レッドカードが4.2倍にまで!! 韓国Kリーグで退場者が続出しているワケ
韓国でも昨日5月5日は子供の日だった。そんな中、Kリーグ第12節が行われ、各地で多くの観客を集めた。
もっとも多くの観客を集めたのは、FCソウル対水原三星の一戦。韓国で“スーパーマッチ”と呼ばれるナショナルダービーである。
その入場者数は3万6788人。FCソウルが子供たちの入場を無料にしたこともあるが、有料観客数は2万9617名とまずまずだった。4月に水原で行なわれた“スーパーマッチ”の観客数は、史上最低の1万3122名だっただけに、Kリーグ関係者たちもほっと一安心というところだろう。
ただ、その一方で悩ましい問題も抱えている。韓国Kリーグでレッドカードが多発しているのだ。
1~10節までの60試合で、25枚のレッドカードが出されているという。そのうちイエローカードの累積による退場は7回に過ぎず、一発レッドが計18回にも及ぶ。昨シーズンの同時期に比べて、4.2倍の多さなのだ。
退場者続出の原因は?
特に4月28~29日に行われた4試合では、6人の退場者が出ている。近年Kリーグの観客動員数が激減しているだけに、そのさらなる原因になってしまわないかと注目せざるを得ない。
(参考記事:転げ落ちるようにKリーグの観客動員数がさらに激減…その原因はどこにあるか)
韓国の大手スポーツ紙『スポーツ・ソウル』は、レッドカード続出の原因をビデオ判定(VAR)にあると分析している。
Kリーグでは昨季からビデオ判定を導入しているのだが、『スポーツ・ソウル』は韓国プロサッカー連盟の関係者の言葉として、「主審が映像で相手の足を踏んだり肘をぶつけたりする行為を確認できるため、どうしても以前より退場者が増えるしかない」と伝えた。
これまで見逃されてきたラフプレーが“見える化”したことが主な理由というわけだ。
制裁金の多いプロサッカー
ただ、そうした判定に対して抗議するシーンも増えており、コーチングスタッフやクラブ関係者に制裁金が科せられるケースも増えている。
3月28日には審判の判定を不服として抗議した蔚山現代のキム・ドフン監督が500万ウォン(50万円)の制裁金を科せられ、4月19日には大田シチズンが2000万ウォンの制裁金を科せられている。
その理由は、大田シチズンのキム・ホ代表理事が審判の判定に不満を持ち、審判待機室に乱入したからというものだ。
この金額を高いと見るか低いと見るかは意見もさまざまだが、韓国の4大プロリーグ(サッカー、野球、バスケ、バレーボール)の制裁金を見てみると、Kリーグがずば抜けて高いことがわかる。
『朝鮮日報』が報じたところによれば、韓国プロサッカーに制裁金制度が設けられたのは1994年。それから現在までに制裁金の合計額は、24億ウォン(約2億4000万円)となっている。1982年に制裁金が設けられたプロ野球(5億2108万ウォン)と比べても、5倍近い金額だ。
韓国プロサッカー連盟の規定を見ると、クラブの運営責任者など役職員が審判の判定に過度な抗議をしたり、乱暴な不満をしめしたりした場合、500万ウォン以上の制裁金を課すことができると定められている。
審判に対する脅迫または名誉毀損、侮辱などの言動の場合は、1000万ウォン以上の罰金だ。試合の公平性を守るための規定だろう。
事実、2013年にKリーグ審判2人に対して、数回にわたって全北現代に有利な判定をするよう要請し、総額500万ウォン(約50万円)を渡したとされ、全北現代の元スカウトが懲役6カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けたことがあった。
(参考記事:審判買収で有罪判決の全北現代元スカウトが遺体で発見…真相は闇の中へ)
そんな事件があったからこそ、なおさら審判への対応には敏感になるところなのだろう。
審判への不信も募る
一方で、審判自体にも問題があるという指摘も少なくない。
「プロスポーツの判定問題で“麻疹(はしか)”…深まる“不信の時代”」(『KBS』)という記事では、「サッカーだけでなく、野球やバスケなどプロスポーツ界では最近、審判の判定に対する不信に溢れている」と報じていた。
そして、ここ最近の不可解な事例を挙げながら「各連盟では審判教育を強化しているが、根本的な対策はなされておらず、グラウンドには深い不信が積もっている」と締めくくっている。
他にも「プロスポーツ判定騒動、審判の努力が先」(『サッカージャーナル』)といった記事もあるように、審判への批判の声も高まっているのが現状だ。
そんな審判への注目が集まるなかで、海外の“美しすぎる審判”が話題になったりもしているというのだから、皮肉ではないだろうか。
(参考記事:【画像あり】全世界が注目する“美しすぎる審判”、微笑みひとつで選手の不満も消える!?)
いずれにしても、現在Kリーグでレッドカードが多発しているのも、さまざまな要因が複雑に絡まりあって起きている現象かもしれない。
公平な試合が行われるよう、選手も審判も努めるべきだろう。