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来季のJリーグに来そうな韓国人選手は!? 韓国代表の主力に元Jリーガーまで……

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
大邱(テグ)FCのチョ・ヒョヌ(写真:ロイター/アフロ)

Jリーグ2018年シーズンが終わろうとしている。J1は川崎フロンターレが2連覇を飾り、先週全日程を終えたJ2は松本山雅FCが優勝、J3では琉球FCがクラブ創設15年で初優勝した。残すはJ1残留争いとJ1参入プレーオフなどがサッカーファンたちの関心事になるが、すでに各クラブの来季陣容にも注目が集まるところだろう。

特に来季からは外国人枠が拡大されることが決まった。試合出場は3人までを上限としているが、アジア枠がなくなりJ1は5人、J2とJ3は4名が上限となる。

この変更に注目しているのが、韓国だ。今季のJリーグに登録された韓国人選手の数は、J1、J2、J3を含めると50名を超え、Jリーグ国別外国人選手の分布ではブラジル勢に次ぐ第2位の多さだけに当然かもしれない。

韓国のスポーツ紙『スポーツソウル』などは、外国人枠拡大で大勢のKリーガーたちが日本に行く可能性があると見ている。

(参考記事:J移籍の可能性も!? Kリーグは今年もスター選手を手離さざるを得ないのか)

そこでスポーツ新聞、一般紙サッカー班記者、サッカー専門誌、サッカー専門ネットメディアといった韓国メディアの複数の記者たちに尋ねてみた。

奇抜ヘアーの韓国代表GKも前向き

「来季Jリーグ進出が噂されている、もしくはその可能性がある選手は誰か」。Kリーグもまだシーズン中なので断定はできないが、それぞれの取材と情報網に基づいた推測の範囲で、数名の選手をリストアップしてもらったのだが、もっとも多かったのは、大邱(テグ)FCのチョ・ヒョヌだ。

チョ・ヒョヌはロシア・ワールドカップで一躍有名になった韓国代表GK。ヘアスタイルも独特だったので覚えている日本のファンも多いことだろう。

もともと海外進出を希望しており、オーバーエイジとして出場したアジア大会で金メダルを獲得したことで兵役問題もクリアになって海外移籍への障害がなくなったこともその理由だ。最近のコメントを見ると、本人も前向きのようだ。

(参考記事:チョ・ヒョヌがFAカップにかける思い「今後のことはわからない。ただ…」)

その次に多かったのが、浦項(ポハン)スティーラーズのキム・スンデ。2013年に浦項でプロ・デビューし、中国の延辺FC(16〜17年)を経て今では浦項のエースFWとなった27歳だ。

14年アジア大会優勝、15年東アジアカップ優勝など韓国代表歴もあり、パウロ・ベント監督体制になった今年10月のウルグアイ戦や先の11月豪州遠征では代表復帰も果たしている(試合出場はない)。

「浦項との契約はまだ1年残すが、本人は来季のJリーグ移籍を熱望しているらしい。ガンバ大阪で活躍しているファン・ウィジョと似たスタイルなので、Jリーグでも通用するストライカーではないか」(サッカー専門誌記者)

「代表クラスでなければ難しくなる」

このほかにもロシア・ワールドカップ出場組では仁川ユナイテッドのムン・ソンミン、全北現代のイ・ヨン、城南FCのユン・ヨンソン、ジャカルタ・アジア大会組では仁川ユナイテッドのキム・ジンヤなどの名が挙がったが、意外だったのは慶南FCのDFパク・ジスにもJリーグ進出の噂があるということだ。

パク・ジスは最近までまったくの無名選手。2009年にU-17代表選出はあるものの、所属する慶南FCは昨季まで2部リーグに相当するK2リーグに甘んじていた。

が、今季はK1リーグで躍進を見せ、センターバックとしてその中心となったパク・ジスは、ベント監督体制になって韓国代表にも招集されるようになった。まさに“話題のシンデレラボーイ”で、「そんな彼もJリーグ進出を目指している」(一般紙サッカー班記者)らしい。

また、別の記者によると、かつてアルビレックス新潟で活躍し、14年から17年まではドイツ・ブンデスリーガのホッフェンハイムに所属した全北現代のキム・ジンスにも、Jリーグ進出の可能性があるという。キム・ジンスは昨年1月に全北現代と4年契約を交わしているのだが……。

いずれにしても、複数の韓国記者たちが「来季もJ進出する新たなKリーガーはいるはず」と踏んでいるようで、水面下で取材合戦も始まっているという。それだけに今後、どんなスクープや移籍情報が明るみに出るか楽しみであるが、とあるエージェントは韓国メディアの取材に対し、こんなことも言っている。

「Jリーグの外国人枠拡大でアジア枠というメリットがなくなるため、(韓国人選手も)代表クラスでなければ難しい可能性がある」。

(参考記事:J1優勝、ACL制覇…“第2の全盛期”を迎えた韓国人Jリーガー、外国人枠拡大の影響は?)

確かにその通りだ。外国人枠は増えたが、アジア枠はなくなった。それだけに、代表経験が必須とは言わないまでも、プロの世界で確かな実績を残し、ヨーロッパや南米の選手たちとも対等に戦える競争力とスペシャリティが、日本にやって来る韓国人選手には必要不可欠だろう。果たして、来季はどんな韓国人選手がJリーグにやってくるのか。引き続き注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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