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兵役でイメージアップ? 最前線や厳しい部隊を志願する韓国芸能人が増えているワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
海兵隊入隊時のヒョンビン(写真:ロイター/アフロ)

韓国芸能界の“入隊ラッシュ”が続いている。

6月10日にはZE:A出身の俳優パク・ヒョンシクが忠清南道論山(ノンサン)新兵訓練所に入所した。

芸能人=「社会服務要員」だったが…

少なくない韓国芸能人が現役兵ではなく、さまざまな理由から「社会服務要員」になるが、パク・ヒョンシクは「首都防衛司令部」の憲兵機動隊で服務するという。

(参考記事:兵役で「社会服務要員」になる芸能人が多いのはなぜなのか

首都防衛司令部とは、韓国の首都であるソウル市を特別に防衛するための特別部隊のこと。兵役には、新兵訓練を終えたあとに不特定の師団に配属されるケースと、自ら特定の部隊に志願して入るケースがあるのだが、パク・ヒョンシクは後者で、自ら志願して首都防衛司令部に入隊することとなっている。

訓練がとても厳しい部隊とされているが、なぜ彼は自ら困難な部隊を志願したのだろうか。

というのも、パク・ヒョンシクに限らず、4月に海兵隊に入ったSHINeeミンホ、5月に怒濤部隊に入ったEXOシウミンと、最前線の部隊を志願する芸能人が増えているのだ。

それは先輩芸能人たちの“成功例”のおかげかもしれない。

“兵役免除”などでトラブルの多い兵役問題

そもそも韓国芸能人にとって兵役は、非常にセンシティブな問題だ。約2年間の空白によって人気と居場所を失う例もあった。ネットがなかった時代は、軍務中の活動がほとんど一般社会に伝わらず、存在自体を忘れさられてしまう不安もあった。

何よりも存在感の大きい芸能人の兵役免除が「恩恵を受けている」などと非難の的となるケースも少なくなかった。

(参考記事:「えっ、そんな理由で?」兵役を免除された20人の韓国芸能人を一挙紹介

不正に兵役を逃れようとしてその悪いイメージがつきまとい、最終的には消え去ってしまったスターや芸能人も少なくない。そうならないためにも兵役を上手く乗り切ることが重要視されてきたわけだが、最近はポジティブに有効活用している例も見られる。

その最たる例は、最も訓練が厳しいとされる海兵隊に志願したヒョンビンだろう。

兵役でイメージアップしたヒョンビン

2013年3月に海兵隊に入隊したヒョンビンは、それだけで大きな話題となり、「男の中の男」という評価を受けた。除隊後のヒョンビンは、逞しいイメージをプラスして俳優として大活躍している。

ヒョンビン自身も「キャリアのうえでプラスになった」と兵役の経験を語っており、最近は熱愛説も浮上したがイメージが悪くなることはなかったほどだ。

(参考記事:人気俳優ヒョンビン、やはり熱愛? デート中と思わしき写真拡散

ソン・ジュンギも同じ傾向だろう。柔らかな好青年というイメージが強かったソン・ジュンギは、軍事境界線のすぐ近くの最前線で軍務をまっとうし、復帰作『太陽の末裔』でエリート軍人役を演じた。ぴたりとハマっており、同ドラマは日本でも注目を集めた。

つまり、兵役を立派にまっとうすれば、良いイメージの転換になるわけだ。だからこそ最近の芸能人たちは、先輩芸能人たちの成功をロールモデルにして自ら厳しい環境に飛び込むのだろう。

BTSは来年にも影響?

昨年行われた兵役法の改正によって、28歳までの入隊を引き延ばすことが難しくなった韓国の兵役。そんな改正直後であるため、今年は例年以上に入隊ラッシュが続いており、今最も高い人気を誇るBTSですら、その影響を受けざるを得ない。

兵役法の改正で25~27歳の男性の場合、国外旅行の許可期間が1年から6カ月に縮小、許可回数も最大5回、計2年以内に制限されるため、来年はメンバー全員でワールドツアーに参加できないとの見方が真剣に論議され始めてる状態だ。

(参考記事:欧州ツアー大成功もBTSのJIN、SUGA、来年からワールドツアー参加が困難か…

ただ以前と違って、兵役がむしろプラスに作用することも珍しくない。「人生の空白期間」「ブランクで人気が落ちる」とかつてはマイナス面が強調されたが、それも今では昔の話かもしれない。東方神起や2PMのオク・テギョンなど、兵役を終えて人間的にも一段と成熟した姿を見せる彼らを見ていると、余計にそう思えてくる今日この頃だ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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