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「韓国の圧勝じゃないか」と“上から目線”!? 韓国で東京五輪の関心が高まっている

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
東京五輪は2年後…(写真:つのだよしお/アフロ)

平昌五輪が閉幕して1週間が過ぎた韓国では、次のオリンピックとなる東京五輪に対する関心が高まっている。

そもそも平昌五輪の開幕期間にも、女子カーリングで名勝負を演じた日本の藤澤五月と、韓国の“メガネ先輩”ことキム・ウンジョンが何かと比較されていたが、現在は平昌五輪と東京五輪自体の比較が増えているようだ。

とはいえ今現在、注目を集めているのは具体的な競技や選手というよりも、もう少し表面的なことだ。

例えば、大会マスコットを挙げられる。

大会マスコットは「韓国の圧勝」!?

東京五輪の大会マスコットが発表された際、韓国メディアは一斉に報じていた。

また、それを見た韓国人たちも平昌五輪のマスコットを引き合いに出して「韓国の圧勝じゃないか」などと反応を見せている。

(参考記事:「え、これ? なぜ…」「韓国の圧勝じゃないか」東京五輪マスコットを見た韓国の反応

『中央日報』や『ソウル新聞』などは、「彼ら(東京五輪のマスコット)は平昌冬季五輪の公式マスコットであるスホランとバンダビに追いつくことが難しいだろう」としたイギリスBBCスポーツの報道を紹介したりもしていた。

また、オリンピックをサポートするボランティアに関するものも。そのユニホームの比較だ。

『中央日報』は3月1日、「“ドラえもんのようだ”と酷評された東京五輪ボランティアのユニホーム…平昌五輪のように“献身”の象徴になるか」という記事を報じている。

『中央日報』は以前も「平昌の寒さを情熱で溶かします“美女ボランティア”三銃士」という記事を掲載したように、ボランティアに高い関心を持っているようだが、同記事では、まず平昌五輪のボランティアのユニホームを「赤と灰色の服はボランティアの献身を象徴する存在になった」と評価している。

そして「東京五輪のボランティアユニホームも注目を集めている」と紹介。舛添前知事が2015年6月に策定したユニホームを写真入りで紹介しながら、「あまりに地味だ」「残念だ」と日本で酷評されたことを詳しく伝えていた。

韓国は成功させた。日本はどうだろうか?

いずれも若干の“上から目線”を感じなくもないが、それは自国で開催した平昌五輪が成功したという自信の表れから来ているのかもしれない。

『イルガン・スポーツ』の「平昌で始まったオリンピック三国志、日本-中国はどうか」という記事では、「平昌が成功裏に閉幕したことで、2020東京五輪-2022北京冬季五輪につながる東アジア3カ国の五輪リレーが始まった」と分析。

そして「アジアを代表する韓・中・日3カ国が続けてオリンピックを開催することは、国際的にも意味が大きい」とし、「平昌はもっとも重要な“最初のボタン”の役割を務めた」と自負している。

さらに先日の韓国ギャラップ社のアンケート調査でも、84%が「平昌五輪は成功的だった」と評価していた。

(参考記事:「藤澤五月ら“美しい日本のライバル”がアシストした」メガネ先輩らカーリングが1位に!!

つまり「韓国は成功させた。日本はどうだろうか?」といった関心があるのだろう。

もっとも、平昌五輪は成功的に終ったかもしれないが、今後のことを考えると韓国に“高見の見物”をする余裕はないはずだ。

というのも、今回の平昌五輪では、開・閉会式が開かれたオリンピックスタジアムをはじめ、7つの試合会場が新設され、6つの会場が補修されたが、今後の事後活用案が明確に定まっていないのだ。

東京五輪は次世代に継承される「レガシー(遺産)」を創出するコンセプトのもとで準備が進んでいるが、平昌五輪は五輪レガシーどころか、このままでは“負の遺産”にもなりかねない懸念があるのだ。

(参考記事:200億円以上を投じた競技場も…平昌五輪の“遺産”活用法がまだ決まらない韓国の苦悩)

そうした状況を棚に上げて平昌五輪の成功だけを強調するのは気が早いような気もするが、いずれにしても、韓国で東京五輪が高い関心を集めていることは間違いない。東京五輪が閉幕するまで、平昌五輪との比較は続いていきそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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