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CL決勝予想も。番記者が語るソン・フンミンの「スゴさ、人柄、日本人選手との仲」は?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソン・フンミン(写真:Shutterstock/アフロ)

いよいよ本日行われるUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦。リバプール対トッテナムのイングランド・プレミアリーグ対決となる決勝戦に全世界の注目が集まっている。

韓国でも注目が高く、リバプールのスポンサーであるスタンダード・チャータード(SC)グループ傘下であるSC第一銀行などは「リバプール応援イベント」を急遽実施している。

ただ、韓国ではリバプールよりもトッテナムを応援する声が圧倒的に多い。トッテナムがマンチェスター・シティと対決した準々決勝では、熱心なマンシティ・サポーターである美人女優カン・ウビンがトッテナムを応援しなかったことで総スカンを食らっていたが、そのカン・ウビンも今回ばかりはトッテナムに肩入れすることだろう。

(参考記事:ソン・フンミンを応援しない韓国の美人女優に非難殺到!!「嫌がらせはやめてほしい」)

理由はほかでもなく、トッテナムにソン・フンミンがいるからだ。

ソン・フンミンの故郷である春川(チュンチョン)市では、深夜12時から朝6時まで市内の体育館周辺で『ソン・フンミン街頭応援フェスティバル』と題したストリートビューイングも実施するというのだから、かなりの熱の入れようだ。

まさに国中がソン・フンミンを応援する雰囲気一色だが、当の本人はどんな状態で決戦を迎えようとしているのか。『スポーツ朝鮮』などに寄稿しているロンドン在住の韓国人ジャーナリストで、現在は決戦の地スペインにいるイ・ゴン氏に話を聞いた。

―いよいよ決勝が目前に迫ってきたました。ソン・フンミンの状態はどうですか?

「3日前にもロンドンで話を聞きましたが、体調はかなり良いようです。トッテナムは直前までスペインのマルベージャで合宿を行なっていたのですが、日に焼けて声も明るかったですね。“CL決勝は誰にとっても夢舞台。僕はどんな試合であれ人生をかけて戦っているけど、滅多にないことだけにさらに大切に感じる試合だ”と語っていました」

―イ・ゴン記者は2016年からロンドンでソン・フンミン番を務めてきました。多くの試合を見てきたと思いますが、今季のソン・フンミンを見て感じることは?

「一言で言うと“起伏がなくなった”ということでしょうか。昨季までは好不調の波がある選手でしたが、今季のソン・フンミンはプレミアで31試合12得点、FAカップで1試合1得点、リーグ・カップで4試合3得点、CLでは11試合で4得点と、常に安定した働きと活躍を残しています。アシストも10あった。パク・チソンと比較されることはもちろん、“ワールドクラス”と称されましたが、そう呼ぶにふさわしいのではないでしょうか」

(参考記事:パク・チソン、CL決勝に挑むソン・フンミンについて語った言葉が話題に

―起伏がなくなりゴールを量産できた要因は何でしょう?

「トッテナムでの生活も4年目なので戦術理解能力も高まり、チームの流れの中に自分を溶け込ます術を覚えたことですね。例えばハリー・ケインにボールが渡った瞬間、そこを起点に漁網を広げるようなイメージで、ソン・フンミンがスペースへと動き出す。フェルナンド・ジョレンテのときは彼のポストプレーから落ちてくるボールによく反応しますし、1トップで起用されたときは2列目まで戻ってチャンスメイクにも乗り出す。そういった使い分けをしながら、自分の持ち味をしっかり出せるようになりました」

―そんなソン・フンミンの持ち味がもっとも発揮された試合を挙げるなら?

「まず11月のチェルシー戦で50m近くドリブルして決めたゴールです。持ち味である爆発的なスピードがいかんなく発揮されたシーンでしたし、今季プレミア初得点でした。もうひとつは12月のレスター・シティ戦で決めた強烈な左足ミドル。本来は右利きですが、左右両方で強烈なシュートを打てる彼らしいゴールでした」

(参考記事:“両足”で得点できるソン・フンミンのシュートは、一発勝負のCL決勝でさらに輝く)

―チャンピオンズリーグで決めたゴールではないのが意外ですが(笑)、ちなみにトッテナムのチームメイトで相性が良さそうなのは?

「すべてのチームメイトとうまくやっていますよ。ハリー・ケインやデレ・アリとはよくハンドシェイクしていますし、試合後のミックスゾーンでもたまにじゃれ合っていますから。特に仲が良いのは、ムサ・シソコやベン・デイビスなのかなぁ。デイビスとは住まいも近いらくして、よく一緒にいるようですから」

―日本人プレミアリーガーとも親交があったりする感じでしょうか?

「試合前や試合後のミックスゾーンで挨拶したりしていることはよく見かけますね。特に岡崎慎司選手とはお互いブンデスリーガ時代からの顔見知りなのか、談笑している姿を見かけます。岡崎選手がマインツでプレーしてしたとき、ク・ジャチョルやパク・チュホといった韓国人選手と一緒にプレーしたこともあって、ソン・フンミンも“ふたりからも岡崎選手の人柄を伺った”と言っていましたよ」

(参考記事:香川、岡崎、サラーとの逸話も暴露。パク・チュホが選んだ“ベストイレブン”とは?

―意外なつながりがあるんですね。話をCL決勝に戻しましょう。ズバリ、ソン・フンミンの決勝出場はあると予想しますか?

イ・ゴン記者(著者撮影)
イ・ゴン記者(著者撮影)

「ええ。その可能性はかなり高いと思います。ただ、ポジションはケインが先発するかどうかで変わってくるのでは? ケインがワントップの先発なら4-2-3-1。ソン・フンミンは左サイドに配置されるのではないでしょうか。ケインが先発ではない場合、トッテナムは3-4-1-2でソン・フンミンとジョレンテを2トップにすると予想します。どちらにしてもソン・フンミンは出場すると、僕は予想しています」

―では、スコアのほうはどうでしょう?やはり韓国の番記者としてトッテナムの勝利?

「そう言いたいところですが、リバプールは強いですよ。トッテナムは今季、リバプール相手に2戦2敗ですから。トッテナム勝利と言いたいところですが、ここは私情を捨てて客観的になると3-2でリバプールかなと思います。ただ、トッテナムの2得点のうち、ひとつはソン・フンミンが決めてくれるといいですね。それを期待しながら現場で決戦を見守りたいと思います」

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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