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新たなる“韓流ゴルフ女神”ユ・ヒョンジュはイ・ボミ、キム・ハヌルに続けるか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
インタビューに快く応じてくれたユ・ヒョンジュ(著者撮影)

今、新たに日本女子ツアー参戦を目指す、若き韓流女子ゴルファーがいる。1994年2月28日生まれ、24歳のユ・ヒョンジュだ。

彼女は去る8月29~31日に行われたファーストクォリファイングトーナメント(QT)を見事に通過。現在は10月31日から始まるセカンドQTを目前に控えている。

韓国メディアがこぞって「ゴルフ女神」「次世代セクシークイーン」と報じる人気選手だけに、もし日本でプレーすることがあれば、大きな注目を集めることだろう。

(参考記事:写真30連発!! “次世代セクシーゴルファー”ユ・ヒョンジュは、アン・シネを超えられるか

そんなユ・ヒョンジュの素顔に迫るインタビュー3回目の今回は、いよいよ目前に迫ったセカンドQTへの意気込み、そして彼女のゴルフ観について聞いた。

ユ・ヒョンジュは10月31日から11月2日まで行われるセカンドQTのA地区に振り分けられたという。舞台は栃木県の烏山城カントリークラブなのだが、今現在の心境が気になった。

というのも、これまで取材してきた韓国女子ゴルファーたちは、みな口を揃えてQTの緊張感について話していたからだ。

“韓国美女ゴルファー神セブン”のひとりとされるキム・ハヌルにいたっては「ゴルフ人生で最も緊張した日々だった」と振り返っていた。ユ・ヒョンジュも同意する。

「自分自身も緊張しますし、周囲の雰囲気も緊張感があります。1年を決める試合なので、他の大会に比べてプレッシャーも大きい。選手たちの表情も硬くて、笑っている人もいないです。

ただ、私がプレッシャーを感じたからといって、良いプレーができるわけではないと思うんですよ。最大限、“普段通り”と考えるように努めています。余計な力が入らないように。自分のゴルフができるようにしたいですね」

“自分のゴルフ”という言葉を聞き逃すわけにはいかなかった。

以前取材した“韓国女子ゴルフ界のニューヒロイン”パク・キョルも、「周りを気にせず、自分のプレーにだけ集中すること」が信条だと語っていたが、ユ・ヒョンジュが目指すゴルフとは、一体どんなゴルフなのだろうか。

「自分が主人公のゴルフですね。他人や外部の影響を受けず、自分のプレーに没頭しているときが、一番満足する瞬間です。もちろん自分の思い描いた通りにボールが落ちればいいですけど、たとえそうならなくてもゴルフに集中しているときが大切。ボギーになっても、自分自身が納得できればいい」

ユ・ヒョンジュには成績以上に大切にしているものがあるという。

「バーディーに喜んで、ボギーに落ち込む。そういうゴルファーは、優勝したら心底うれしいでしょう。ゴルフで結果を出すことがすべてだからです。でも成績が落ちると、それこそ自尊心までボロボロになってしまう。私はそういうスタイルではないようです。数字や成績に縛られるのも好きではないですね。ひたすら自分で感じて、自分が考えて、自分で選択するゴルフ。自分が主人公のゴルフをしたいという気持ちが強いです」

彼女がそんな思いを持つようになった背景には、“ゴルフを一度やめた”という過去が影響を与えている。ユ・ヒョンジュは21歳のときに、一度ゴルフから完全に離れている。はっきりと誰とは明言はしなかったが、他人に「これをしなさい」「これはやめなさい」と統制されながらゴルフをしていることが嫌になったという。韓国での対面インタビューは今回で2回目だったが、初めて聞いた話だ。

「すべてを統制される人生を生きていると、“自分は誰なのか”と思うようになったし、たとえそれでいい結果が出ても幸せなのだろうかと思った。とても重要な問題です。誰かのセッティングで動くロボットのようになって、結果を残したとしても、そのセッティングした人が幸せなのであって、私が幸せではない。だから、ゴルフをやめた。2年間、ゴルフを一切やっていないんです。クラブを見たくもなかった」

しかしゴルフを離れてみて、気付いたことがある。すると再びクラブを握るしかない気持ちが生まれた。

「“私の限界ってどこなんだろう”、“自分が自主的にゴルフをやったらどこまで行けるのか”と考えるようになりました。そして再びゴルフを始めたんです。自分で自分の足りないところを見つけて、補い、挑戦する。同じゴルフをしても、やらされているのとは、まったく違います。今もその途中ですし、日本ツアー挑戦もそのひとつです」

そんなユ・ヒョンジュだけに、「ゴルフ選手はこうあるべき」といった枠組みが大嫌いなんだとか。

「韓国では私に対して“ゴルフ選手らしくない”と指摘する声も少なくないんです。でも私はその枠組みに入りたくない。他の人も“そこから出るべき”なんてことは思いませんが、その枠組みに無理やり合わせて髪の毛を黒く染めたりはしません。ファッションだって、ある意味、人生の一部じゃないですか。そこに制限を作る必要はないと思うんですよね。私のカラーのまま、ゴルフをしたいんです」

実際に彼女のSNSをのぞいてみると、ファッションや髪型にもこだわりが伝わってくる。ゴルフ選手らしくないかもしれないが、ユ・ヒョンジュらしいと感じるのは私だけではないだろう。

(参考記事:韓国ゴルフ界を騒がせている若きセクシー美女、ユ・ヒョンジュのSNSがスゴい!!

あまりに気が早いが、ユ・ヒョンジュは日本でプレーすることになったらどんなことに期待しているのか聞いてみたくなった。韓国ゴルファーのなかにはこちらが思いつかないような、日本の良いところを話す選手が少なくないからだ。

(参考記事:韓国美女ゴルファーたちに聞いた!! 日本から離れられないワケ

ユ・ヒョンジュは「まだまだそんな段階ではないですよ」と前置きしながら、「それでも」と続けた。

「それでも期待しているところがあるとすれば、日本は聞いたところによると、選手一人ひとりの個性をとても尊重してくれるといいます。そういうところで良いフィードバックがあるのであれば、とても素晴らしいことだと思います」

自分らしく生きることをゴルフを通じて実現しようとしているユ・ヒョンジュ。日本女子ツアーへのチャレンジもその過程なのだろう。10月31日にから始まるセカンドQTを通過できるか、注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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