害女性本人による声明が発表されました →「あおり運転暴行事件のガラケー女」デマ流された笹原えりなさん会社HPの声明で疑惑否定。法的措置も検討

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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