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極寒、強風、美女応援団……前半戦が終了した平昌五輪。現場で見えた“様々な光景”

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
江陵駅では多くの外国人観光客の姿も(著者撮影)

平昌五輪が開幕して早いもので1週間が過ぎた。連日繰り広げられている各種目の結果に一喜一憂する毎日だと思うが、この1週間を振り返るとさまざまな出来事があったような気がする。現場で感じたことをいくつかの写真とともに紹介したい。

江陵オリンピック・パーク(著者撮影)
江陵オリンピック・パーク(著者撮影)

まずは気候について。韓国消防庁が「平昌五輪の開催期間、最低気温はマイナス21度、体感温度はマイナス31度」と予想するなど、大会前から“極寒五輪”となる恐れがあると懸念されてきたが、今のところ寒さのせいで大きなトラブルは発生していない。

(参考記事:治安を問題視した日本を「平昌に水を差す」と非難…韓国の安全・防寒対策の現状は?)

強風で窓ガラスも割れていた(著者撮影)
強風で窓ガラスも割れていた(著者撮影)

ただ、強風問題などが発生。2月10日にはスキージャンプの男子ノーマンヒルが何度も中止されたし、14日は強風のせいでバイアスロン女子15キロが延期になっただけではなく、江陵オリンピック・パークでは会場内のテントが破損したり、フェンスが崩れた。大ケガではないが、16名の負傷者も出たという。

ちょうどこの日はオリンピック・パーク内にいたが、大会スポンサー企業の展示館や広報ブースの運営が中断されたほどだった。

公式グッズを求める観客たち(著者撮影)
公式グッズを求める観客たち(著者撮影)

そうした予期せぬトラブルの対応に追われるボランティアの姿が印象的でもあった。

大会前に行われた開会式リハーサルで、60名前後のボランティアのボイコット騒動が起きたと聞いて心配していたが、実際に来てみると多くのボランティアが笑顔でそれぞれ任された仕事をこなしている印象を受けた。

ボランティアの姿をよく見かける(著者撮影)
ボランティアの姿をよく見かける(著者撮影)

(参考記事:美女三銃士や人気モデルもボランティアとして奮起。平昌五輪は過去の“汚名”を返上できるか?)

江陵スピードスケート場では溌剌とした笑顔で来場客を誘導する日本人女性ボランティアの姿もあった。

江陵スピードスケート場(著者撮影)
江陵スピードスケート場(著者撮影)
見覚えのある“応援マン”(著者撮影)
見覚えのある“応援マン”(著者撮影)

そんな中で目を引いたのは、真っ赤な服を着た韓国応援団らしき一団だ。衣装だけでなく顔にも大極旗のペイントをした人物は、サッカー・ワールドカップでもかならず見かける応援マンで、知り人ぞ知る人物だ。

会場では彼のような“お祭り男”だけではなく、芸能人や著名人もよく見かけた。大会前から多くのアイドルたちが平昌五輪の盛り上げに一役買っていたが、オリンピックを一目見ようと会場に駆けつける人々が多いことを実感させられる日々だ。

(参考記事:【画像あり】意外にもK-POPアイドル祭り!? 平昌五輪広報のために一肌脱いだアイドルたち)

ただ、その割には各会場の客席に空席が目立つのも事実だ。

大会組織委員委員会は2月14日、「2月13日の時点でチケット販売率は85.9%。目標値の106万9000枚のうち、91万8000枚が売れた」と発表したが、その割には空席がチラホラと目立つのである。

南北合同チーム結成発表後、予約分が即完売してしまった女子アイスホッケーでは、異常現象が起こった。

会場となった関東(クァンドン)アリーナは6000人収容だが、スイス戦の観客は3601人(組織委員会発表)にしかならなかったのだ。

女子アイスホッケーのコリア対スマイル・ジャパン(著者撮影)
女子アイスホッケーのコリア対スマイル・ジャパン(著者撮影)

2月14日に行われた南北合同チーム対スマイル・ジャパンの試合を観客席で見守ったが、当日券も販売開始(試合開始2時間前)1時間で完売してしまったという割には、いくつかの空席が見受けられたほどだ。

当日券販売所(著者撮影)
当日券販売所(著者撮影)

「チケットを高額売買しようとするダフ屋が買い占めてしまったことも関係している」というのが組織委員会の見解だが、招待客らしき団体(おそらく企業や自治体がチケットを大量購入して配っているのだろう)も多い印象も受けて、ちょっぴり心配になってくる。

残り1週間。これから平昌五輪はどんな盛り上がりを見せるのか。これから行われる競技と併せて注目していきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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