日本サッカー協会との比較もあるが…韓国の「12年・240億円」の契約は得か損か

KFAはナイキとJFAはアディダスと契約している。写真はE-1選手権より(写真:ロイター/アフロ)

韓国サッカー界の市場価値がわかる大型契約が交わされた。1月20日、韓国サッカー協会(KFA)がナイキ・コリアとのオフィシャル・サプライヤー契約を更新することが発表されたのだ。

シンボル変更も噂される新ユニ発表前のサプライズ

KFA広報部によると、その契約内容は韓国スポーツ史上破格だ。2020年から2031年までという12年の長期契約で、その総額は「2400億ウォン(約240億円)+プラスアルファ」の大型契約になるという。

KFAは1996年からナイキ・コリアと関係を結び今日に至るが、韓国サッカー史上はもちろん、韓国スポーツ史上でも例がない長期の大型契約だ。

KFAとナイキ・コリアは、ワールドカップ・イヤーやオリンピック・イヤーになると新ユニフォームを発表し、今年も春にエムブレムも一新した新ユニフォームの発表があると噂されていたが、その前に飛び込んできたビッグサプライズである。

(参考記事:【画像】韓国代表のエムブレムが変わる?海外で流出した新デザインに賛否)

「日本サッカー協会との比較」も

ただ、一部のサッカーファンたちは手放しで喜んでいないらしい。『スポーツソウル』サッカー班がネット上の反応やサポーターたちが集まるオンライン・コミュニティをチェックしてみると、驚きや歓迎の声と同じくらい否定的な声もあったという。

「12年の長期契約は長すぎたのではないか」「もっと上積みできたのではないか」などで、中には日本サッカー協会を引き合いに出しながら不満を漏らす声もあるという。

日本サッカー協会は2014年7月にアディダス・ジャパンと8年契約・総額250億円強の大型契約を交わしたと日本で報道され、それが韓国にも伝わっているのだが、「日本に比べると満足できる条件ではない」というわけだ。

金額は増加、12年間、心配も無用

もっとも、冷静に考えるとかなり好条件で契約更新したのではないだろうか。

KFAとナイキ・コリアの契約金は2003年から2007年までの5年間で計380億ウォン(約38億円)、2008年から2011年までの4年間で490億ウォン(約49億円)、2012年から2019年までの8年間で1200億ウォン(約120億円)だったことを踏まえると、毎回、年間契約料が増加している。今回も前回契約時よりも年間で50億ウォン(約5億円)アップだ。

しかも、今後12年間はオフィシャル・サプライヤーに困らない。

例えば野球韓国代表の場合、2006年WBC、2008年北京五輪、2009年WBCなどはナイキ・コリアと契約していたが、2013年WBCで期待外れに終わったあとは契約延長には至らなかった(代わってデサントが大型契約を提示したこともあるが)。

だが、KFAは今回の契約延長で「ワールドカップ出場に失敗したり期待外れに終わると、スポンサーも離れてしまう」という心配や不安を抱く必要がなくなった。

9大会連続本大会出場中の韓国といえども、今後もワールドカップに出場できるという保証はないので、むしろ12年の長期契約は大きなサポートになるはずだ。

日本サッカー協会とアディダス・ジャパンが交わした大型契約を引き合いに出すのもナンセンスだろう。

一部のサッカーファンたちが何かと日本を意識したり、比較対象にしてしまう気持ちもわからなくもないが、そもそも両国には開きがある。

2020年の年間予算はJFAが195億円、KFAは963億ウォン(約96億円)と言われているほど、日本と韓国とではサッカーの市場規模が異なるのだ。単純比較はできないだろう。

それにKFAは最近、苦い経験もしている。

昨年末、KFAはKリーグと共同で韓国代表Aマッチ中継権とKリーグの中継権をセットにした“統合中継権”を販売すると発表した。

代表Aマッチを抱き合わせにして中継権販売に苦戦するKリーグをアシストしようという狙いが見え隠れした“セット販売”で、年間最低入札額を250億ウォン(約25億円)と設定したが、第一次入札締め切り期日までにその条件を提示した業者が現れず、第二次入札でも条件をクリアする業者は皆無だった。

仕方なくKリーグの中継権のみをJTBCに与えることを決めているが、KFAにとっては韓国サッカーの市場価値にやや自信をなくす一幕だったことだろう。

それだけに今回の大型契約はKFAにとって長期の安心や巨額の契約金だけではなく、自信回復にもつながる好条件だったことだろう。個人的にはそう思うのだが…。