Yahoo!ニュース

かつて“韓流大巨人”の名で人気を集めたチェ・ホンマン、立ち技では10年ぶりの勝利!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
チェ・ホンマン(写真提供=SPORTS KOREA)

かつて“コリアン・モンスター”と呼ばれて日本でもその名を轟かせた長身ファイターのことを覚えているだろうか。“韓流大巨人”の異名もあったチェ・ホンマンのことである。

近年は金銭トラブルに暴行沙汰など

韓国の伝統格闘技“シルム(韓国相撲)”で日本の横綱に匹敵する地位まで上り詰め、K-1に参戦しボブ・サップなどとも激闘を繰り広げた。

2010年には嵐の大野智主演のドラマ『怪物くん』でフランケンを演じるなど、芸能界でも引っ張りダコだったが、韓国に戻ってからは金銭トラブルが発覚したり、女子大生への暴行疑惑が浮かび上がったりと、トラブルやスキャンダルが取り沙汰されることが多かった。

(参考記事:日本でも人気を博したチェ・ホンマンだが、近年は金銭トラブル続きで…)

そんなチェ・ホンマンが久々にファイターとしての顔を取り戻した。昨日11月27日にソウルで行われた格闘技大会『エンジェルス・ファイティング』で、立ち技限定のキックボクシング・ルールでは10年ぶりの勝利を挙げたのだ。

ROAD FCでは期待に応えられず

韓国の格闘技大会と言えば『ROAD FC』が有名だ。『ROAD FC』は、韓国はもちろん中国でも興行を展開しており、2015年7月には日本の東京・有明コロシアムでも『ROAD FC 024 in JAPAN』を開催しているので、ご存じの格闘技ファンもいることだろう。

最近は人気ラウンドガールで“一発KOセクシー”の異名を持つ チェ・スルギなども有名で日本でもファンが多い。

(参考記事:ラウンドガール界の“ポーズの女王”チェ・スルギが魅せる一発KOセクシー!!)

実は韓国帰国後、チェ・ホンマンもこの『ROAD FC』のリングに上がっていた。2015年7月に『ROAD FC 024』で6年ぶりの格闘技復帰を果たしていたのだ。

ただ、復帰戦は開始2分も持たずに失神KO負け。続く『ROAD FC 027』(2015年12月)では対戦相手の棄権によってTKO勝利を収め、『ROAD FC 030』では1ラウンドTKO勝ちするが、マイティー・モーとの3度目の対戦となった2016年4月の『ROAD FC 033』では1ラウンドKO負けを喫していた。

ちなみに同じ時期、『ROAD FC』は“美しすぎるファイター”にして有名だったソン・ガヨンとのトラブルも抱えていたが、なかなか復活できないチェ・ホンマンは“期待外れの客寄せパンダ”だったかもしれない。チェ・ホンマンにとっても苦しい時期だったことだろう。

異色コンセプトのエンジェルス・ファイティングとは?

そんなチェ・ホンマンが『RODA FC』に別れを告げて選んだのが、『エンジェルス・ファイティング』のリングだった。日本では聞きなれない格闘技団体だが、このコンセプトはユニークだ。

なんと興行収入の一部を、難病に苦しむ子供たちに寄付することを目的にしており、俳優のチョ・ジュノが共同代表を務めている。出場選手の顔ぶれも多彩で昨年は稲村亜美も顔負けのパワフル&セクシー始球式で話題になった“マッスル美女”キム・ジョンファも、『エンジェルス・ファイティング』のリングに立っている。

チェ・ホンマンは今年8月、この『エンジェルス・ファイティング』と契約した。会見ではなぜか多くのラウンドガールたちを従えてニンマリだったが、それもエンターテイナー気質がある彼なりの演出だったのだろう。

(参考記事:マッスル美女と格闘技界の意外な相性!? 韓国ラウンドガール事情)

チェ・ホンマンが日本で人気だった頃、情報雑誌のインタビュー取材や共通の知人と食事の席をともにしたことがあるが、気の優しい男でもある。

「私の周囲では難治病で苦しむ子供たちが多い。かろうじて生活する患者とその家族たちの力になりたいと思い、格闘家人生の最後の舞台としてこのリングを選んだ」と、真摯に決意を語ることも忘れなかったのも彼らしい。

ちなみに『エンジェルス・ファイティング』のリングでチェ・ホンマンが対峙したのは、日本の内田ノボル。元キックボクサーで、かつてチェ・ホンマンがK-1のリングに立っていた頃、内田もK-1に出場していた。ふたりは3ラウンドを戦い、判定勝ちでチェ・ホンマンが拳を上げている。

「私のファイトマネーは韓国と日本で闘病中の2人の子供の治療費として使われる。多くの子供たちを助けることができる、道しるべのような存在になりたい」と語っていたチェ・ホンマン。

今回の勝利を機に、お騒がせ男が“善行のコリアン・モンスター”と呼ばれるようになることを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事