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Twitterで映像の一部を切り取ったデマの拡散が相次ぐ。一次ソースの確認を

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
鯉の大量餌やり。事実は安倍総理が行ったためトランプ大統領はその真似をした(写真:ロイター/アフロ)

 SNS『Twitter』でマスコミ報道などの映像の一部を切り取って画像化し、誤った情報となったニュースが数万人単位で拡散される事態が相次いでいます。

トランプ大統領が鯉の餌をまとめて落とした→先に安倍総理が行った

 まず取り上げたいのが11月6日、東京・迎賓館での安倍総理とトランプ大統領の鯉への餌やりについてです。

 こちらはYahoo!トピックスにも取り上げられたため訂正情報をご存知の方も多いと思いますが、「トランプ大統領が升をひっくり返して鯉の餌を大量に入れた」のは事実ですが、「先に安倍総理が升を振って鯉の餌を大量に入れた」ためトランプ大統領はそれを真似したかたちです。

 トランプ氏の「豪快」な餌やり、ネットで怒りの声生む (AFP=時事) - Yahoo!ニュース

 訂正記事には魚愛好家らがこの件でトランプ大統領を批判したとありますが、批判する対象が間違っているでしょう。

文在寅政権「日本がひどいことをしたとアメリカに言いました」→文章はキャスターの解説

 次に取り上げたいのが11月7日、韓国・ソウルで文在寅(ムン・ジェイン)政権がトランプ大統領を招いた晩餐会にまつわるニュースで、「日本がひどいことをしたとアメリカに言いました」とのテロップが入った画像です。

 こちらも画像そのものは本物なのですが、テロップは文在寅大統領の台詞ではなくFNNのキャスターによる解説、つまり文在寅大統領が実際にそのように発言したわけではありません。

 実際の動画は以下のURLでチェックできます。また、解説も書き起こしておきます。

 なぜ、韓国側が日本の神経を逆なでするような行動に出ているのかというと、世論を過剰なまでに気にする文在寅政権の傾向が背景にあるとみられます。

 たとえ日本が反発しようとも、韓国国民に対して「日本がひどいことをしたとアメリカに言いました!」ということをアピールしたいのが本音かもしれないんですが、こうした内向きの論理は、参加国の強調を求めるアメリカの意向にも反しているとみられ、足並みの乱れにつながらないのかが危惧されます。

出典:韓国・晩さん会に「反日メニュー」(FNN)

一部を切り取った画像に騙されないで

 どちらのデマも数万単位でリツイートされており、気づいた方は訂正情報を流したり削除を呼びかけたりしているのですが、掲載したツイートのようにデマを削除しない人たちもおり、今もデマが拡散し続けている状態です。

 気になった画像やニュースをすぐにRTしてしまうのはTwitterのシステムから仕方のないことだと思いますが、もしも指摘があったときは一次情報を確認してみてください。

 そして、デマだと気づかれたあとはRTの取り消しや投稿の削除をするよう心がけておくと、悪質なデマ拡散犯だとフォロワーの方々に思われずにすみますよ。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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