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うつ病や過食症を告白したK-POPアイドルたち。残酷史はいつまで続くのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

2019年はK-POP女性アイドルたちの苦しみが浮き彫りになった1年だった。

優れた歌唱力とダンスパフォーマンスに加えて美しい容姿を披露して、絶大な人気と影響力を誇るのがK-POPガールズアイドルたちである。

アメリカの映画批評サイト『TC Candler』が選定している年末年始の恒例『世界で最も美しい顔100人』にも毎年のように、K-POPガールズアイドルたちが多数ノミネートされ、その多くが上位にランクインもする。

(参考記事:人気K-POPアイドルが多数ランクイン。過去に「世界で最も美しい顔100人」に選ばれたのは?【PHOTO】)

少女時代や元KARAのメンバーも告白

ただ、スマホやSNSが当たり前になった今の時代において、もはや心身ともに休める時間はないようにも見える。

“自己管理”という名目でいつどこでも完璧な容姿を求められ、服装、姿勢、表情、口調、性格、恋愛観、思想など、思いも及ばないところにまで厳しい目を向けられるからだ。

その証拠に、実に数多くの女性アイドルたちが摂食障害、パニック障害、睡眠障害、うつ病などを訴えている。

例えばOH MY GIRLのジニは無理なダイエットによる拒食症に、元KARAのホ・ヨンジとパク・ギュリは過食症に苦しんだことがあり、人気ソロ歌手IUは睡眠障害と過食症を、少女時代テヨンと元2NE1のコン・ミンジ、元MissAのペ・スジなどは、うつ病を発症したと告白した。

それだけではない。

Red Velvetのアイリーンは以前、小説『82年生まれ、キム・ジヨン』を「休暇中に読んだ」と発言しただけで一部男性からのバッシングに晒されたし、元4minuteのヒョナは今年7月、普段と違うメイクをした自撮り写真によって“整形疑惑”が浮上して炎上を巻き起こした。

ソルリやク・ハラも苦しんでいた

そんな中、今年10月には元f(x)のソルリが、11月には元KARAのク・ハラが自ら命を絶ってしまった。

ふたりが死を選んだ理由については一概に言えないが、K-POPブームを牽引してきた彼女たちが数多くの苦痛を強いられていたことだけは間違いない。本欄で過去に紹介した“悪プル”や“指殺人”も無関係ではないだろう。

例えば故ソルリの場合、2015年に14歳年上の歌手チェジャとの交際が発覚したのを皮切りに“国民の妹”から“お騒がせタレント”にポジションチェンジを余儀なくされた。

その後に自ら熱愛模様をSNSに公開するも、「写真が見苦しい」と叩かれている。“ノーブラ”状態で撮ったプライベート写真が炎上し、セクハラ発言も浴びせられた。

ソルリは生前最後の冠番組となった『ジンリ商店』で「視聴者と記者の皆さん、どうか私のことをやさしく見守ってください」と訴えるほどだったが、海外メディアだけが「保守的な韓国社会で自由に自分の声をあげた数少ないK-POP女性アイドル」と、彼女の個性を認めていた。

故ク・ハラも、自身のInstagramに「幼い頃から芸能活動を行う間、数多くの悪質なコメントによって傷つけられてきた。どんな姿であれ、一度だけでも温かい目で見てほしい」と訴えていた。

彼女は以前、バラエティ番組に出演した際に恋愛歴に関する恐喝まがいの発言を受け、涙を見せたことがある。

また、プライベートで元恋人からリベンジポルノ動画で脅されたとき、ポータルサイトの急上昇検索ランキングに「ク・ハラ動画」という言葉が急上昇していたときは絶句するしかなかったことだろう。

いずれにしても、K-POP女性アイドルの残酷史はいつまで続くのか。いつ終わるのだろうか。これ以上悲劇を繰り返さないことが、今、K-POP業界の大きな課題になっている。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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