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韓国女子ゴルフ界の“ニューヒロイン”、パク・キョルの初優勝が感動的だったワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
初優勝を飾ったパク・キョル(写真提供=KLPGA)

韓国女子ツアーで先週、感動の初優勝があった。主人公は、「SKネットワークス・ソウル経済レディースクラシック」を制した、デビュー4年目のパク・キョルという選手だ。

「人気女優にそっくり」とも

パク・キョルは2014年の仁川(インチョン)アジア大会の女子ゴルフ個人戦で金メダルを獲得すると、同年の韓国女子ツアーシード戦を1位で通過し、韓国女子ゴルフ界の“ニューヒロイン”として華々しくプロデビュー。ゴルフの実力はもちろん、「人気女優そっくり」とされるルックスで韓国ゴルフファンからの注目も高かった。

(参考記事:【写真10枚】「人気女優そっくり」の韓流美女ゴルファー、パク・キョルが人気沸騰中!!

韓国ゴルフファンだけでなく、筆者自身も、仁川アジア大会の1カ月前に軽井沢で行われた世界アマチュア女子選手権に出場した彼女を取材して以来、長らく注目してきた。

しかしパク・キョルはプロデビュー以来、優勝できなかった。

優勝争いにも加わり、2位を記録したのは2015年2回、2016年1回、2017年1回、2018年も2回と、計6回もある。トップ5入りは計11回、トップ10入りは計21回と、間違いなく実力のある選手のひとりだ。

その証拠に2016年には、人気と実力を兼ね備えた選手10人だけが選ばれる、“KLPGA広報モデル”にも選ばれている。

(参考記事:2016年KLPGA広報モデルたちのグラビア写真が公開!! 「美しすぎる」と絶賛の嵐!!

だが、優勝には手が届かなかった。アジア大会の金メダリストという看板とキュートなルックスで、常に大きな注目を受け続ける重圧は計り知れない。「優勝したこともないのに記事が出る」といった声が、本人を傷つけることもあったという。

優勝できない苦しみは、 “韓国美女ゴルファー神セブン”のひとり、ユン・チェヨンが教えてくれたことがある。初優勝までにデビューから9年かかった彼女は、自分の友人や後輩たちが優勝しているなか、自分だけ優勝できないことがストレスだったと話していた。パク・キョルも近い苦悩を抱えていたことだろう。

見事な大逆転劇で優勝

だからこそ初優勝は感動的だった。その優勝は、これまでの鬱憤を晴らすかのような大逆転劇だった。

「SKネットワークス・ソウル経済レディースクラシック」の最終日、パク・キョルは首位チェ・ヘヨンと8打差、単独2位のキム・ミンソンと5打差の10位タイでスタート。優勝は不可能に思えたが、その日のパク・キョルはボギーなし、6バーディーと、まさに完璧だった。

加えて、首位スタートだったチェ・ヘヨンは前半だけで5ボギー、2位キム・ミンソンも17番ホールで痛恨のダブルボギーで崩れた。パク・キョルは2位に1打差の逆転優勝を果たしている。

デビューから4年、106試合目で掴んだ初の栄光だ。パク・キョルは優勝が決まった瞬間、涙を流した。

「これまで辛かった記憶が思い浮かんで、涙が出た。プロデビューするとき、あまりに多くのスポットライトを浴びて、プレッシャーも大きかった。でも今日の優勝で、その負担を降ろせる」

本心からの言葉なのだろう。昨年、韓国で彼女を独占インタビューしたときも、「プレッシャーがなかったといえば嘘になります」と話していたことを思い出した。

(参考記事:キム・ハヌルやアン・シネに続く、美しき“ニューヒロイン”パク・キョルに直撃!!(前編)

いずれにしても、今回の優勝でパク・キョルはさらに自信をつけることだろう。今後も彼女のプレーに注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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