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日本ではユーチューバーチップス発売。隣国でも韓国版ニコ動も凌ぐ人気のYouTube事情

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

人気ユーチューバ―(YouTuber)のオリジナルカード付きのお菓子「ユーチューバ―チップス」が発売されるという。日本におけるユーチューバ―たちの人気ぶりを物語る一例とも言えるが、最近は韓国でもユーチューバーたちが人気だ。

韓国でも大物ユーチューバ―が誕生

その人気ぶりを物語るのが、2月24〜25日までの2日間、ソウルのオリンピック公園で開催された『YouTube FanFest Korea 2018』だ。

人気ユーチューバーとファンがオフラインで交流できるYouTubeの祭典で、日本でも昨年12月17日に東京ビッグサイトで開催されたので、ご存知の方々も多いことだろう。

日本では“バブリーダンス”で注目を集めた大阪府立登美丘高校ダンス部やDAOKOなど、人気のアーティストとユーチューバーらが出演したが、韓国でも大物ユーチューバーが参加している。

例えば、“デトソグァン”。日本語にすると「大図書館」という滑稽なネーミングだが、彼は日本の人気グラドルである篠崎愛とYouTubeで共演し、一躍、有名になった。篠崎愛は韓国でも絶大な人気を誇るだけに、羨望と尊敬の念を集めたのは言うまでもないだろう。

(参考記事:日本のグラビアアイドル篠崎愛が韓国で爆発的な人気を呼んでいる!!)

この“デトソグァン”の例でもわかる通り、今や韓国でもYouTubeが人気動画サイトになっているわけだが、数年前まで韓国で動画サイトと言えば、『Afreeca(アフリカ)TV』や『POPKON TV』だった。

金を稼ぐBJを生んだ“韓国版ニコ動”

韓国版『ニコニコ動画』にもたとえられる『Afreeca(アフリカ)TV』は、キム・イブ、BJコッピン、BJエッジ、パク・ソヒョンら“BJ4大女神”というスターBJを生み出した。

BJとは「ブロードキャスト・ジョッキー」の略で、それこそユーチューバーと性格が近い。アフリカTVでは、視聴者が「星風船(ピョルプンソン)」という有料アイテムを画面上に飛ばし、BJを金銭的に支援することができるのだが(投げ銭のようなイメージと言えばわかりやすいだろうか)、星風船で数億ウォンを稼ぐBJもいる。

その稼ぎの多さに目を付けて、日本のアダルト女優たちもライブ配信を行なっていたほどである。

(参考記事:時給は12万円!? いま、日本のAV女優たちが韓国版ニコ生で大活躍中!!)

ただ、最近はそんな『Afreeca TV』やBJよりもYouTubeが韓国でも存在感を高めている。

それは、韓国の情報通信・放送専門研究機関である情報通信政策研究院が発表した資料を見てもわかる。

若い世代から圧倒的支持得ているYouTubeの功罪

同研究所が発表した2017年調査によると、韓国の10〜20代の若者たちがもっとも利用するアプリ1位に挙げているのがYouTubeだった。彼らがYouTubeアプリを開く回数は1日平均4.4回、視聴時間は51.5分ほどだという。

資料では10代のスマートフォン利用時間も発表されていたが、その平均は1日2時間20分。つまり、スマートフォンを持つ10代たちは、その利用時間の約3分の1をYouTubeに費やしていることになるわけだ。

それだけユーチューバーの影響力も高まっているわけだが、その一方で一部ユーチューバーらのモラルに反する行為が物議を醸しているのも事実だ。

過去には、通行人へのイタズラ、自宅放火などの過激な放送内容が問題になったこともあるし、最近では美女系ユーチューバーでチャンネル登録者数40万人を超えていた“Lena”が過去に発した下品ずきる発言が問題となっている。

先日は、日本人女性に対してナンパや隠し撮りといった違法行為を行ったユーチューバーが炎上している。そういったユーチューバーらの非常識的な行為が、子供たちに悪影響を及ぼすのではと心配する保護者も少なくないのが現状なのだ。

(参考記事:日本人女性を盗撮、ナンパする人も…。韓国人YouTuberらの違法行為が止まらない!!)

それだけにYouTube側にも対応が求められており、今回の『YouTube FanFest Korea 2018』でも、幼稚園児や小学生など、子供のためのキッズ・フェスティバルも用意された。韓国メディアの取材に応じたGoogle Koreaマーケティング総括常務のシン・ギョンジャ氏によると、キッズ・フェスティバルは世界初の試みらしい。

韓国でももはやテレビを脅かす存在になりつつあると言っても過言ではないYouTube。

日本はもちろん、世界中で何かと話題となり、人気者になると今や億単位のお金も稼ぐ者までいると言われるユーチューバーだが、その影響力が高まれば高まるほど、モラルと社会的意義が問われていくのは間違いないだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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