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元KARAク・ハラや俳優パク・ボゴムも!! 悪質コメントに韓国芸能人が“強力な対応”をするワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
元KARAのク・ハラ(写真:ロイター/アフロ)

韓国の芸能人たちがネット上の悪質なデマやコメントを書き込んだ者に対して、“強力な対応”をとっている。

元KARAク・ハラ「善処はない」

例えば、現在は日本で活動する元KARAのク・ハラは最近、一時的に公開されるSNSのストーリー機能を利用して「これからは悪質なネットユーザーへの対応に乗り出す。善処はない」と宣言したことがある。

(参考記事:「善処はない」元KARAク・ハラ、悪質ネットユーザーとの“全面戦争”を宣言!!

またソン・ジュンギ&ソン・ヘギョの離婚報道に関して、いわれのないデマを流された俳優パク・ボゴムも強硬な姿勢を見せたことがある。

ソン・ジュンギとパク・ボゴムの所属事務所であるBlossomエンターテインメントが「所属タレントと関連した悪質な誹謗や虚偽事実の流布、デマや名誉棄損にあたる掲示物について、2019年6月27日付で法的対応を開始した」と宣言したのだ。

歌手イ・スンファンも7月2日、悪質コメントを書き込んだ50人を告訴。イ・スンファンの所属事務所ドリームファクトリーは、刑事責任を問うことにとどまらず、民事上の損害賠償も積極的に提起して、無責任な悪質コメントに警鐘を鳴らす計画だと強調した。

また、V.Iやチョン・ジュニョンらの一大スキャンダルに関したデマを流された女優コ・ジュンヒも、誹謗中傷したネットユーザー11人を告訴したという。

それこそ具体的な事例は枚挙に暇がないほどだが、なぜ“強力な対応”をする韓国芸能人や芸能事務所が増えたのだろうか。

悪質デマは芸能人の精神に影響…

まず、悪質なデマやコメントの影響力が日々高まっていることが挙げられる。

最近、前出のコ・ジュンヒが所属事務所との専属契約が不発に終わった理由を、多くの韓国メディアが悪質デマにあると指摘した。

何よりもその影響力は、芸能人の精神面にまで及んでいる。

以前、インスタグラムのダイレクトメールで悪質なメッセージを受け取った少女時代のテヨンは、そのメールをユーザー名なども隠すことなく公開。真っ向から戦う姿勢を示しながらも、「うつ病の治療を受けている」と告白して話題になった。

ク・ハラも悪質コメントに善処なしに対応する理由として、「うつ病は簡単じゃない。対して苦労してないからうつ病になったと? 一生懸命働いた、私の努力の証だ。あなただって、もしかしたらうつ病かもしれない」などと訴えていた。

悪質コメントの社会的な影響と精神的な影響の大きさが、“強力な対応”が必要不可欠になった理由のひとつだ。

7月から“サイバー名誉毀損”が強化

さらに韓国では、今年7月からネットなど情報通信網を利用した名誉毀損、通称“サイバー名誉毀損”(情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律第70条第2項)の処罰が強化されたことも関係しているかもしれない。

もともと韓国では刑法上の名誉毀損よりも、ネットなどを使った“サイバー名誉毀損”の処罰が厳しかった。

“サイバー名誉毀損”が認められた場合、デマの内容が事実であったとしても、3年以下の懲役または3000万ウォン(約300万円)以下の罰金。デマの内容が虚偽である場合はさらに処罰は重くなり、7年以下の懲役または5000万ウォン(約500万円)以下の罰金だ。

そんな“サイバー名誉毀損”が7月から強化されて施行されているという。

韓国メディアによると、「量刑基準(裁判所が量刑を定めるときに参考にする基準)」がさらに強化され、「法定刑の上限が懲役7年の“情報通信網を利用した名誉毀損”の場合、量刑基準は最大3年9カ月に決めた」という。

このような複数の理由から、韓国芸能人や芸能事務所が“強力な対応”をとるようになったと考えられる。

いずれにしても、悪質なデマやコメントが芸能人に与える影響は大きく、それは韓国に限らず日本でも同じだろう。建設的な批判は必要だが、誹謗中傷などを目的とした悪質なデマやコメントには注意したい。

(参考記事:少女時代テヨン、うつ病を告白「色眼鏡で見ないでほしい」

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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