MGC開催の日本のマラソン界と比べると…東京五輪を目指すかつての強国・韓国はいま
来年の東京五輪に出場するマラソン日本代表の座をかけて本日行われる『マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)』。男女ともに上位2位が東京五輪に出場できるという一発勝負の代表選考レースだけに、その注目度はかなりのものになる。
何しろ男女とも混戦必至。男子は大迫傑、設楽悠太、井上大仁、服部勇馬らを筆頭に群雄割拠であるし、女子も鈴木亜由子、松田瑞生、前田穂南など多士済々。誰が最後に勝つかわからないほどなのだから、その選手層の厚さには驚かされる。
“美女スポテイナー”もマラソン参加する韓国
先日、韓国の一般紙『中央日報』スポーツ部から東京五輪で注目されている日本の有力選手を教えてほしいと取材を受け、前述した選手たちの名を紹介したが、韓国の記者も驚くどころか、「羨ましい」とため息をついていた。
実は韓国でもマラソンは人気が高い。
日本同様にマラソンと言うと「人生の縮図」「人間ドラマ」というイメージが強くてもともと中高年に人気だったが、最近は“フィットネス・ブーム”もあって20~30代のランナーも多く、レイヤンやイェ・ジョンファといった“美女スポテイナー”と呼ばれるフィットネス・タレントがアイドルたちと一緒になってハーフマラソンなどにエントリーしたりもする。
(参考記事:「上位1%の神ボディ」に「国宝級リンゴ尻」。韓国3大“美女スポテイナー”を一挙紹介!!【PHOTO】)
複数の韓国メディアによると、韓国のランニング人口は500~600万人になり、小規模から大規模なものまで含めると、年間400回以上のランニング大会(ハーフマラソンなども含め)が行なわれているほどなのだ。
マラソン強国だった韓国の凋落
ただ、そういったランニング熱がオリンピックの成績には反映されていない。
前回リオデジャネイロ五輪ではソン・ミョンジュンが2時間36分21秒で131位が最高。もうひとりの韓国代表であったシム・ジョンソプは、カンボジア代表として出場した猫ひろしと最下位争いを繰り広げる始末だった。
結局、シム・ジョンソプは138位、猫ひろしは139位、最下位の140位はヨルダンの選手たったが、この一例だけ見ても韓国マラソンの“現住所”がわかるだろう。
もっとも、かつては韓国もマラソン強国だった。1992年バルセロナ五輪で日本の森下広一と“モンジェイックの丘の死闘”を展開したファン・ヨンジョは金メダルに輝いているし、4年後の1996年アトランタ五輪ではイ・ボンジュが銀メダルを獲得している。かつては韓国もマラソン強国だったのだ。
だが、今の韓国にその面影はない。前出したファン・ヨンジョやイ・ボンジュ引退以降、韓国は世界的なランナーを輩出できていないというのが実情だ。
2017年世界陸上の男子マラソンでも日本は川内優輝が9位、中本健太郎が10位、井上大仁が26位だったが、韓国の選手は、59位、64位、65位と下から数えるほうが早かった。
東京五輪の出場基準タイムをクリアしなければ…
今年3月には東京五輪・男子マラソン韓国代表選抜戦を兼ねた「ソウル国際マラソン」が行われたが、男子部で優勝したシン・ジョンソプのタイムは2時間12分58秒、2位のチョン・ウィジンが2時間13分9秒、3位のファン・ジョンピルは2時間15分5秒。女子部で優勝したアン・スルギのタイムは2時間27分28秒だった。
東京五輪のマラソン出場基準タイムは男子2時間11分30秒、女子は2時間29分30秒。今回のMGCはその基準をクリアした男子31人、女子12人の選手のみが出場できるが(欠場者が出たため、男子30人、女子10人)、韓国には現時点で基準タイムに届かない選手のほうが多いのだ。
そうしたこともあって、冒頭で紹介した記者も、日本マラソン界の選手層のレベルの高さが羨ましく映ったのだろう。
いずれにしても韓国も羨む層の厚さを誇る日本マラソン界。本日行われるMGCではどんな結末が待ち受けているだろうか。韓国ではマラソンが「人生の縮図」「人間勝利の劇的ドラマ」として描かれるが、MGCでもきっと劇的なドラマが待っているに違いない。