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「持ち去らない、偽装しない」急増する海外旅行者に韓国が促すエチケット

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:アフロ)

海外旅行を楽しむ韓国人がますます増えている。

韓国国土交通部によると、夏休みシーズンに入った去る7月の航空旅客は、昨年同期比6.2%増加した995万人となった。特に国際線の旅行者は前年より11.0%も増加した、730万人に達したという。

地域別に見ると、中国(27.3%)、ヨーロッパ(12.5%)、東南アジア(9.8%)、日本(6.7%)などが上位だった。

韓国ではつい数年前までは「2000万人出国時代が来る」などといわれていたが、今では「海外旅行3000万人時代」という言葉も出ているほど、海外旅行を楽しむ人々が急激に増加しているようだ。

そんななかで目を引いたのが、韓国観光公社が掲げたスローガンだ。「旅券と同じくらい重要なエチケットも準備していきましょう」というスローガンを掲げて、海外旅行文化の改善キャンペーンを展開しているのだ。

聞けば、海外旅行者が増えたことで海外現地でマナーの悪い韓国人観光客が相対的に増えたことが、このスローガンを掲げることになった一因らしい。

海外旅行者増加で露呈したマナー不足

韓国観光公社の調査報告書「2017年海外旅行実態と2018年海外旅行トレンド展望」によれば、韓国人のマナー水準は、5.00点満点中2.75点で「普通以下の水準」(『聨合ニュース』)だという。

(参考記事:海外で露呈した自国民のマナー不足…韓国人が自らを「恥ずかしい」と猛省している行動とは?

そのため韓国観光公社が「旅券と同じくらい重要なエチケット」として10つのエチケットを示すようになったわけだが、そのレベルが低く困惑してしまう。

例えば、「機内やホテルの備品を持ち去らない」という項目だ。

補足説明として「飛行機の毛布やヘッドホン、化粧品、トイレの歯ブラシ、ホテル客室のタオル、ドライヤーなどを持ち去るのは“盗み”と同じ。備品は使用後、所定の場所に置いておきましょう」とある。

わざわざ指摘する必要もないのではと思ってしまうが、そういった行為をする人がいるということなのだろうか。

低レベルすぎる“10つのエチケット”

他にも「公共施設の立ち入り禁止区域に入らない」「観光地の落書き&文化財の毀損禁止」「ミニバーの使用後、偽装しない」などなど、まるで子供を諭すかのようなものばかりで、ちょっぴり情けなくもなってくる。

(参考記事:「持ち去らない」「偽造しない」…韓国の低レベルすぎる“10つのエチケット”とは?

ただ、それも仕方がないかもしれない。

実際に毎日のように韓国人観光客のトラブルは報じられており、一般人だけではなく、ただでさえ注目を集めやすい女優や有名人までもが“軽率すぎる行為で大炎上”しているのが現実なのだ。

マナーの悪さが国の評判にも影響

最近では海外メディアが「Ugly Korean(醜い韓国人)」と報じていることも、韓国国内では知られている。

以前、ドイツ留学経験を持つ韓国人がブログで「規則的なドイツ人に比べて、韓国人は無秩序でラフな人が多い。だからドイツ人に嫌われる」と自己批判していたことがあった。

(参考記事:韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのか

海外でエチケットやマナーが不足した行動を行えば、自国の評判に悪影響を与えるのは当然だ。たとえレベルが低くても、早急に改めるべきマナーは、一歩ずつ改善していくしかない。

海外旅行に出ると、日常とは異なる空気に触れることで浮かれてしまい、そういった自覚も薄らいでしまうのかもしれないが、現地文化の理解に努め、現地のマナーを守ることはよりよい海外旅行を楽しむための最低限のルールだろう。

いずれにしても海外旅行を楽しむ人が増えて、エチケット面でも改善を図ろうとしている韓国。着実な前進を願うばかりだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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