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実力と美を兼ね備えた“先輩”たちに続け!! ペ・ソンウに聞いた「初めての日本生活」

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真提供=KLPGA)ペ・ソンウ

昨年、韓国女子ツアー賞金ランキング2位の実績を上げ、今季から日本女子ツアーに本格参戦しているペ・ソンウ。

日本女子ツアーにはイ・ボミ、申ジエ、キム・ハヌル、アン・シネと、日本で注目を集める韓国人ゴルファーは少なくないが、ペ・ソンウもそんなスター選手の後に続く期待の持てる選手だ。

今季、14大会に出場(7月25日現在)し、2位2回、3位2回、6位1回と5度のトップ10入りと、たしかな実力を見せている。年間獲得賞金も堂々の12位だ。

そんなペ・ソンウとの独占インタビューに成功。3回目の今回は、日本での生活や日本人選手との交流などについて聞いた。

日本の“黄金世代”と仲良し?

ペ・ソンウは、日本で1998~1999年生まれの“黄金世代”と呼ばれる選手たちと仲がいいと話す。

「勝みなみ選手、原英莉花選手、松田鈴英選手ですね。練習ラウンドを一緒に行ったのですが、彼女たちが韓国文化をよく知っていて。鈴英ちゃんはハングルに興味を持っているようです(笑)。わけ隔てなく気楽に声をかけてくれるので、とても仲良くできています」

とはいえ、日本の選手とのコミュニケーションはどうするのか。

ペ・ソンウは、日本語のほとんどを聞き取れるという。まだ言葉を発するのは難しく、「それがもどかしい」というが、相手の言っていることはある程度理解できるだけでも十分にすごい。なぜだろうか。

「小さい頃から日本のドラマを見て学びました。嵐が好きで(笑)。中学校の頃から好きだったのですが、高校(テウォン外国語高等学校)のときは、日本に興味があったので、第一外国語で日本語を選びました。

でも聞き取ることはある程度できるのですが、喋るとなるとまだ単語がなかなか出てこない。普段生活するうえでは問題ないものの、きちんとした話や深い話をするのは、まだちょっと難しいですね」

以前から日本に興味を持ち、嵐が好きというだけにJ-POPもよく聞くとのこと。なかでもAKB48の『365日の紙飛行機』は、大のお気に入りだ。同い年のユ・ヒョンジュは「韓国の芸能人もよくわからない」と以前話していたが、ペ・ソンウはまた違うようだ。

「なぜ日本の若い子はK-POPを聞くのでしょう?(笑)」と不思議そうにしていた表情が、なんとも印象的だった。

日本の選手ともコミュニケーションをとっているペ・ソンウは、もちろん日本女子ツアーでプレーする韓国人ゴルファーとも、仲良く過ごしているという。

韓国時代には、イ・ボミやキム・ハヌル、さらにはユン・チェヨンやアン・シネも選ばれている「KLPGA広報モデル」も務めていたこともあって、ほとんどの先輩たちが顔なじみ。よく面倒を見てくれるという。

(参考記事:【写真】イ・ボミやアン・シネも選ばれた「美女ゴルファー」の証!! KLPGA広報モデル10年分を大公開

「オンニ(姉)たちはみんな優しい。今までペ・ヒギョン選手が韓国人選手で一番年下だったのですが、私が来たので“末っ子から脱出だ”と喜んでいます(笑)。私はまだ1年目なので、みんな“あそこに行ってみれば”、“今日の夜、一緒にご飯を食べよう”といろいろと気にかけてくれます」

「長く活躍する選手になりたい」

現在は、ホテル暮らし。「毎週荷物を片付けて運んでという作業が大変ですね。でも幸いなことに、父と母が来てくれて手伝ってくれる」という。

毎週、日本の全国各地を回っているが、その地の良さを楽しむ時間的余裕はないそうだ。

「3月に日本に来て、韓国と日本を行ったり来たりしながらゴルフをしているので、自分の時間を作れていないですね。沖縄の水族館の評判がとても良いので行こうと思いましたが、タイミングが合わなかった。なるべく早く日本に適応できるように、まずはゴルフに集中しています。

ただ以前、韓国女子ツアーで休みの期間があったので、日本に留学している弟の家に行って、京都のほとんどの観光地は見て回りました。金閣寺も銀閣寺も、京都の見るべきところは、ほとんど見たと思いますよ。弟が“もう来ないで”って(笑)」

忙しくも充実した日々を過ごすペ・ソンウには、日本女子ツアーで成し遂げたいことがあるという。一言で、“長くプレーし続ける”ことだ。

「ロールモデルはカン・スーヨン選手です。大山志保選手や李知姫選手も長く第一線で活躍しています。そんなふうに、ゴルフを長く続ける選手になりたい。

以前、大山志保選手とThe Queensで一緒にプレーしたのですが、飛距離もすごいし、ショットも上手かった。だから大山選手はあれだけ長く第一線でプレーできるのだと感じました。

大山志保選手は最近も練習ラウンドに、とても早い時間から出ている。練習を本当にしっかりしていたのですが、自分が大山選手ほど長くツアーをして、そこまでの努力ができるかと考えました。そういう選手たちを目の前にして、自分は何をするべきか、どんなゴルフができるかと、また考えるようになりました。それでゴルフへの考え方も変わってきました」

ペ・ソンウ(著者撮影)
ペ・ソンウ(著者撮影)

今シーズンの目標は1勝よりも、賞金ランキングの上位者たちだけが出場できる11月末の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に出場すること。以前ユン・チェヨンをインタビューした際も「リコーカップ出場が目標」と話していたが、着実に結果を残してきた選手だけが出場できるだけに、ペ・ソンウは大きな価値を置いている。

日本で長く着実にプレーしたい。ゴルフが趣味だった祖父の影響で11歳のときからクラブを握ってきたペ・ソンウの思いだ。最後にゴルフの魅力について聞いてみた。

「ゴルフって他のスポーツに比べても、とても複雑じゃないですか。考えることも多いし、どれだけ経験を重ねても極められない感じがして、そこがいい。ゴルフに完璧はないと思うんですよ。それってなんか人生にも似ているのかなぁって思ったりもするし。そういうところに、一番の魅力を感じます」

日本で新たなゴルフ人生をスタートさせたペ・ソンウ。今後の活躍に期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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