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東方神起からBTS、TWICEまで完コピするK-POPカバーダンスの熱狂ぶりとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真提供=『KP SHOW』実行委員会)

日本は今、かつてないほどダンスがメジャーとなっている。20011年から小学校、2012年から中学校、2013年からは高校でダンスが授業として取り入れられるようになってダンスが身近になったと言われているが、一般財団法人ストリートダンス協会によると、日本のストリートダンス人口は600万人にも上るというから驚きだ。

そんな日本のダンス人気の中でひとつのジャンルとして確かなポジションを得ているのが、K-POPだ。最近は社交ダンス、ヒップホップ、レゲエなどと並んで「K-POP専門」のカリキュラムやコースを設けて指導するダンス・スクールが多くなった。

東京にスタジオを構える『Dance Studio Cielo』もそのひとつだ。ここは日本初のK-POP専門ダンス・スクールとして有名だ。主宰する町田真吾氏に話を聞いた。

―今や空前のダンス・ブームと言われていますが、その中でも町田さんが主宰する『ダンススタジオCielo』は「K-POP専門」を謳っています。どれくらい受講者がいるんですか?

「目黒区と渋谷区にスタジオがあるのですが、どちらも毎月たくさんのK-POPファンで賑わっています。男女比は女性8対男性2の割合。メイン年齢層は20〜30代の大学生や社会人、主婦の方が多いですね。Cieloをきっかけにダンスを始めたという方や、学生時代ダンスをやっていた方など、K-POPが大好きで、それをきっかけに踊りたいといらっしゃる方が多いです 」

―どんなグループが人気ですか?

「BTS、SEVENTEENとかですね。TWICEもそうですし、BLACKPINKなんかはめちゃめちゃ人気です。最近デビューしたITZYもかなり注目されてますね」

(参考記事:BLACKPINKのカムバックが大反響。強烈なサウンドと進化したパフォーマンスに世界中から熱視線

―町田さんはそもそもなぜ、K-POPダンス・スクールを主宰することになったのですか?

「元々ダンスと密に接する音楽関係の仕事をしていていたのですが、ダンス自体が僕の周りでも、興味はあるけどハードルが高いと感じている方が多く、もっと多くの方にダンスの楽しさを知っていただくにはどうすれば良いかと考えていたところ、2011年頃からK-POPカルチャーに関する同好会やサークルが増えていて、K-POPというジャンルに特化したダンスレッスンをやってみようと思ったのがキッカケでした」

―2011年頃と言えば、東方神起、BIGBANG、KARA、少女時代などちょうど“第2次韓流ブーム”が起きた頃でした。東方神起のパフォーマンスには驚いた?

(参考記事:【SSタイムマシン】 BoAとも確執?東方神起ユンホの“超熱血”アイドル人生と武勇伝とは?

「東方神起もそうですが、僕がK-POPに興味を持ち始めた頃はちょうどSHINeeが流行っていて、彼らのパフォーマンスには驚きました。

そもそもダンス界隈の人間から見ても、K-POPのダンスは完成度が高い。音楽的にもヒップホップやクラブ・ミュージックの視点から見たときに、楽曲そのものが世界のトレンドのものと比べても遜色がないほど格好いい。歌も良い、ダンスも上手いわけです。振り付けも洗練されていて、K-POPというカルチャーには衝撃を受けましたね」

―それで『Cielo』を始めるわけですね。

「ええ。最初はワークショップの一環として小さなレンタルスタジオを借りてK-POPに特化したレッスンを不定期に始めたら、希望者がどんどん増えいきました。月2回が月3回、月4回を実施しても途切れず、2011年からK-POP専門のダンススタジオとして、本格的にスタートすることとなりました」

―カリキュラムを見ると、単に初級・中級・上級とレベル分けされたK-POPダンス講習ではなく、東方神起、BTS(防弾少年団)、少女時代、SEVENTEEN、TWICE、BLACKPINK、IZ*ONEなどアーティスト別はもちろん、さらに細分化された楽曲別のレッスンがあって驚きました。

「僕がスクールを始めたそもそものきっかけは、ダンスを普及したいというところからなんです。ダンスって興味はあるけど、スクールやスタジオレッスンを受けるのはハードルが高いと思われがちです。勇気を持って参加してみても、振りが既に何週も進んでいて途中から入りづらいこともあります。

そんなダンススクールへの敷居を低くしたかったし、K-POPというジャンルはダンスに特化していて、キャッチーで分かりやすい。かつ、YouTubeで本人の練習動画やミュージックビデオなどで完成形をイメージしやすい。そこで、K-POPのアーティスト別、楽曲別の振り付けを一緒にやろうというコンセプトに定めました。これなら1カ月で1曲をマスターしてみようとか、4週間で踊れるようになってみようとか、目標も立てやすいし、途中からでも始めやすいと思ったんです」

―最近の受講者の傾向というか特長はありますか? 女子中高生たちの間では“クール・コリア現象”という言葉もあるほど、韓流やK-POPが人気ですが、ダンスをしたいことも増えている。

(参考記事:MOMOLANDの『BBoom BBoom』が “今年の動画”1位。ダンス練習動画の再生数は5000万超え

「そうですね。ここ数年は若年層、特に中高生が男女ともに増えている印象です。ユーチューブの影響は本当に大きくて、韓国のアーティストたちはダンスの練習動画などもどんどん情報を出すので、それきっかけで興味を持つ人もいます。動画を参考にして振り付けの細かな動きをマスターするファンもいると思います。

いずれにしても年齢層はかなり幅広いです。中には親子で参加する生徒さんもいて、お母さんと一緒に受けられるような簡単なレッスンはないかと相談してきた女の子もいました」

―K-POPが幅広い層に浸透していることがわかるエピソードですね。

町田真吾さん(撮影協力:スポーツソウル)
町田真吾さん(撮影協力:スポーツソウル)

「K-POPはひとつのダンスジャンルとして独立化しつつありますよね。ここ最近では大手のダンススタジオチェーンでも、K-POPというジャンルが用意されていて。誤解を恐れずに言うと、2011年頃はまだ、K-POPはひとつのジャンルとして認識されていなかった。けれど、ここ2~3年でK-POPは一つのジャンルとして認識されています。カルチャーがジャンルになった。これは凄いことですよ」

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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