脱北した代表選手もいた韓国女子アイホ…スマイル日本と対戦する南北合同チームの実力は?
本日2月14日に行れる平昌五輪の競技で韓国はもちろん、日本でも注目を集めそうなのは女子アイスホッケーの予選リーグ“コリア対日本の対決だろう。
南北合同チームとスマイル・ジャパンの一戦に関しては、現地でもかなり注目度が高い。チケットはすでに入手困難だと聞く。
数か月前にはまったく予想できなかったことだ。昨年2月にギャラップ社が行なった平昌五輪に関する世論調査で、女子アイスホッケーに対する韓国人の関心は3%に過ぎなかった。
それが先月の調査では21%にまで跳ね上がったというのだから、南北合同チーム結成効果であることは間違いないだろう。最近はキャロライン・パクのようにキュートなルックスが話題になるアイドル的存在にも注目が集まっている。
(参考記事:「かわいすぎませんか?」アイスホッケー南北合同チーム選手、キャロライン・パクとは)
そんな関心集まるかの国の女子アイスホッケー熱を見ながら思い出すのは、2016年8月に韓国で公開された映画『国家代表2』だ。
2003年に日本の青森県で行なわれたアジア冬季大会に挑んだ韓国女子アイスホッケーチームをモチーフにした、笑って泣けるスポ根映画なのだが、その主人公は北朝鮮から脱北した女子選手だった。
演じたのは、人気女優で韓国メディアが選ぶ“デコルテ美人TOP4”にも選ばれたスエ。北朝鮮でエリートホッケー選手だったリ・ジウォン役を見事に演じているのだが、実はその役どころには実際のモデルがいた。
ファン・ボヨンだ。北朝鮮で12歳からアイスホッケーをはじめ、1997年に脱北。2000年から韓国代表としてプレーするようなった彼女は、当時の韓国代表のエースとして活躍した。
現在、韓国に暮らす脱北者の数は3万1256人に(韓国統一部発表/2017年11月基準)なるとされており、最近は“脱北美女CEO”など、韓国社会で多様な職種につく者たちも多いが、脱北者でありながら韓国代表になったケースはそう多くはない。
映画でもその苦労が詳細に描かれており、特に生き別れた妹と対戦する北朝鮮との3位・4位決定戦はドラマチックだったが、青森アジア冬季大会の現実は厳しい。
映画の中の韓国女子アイスホッケー代表は日本に惜敗しているが、実際には日本に0-21で敗れている。青森アジア冬季大会で韓国は4戦全敗。1得点80失点という惨敗だった。
韓国女子アイスホッケーはその後も冬季アジア大会で勝利できず、2007年の札幌大会では日本に0-29というさらなる大敗も喫している。韓国と日本は昨年の2017年札幌アジア冬季大会での対戦も含めて7度対戦しているが、日本に一度も勝ったことがないのだ。
ただ、昨年の2017年札幌アジア冬季大会のスコアは3-0で日本の勝利。点差は縮まりつつある。
韓国が力をつけてきた背景には、2014年からチームを指揮するセラ・マリー監督の存在もあるだろう。指導者経験ゼロながら、その血統や体系的なトレーニングは韓国女子アイスホッケーを格段にレベルアップさせたと評判だ。
(参考記事:アイスホッケー南北合同チームのセラ・マリー監督って何者? 29歳の外国人指揮官の正体)
南北合同チーム結成の一報を聞いたときには「困惑している」と語っていた指揮官だが、最近は「チームワークが次第に良くなっている」と南北合同チームに手応えを示した。
ただ、北朝鮮の選手が加わったからといって、これまで一度も勝ったことがない日本に勝てる可能性が高まったわけではないだろう。前出したファン・ボヨン氏も最近、韓国メディア『中央日報』の取材に応じて、南北合同チームをこう展望している。
「冷静に見て単一チーム(南北合同チーム)は少なくて3点、多ければ10点差で負けることも考えられます。目標である1勝を果たせる相手として見込んでいた日本も、最近のテストマッチでチェコやドイツを破るなど好調です。日本の選手は足元が見えないほど速くてガムシャラ。単一チームのことを“ガム”を噛むように楽な相手と思っているかもしれない」
韓国では、「ひとつ」になった強みとホーム・アドバンテージが追い風になって南北合同チームにも勝機があるとしているが、果たして…。
映画のような“フィクション”でも“ファンタジー”はなく、スポーツの“リアル”が待ち受けていることだけは間違いない。