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スポーツバラエティー人気は日韓共通か。 韓国では「アイドル運動会」も!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
今年はITZYのイッチも出場(写真提供=SPORTS KOREA)

年末年始になるとスポーツバラエティー番組が多くなる。

12月30日の『最強スポーツ統一戦』(フジテレビ系)、12月31日の『SASUKE2019大晦日』(TBS系)、1月2日の『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!5時間スペシャル』(テレビ朝日系)などで、本日1月4日には『新春! 炎の体育会TV4時間SP』が放映される。

トップアスリートの技やパフォーマンスのスゴさを紹介したり、芸能人同士が真剣勝負を繰り広げたりとその形式はさまざまだが、それは日本でスポーツバラエティーが定着している証拠だろう。

韓国でもこうしたスポーツバラエティー番組が安定した人気を誇る。

例えば2013年から2016年まで放映された『ウリトンネ(僕らの街)の芸・体・能』。バドミントン、卓球、ボーリング、テニス、バスケットボールなどを特技とする芸能人たちが、トップアスリートや地元の達人たちと対決するものだ。イメージとしては『炎の体育会TV』に近いだろうか。

最近では今年6月から始まった『ムンチョヤ・チャンダ(団結して蹴ろう)』が人気だ。

サッカー韓国代表のアン・ジョンファンが監督を務め、プロ野球やプロ・バスケの英雄から五輪メダリストなど韓国スポーツ界の往年のスターたちがチームを結成して、草サッカーチームに挑むという内容で好評だ。

また、スポーツバラエティー番組などでテレビ初登場したフィットネストレーナーなどがそのままタレントに転身するケースもある。

イェ・ジョンファ、レイヤン、シム・ウトゥムにユ・スンオクなどで、スポーツバラエティー番組を機にその名と顔が知られ、やがてドラマや映画などに活動の場を広げていく者たちを、韓国では「スポテイナー(「スポーツ」と「エンターテイナー」を組み合わせた造語)と呼ぶほどだ。

もっとも、韓国のスポーツバラエティーで特に有名なのは『アイドルスター選手権』だろう。かつて日本であった『オールスター紅白運動会』のようなもので、文字通り人気のアイドルたちが一堂に集結する。

彼らは普段からダンス・パフォーマンスのレッスンや練習などをしているせいか、運動神経バツグン。スポーツ万能のアイドルたちは “チェユク(体育)ドル”や“ウンドン(運動)ドル”と呼ばれているほどだ。

しかも、『アイドルスター選手権』で行われる競技は多種多様。短距離走などの陸上競技だけではなく、水泳、フィギュアスケート、アーチェリーなど得意種目も多彩。とある人気ガールズグループのメンバーは、韓国らしくテコンドーの有段者というのだから面白い。

(参考記事:プロ顔負け? スポーツ万能の韓国アイドルを一挙紹介)

番組は旧正月や秋夕(チュソク/旧盆)など名節期間中に放映されるのが定番の公開収録方式。一度その公開収録の現場に立ち合ったことがあるが、会場はファンたちの黄色い歓声で包まれる。その熱気は彼ら彼女たちの本業であるライブをも凌ぐほどだ。

ただ、直近の番組収録ではちょっとしたトラブルもあったらしい。

今月の1月25日と26日に放映される『アイドル選手権』が昨年12月16日に収録されたのだが、その最中にガールズグループLOONA(今月の少女)のチュウがとある男性スタッフから髪の毛を引っ張られている場面を偶然撮影したファンが、その動画を自身のSNSにアップ。瞬く間に拡散し、ネット炎上したのだ。

放映するMBCは男性スタッフとともに公式謝罪したが、にぎやかなイベントの裏側で起こった無礼な行為は番組の盛り上げに水を差したのは言うまでもないだろう。

いずれにしても、スポーツの要素とバラエティーの要素が絶妙にミックスしたこのジャンルは、日韓両国で人気コンテンツになっている。いつか芸能人やスポーツ選手たちが“スポーツバラエティー日韓戦”をやってみるのも面白いかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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