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元KARAク・ハラだけじゃない。韓国芸能界の闇に葬られたリベンジポルノの被害者たち

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ク・ハラ(写真提供=SPORTS KOREA)

韓国はもちろん、日本でも絶大な人気を誇ったK-POPガールズグループKARAの元メンバーであるク・ハラと、彼女の元恋人との間に起きたトラブルに関するニュースが、連日のように報道されている。日本でも複数のワイドショーで大きく取り上げられている状況だ。

(参考記事:【画像】元KARAク・ハラの“変わりっぷり”が話題!! 「えっ、まるで別人のようだ…」

過去にも芸能人のリベンジポルノ被害者が…

思えばク・ハラの身辺が騒がしくなったのは先月9月のこと。突如としてネット上で「自殺未遂説」が飛び交い、所属事務所が事実無根としたことで一件落着したかと思いきや、今度は元恋人への暴行容疑が浮上した。

警察の事情聴取を受けたク・ハラは、暴力を振るったのは元恋人のほうでリベンジポルノの存在を匂わせながら脅迫を受けていたことを告白するなど、衝撃的な展開が続いている。

もっとも、韓国芸能界でリベンジポルノ騒動が起きるのは今回が初めてではない。

韓国芸能界では、これまでも元恋人や元配偶者が怨恨や金銭目的に、芸能人たちの私生活を隠し撮りした動画や画像がネット上に流出する事件が度々、起こってきたのだ。

(参考記事:ク・ハラだけじゃない!! 人気女優に絶頂歌姫まで、韓国芸能界“リベンジポルノ“事件簿)

韓国では2013年に性暴力犯罪の処罰する「性暴力特別法」が改正され、性的動画を武器に脅迫した加害者に罰則が科せられるようになったが、それでもリベンジポルノの被害に遭う女性タレントや歌手があとを絶たなかった。

最近もタレントでポップアーティストでもあるナンシー・レンが、昨年12月に結婚した夫から性的関係の動画を流布するという脅迫を受けていることを告白。韓国メディアは「ク・ハラに続きナンシー・レンまで…今そこリベンジポルノを厳罰すべき」と、卑劣な行為を厳しく取り締まるべきだと強く訴えている。

5年間で2・5倍になった発生件数

実際、ここ数年、韓国ではリベンジポルノが深刻化している。

韓国メディア『ニュースウォーカー』が報じた韓国警察庁の統計によると、2012年は2400件だった不法撮影およびリベンジポルノなどのサイバー性暴力発生件数が、2017年には6470件にまで増えているというのだ。

それだけにク・ハラの告白は、単なる芸能スキャンダルではなく社会問題としてリベンジポルノが問題視されるキッカケにもなっているが、芸能人としては致命傷にもなりかねない。

事実、韓国ではリベンジポルノの被害に遭い、元交際相手を告訴するも泥仕合となり、今も芸能活動を再開できていない元美人アナウンサーもいる。

(参考記事:韓国芸能界史上最悪の“性スキャンダル”。人気アナの芸能生命を奪ったリベンジポルノとは?)

人気商売である芸能人にとって、リベンジポルノが存在するだけでもそのイメージに大打撃を受けることは必至なのだ。

韓国大統領府はどんな回答を示すか

ただ、それでもク・ハラは告白せずにはいられなかったのだろう。そして、そんな彼女の勇気ある告白を支持する女性たちも多い。

10月6日にはソウル市内で約1万5000人の女性たちがリベンジポルノに抗議するデモを展開した。

韓国大統領府のホームページに設置されている“国民請願”掲示板には「リベンジポルノ犯たちを強力に処罰してください」という書き込みが10月4日にあり、その賛同者は10月17日時点で23万人を突破した。

国民請願は書き込みがあったあと、30日間に20万人以上の署名が集まれば、長官や首席秘書官を含む政府関係者が正式に回答を示すことになっている。つまり、政府も何かの処置を示さなければならない。

現在、韓国には「性暴力犯罪の処罰などに関する特例法」(性暴力特別法)があり、その第14条によると、リベンジポルノの加害者には「5年以下の懲役、もくしは1000万ウォン(約100万円)以下の罰金」に処される。

ただ、加害者の90%が執行猶予や罰金刑に留まっており、「綿棒で叩かれる程度の処罰」という指摘が絶えない。被害者の心的苦痛や2次被害を考慮して、さらに厳罰を科すべきだろう。

いずれにしても、ク・ハラとその元恋人間のトラブルは、今や男女間の恋愛トラブルという範疇を越えて韓国が解決すべき社会問題のひとつとして大きな注目を集めている。

今週中には主張が食い違うふたりを警察署に呼んで対質尋問(事件当事者たちを相対させて尋問すること)を実施する予定だというが、はたして。リベンジポルノという卑劣な行為が韓国から一日も早くなくなることを願うばかりだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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