ヤフーと経営統合するLINEの親会社NAVER(ネイバー)とは?韓国はどう見ているのか

韓国・中央日報11月15日付け紙面(写真=著者撮影)

ヤフーとLINEが経営統合に合意したことが正式に発表された。日本のインターネット業界の勢力図が大きく変わるこのビッグニュースは、韓国でも大きな話題になっている。

日本経済新聞がその第一報を報じたとき、ソウルでさまざまな韓国メディア関係者とあっていたのだが、どこにいってもこの話題で持ちきりだった。

というのも、LINEの親会社は韓国のNAVER(ネイバー)だからだ。日本では「NAVERまとめ」が有名なNAVERだが、韓国では検索事業で韓国国内78%以上のシェアを誇る韓国ナンバーワンIT企業だ。

世界的ビジネス雑誌『FORTUNE』(フォーチュン)が将来の市場をリードする有望企業50社を選定して発表する「The Future 50」でもアマゾンやアリババ、ネットフリックスよりも高い評価を得ているだけに、韓国の専門家たちもかなり関心を示しているようだ。

KB証券イ・ドンリュン研究員などは、「LINEとヤフージャパンが合併すると、両社の合算月間アクティブユーザー(MAU)は1億人に達し、日本国内での市場支配力が強化され、日本以外の地域への拡張にも速度が加わるだろう」としている。

(参考記事:ヤフーとLINEの経営統合に韓国も反応…韓国の専門家たちはどう見ている?

NAVER設立者は現NAVERのGIO(グローバル投資責任者)であるイ・ヘジン氏。イ氏は1967年生まれの52歳。90年にソウル大学のコンピューター工学科を卒業し、その後、韓国の理工学系エリートが集結するKAIST(韓国科学技術院の英語略。韓国における科学技術研究の中心的役割を担う国立大学のひとつ)で修士課程も修了した人物だ。

1992年からはサムスン系列のサムスンSDSに入社。そのサムスンSDS内で社内ベンチャーを起こし、1999年に独立するとNAVERコムを設立している。

NAVERコムは検索サービス『NAVER』をスタートさせ、約一年後の2000年7月にはインターネットゲームポータルサイトを運営していたハンゲームコミュニケーションなどを吸収合併。2001年には商号をNHNに変更し、2005年までニュースやキーワード広告、ショッピングモール、知識IN(知恵袋)、ブログ、掲示板サービス、リアルタイム検索ワードなどのサービスを次々に展開しながら、総合検索ポータルサイトとして発展させてきた。2004年にはDaum、Yahoo!Koreaといったライバルたちを押しのけて韓国ナンバーワン検索サイトになり、現在までその地位を守り続けている。

「インターネットの世界は、勝者がすべてを独占します。その部分については、私もこれまで悩み続けてきました。韓国ではNAVERが70%のシェアを獲得していますが、世界の大部分の国では、Googleが80~90%を占有している状態です。Googleが全てを支配する世界で、自国市場を守れていることには自負心を抱いています」とは、イ・ヘジン氏が2014年のビジネスフォーラムに登壇した際の言葉だが、韓国はNAVERがあることでGoogle帝国の支配下にない数少ない国とも言えるだろう。

NAVERの歴史で特徴的なのは、積極的なM&Aを繰り返してきたことだろう。NAVERは、創業から15年間で20回以上の吸収合併を行い、自社のノウハウや技術を蓄え、外形を拡大してきた。

韓国ナンバーワンの検索事業も数多い吸収合併の末に完成した。

検索ソリューション専門企業・サーチソリューションや、KAIST出身の検索技術エンジニアたちを集めて作られたエキスパートベンチャー企業の1NOONの買収に成功し、Googleも寄せつけない韓国ナンバーワン検索事業者として、盤石な地位を手に入れて今日に至っている。

また、NAVERは韓国国内のビジネスを拡充する一方、実は日本進出にも意欲的だった。

2000年9月にはハンゲームジャパン名義で日本法人を設立し、2003年にはNHN JAPAN株式会社に商号を変更。韓国で圧倒的シェアを誇った検索事業を日本でスタートさせるべく、2007年にはNAVER JAPAN株式会社(のちにNHN JAPANとなり、2013年には現在のLINE株式会社となる)を設立し、2009年には日本で検索サービス『NAVER(ネイバー)』を提供開始した。

2001年の時点でも日本の検索事業に進出しているが、2005年に一度撤退していただけに、2009年のサービス開始は2度目の日本挑戦だった。

だが、日本にはGoogleだけではなくYahoo JAPANという大きな壁があった。韓国で1位を独占していた検索事業さえ、鳴かず飛ばずの苦しい状況が長らく続いたのである。そんな中で登場したのが、NHN JAPANが中心となって開発したとされるLINEでもあった。

LINEとNAVERの関係性については河鐘基氏との共著『ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実』(光文社新書)でも詳しく紹介しているが、日本でことごとく煮え湯を飲まされていたNAVERにとって、LINEは起死回生の一手であり、今やLINEはNAVERには欠かせないものとなったのだ。

そんなLINEがヤフーと経営統合することで、今後どのようなシナジー効果が生まれるだろうか。

韓国のNH投資証券アン・ジェミン研究員はこう展望している。

「モバイルメッセンジャー(LINE)とポータル(ヤフージャパン)が結合すると、検索、ニュース、モバイルメッセンジャー、決済、ショッピング、コンテンツなど、インターネット・ショッピング・フィンテック・コンテンツ産業を網羅する強力な競争力を確保することができる」

その可能性に韓国も注目しているヤフーとLINEの経営統合。来年10月までに統合完了を目指す今後の展開に注目したい。