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日本球界を沸かせた“あの選手”の息子も!! 稲葉ジャパン初陣の前に知っておきたい韓国代表の状況

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国代表の新監督になったソン・ドンヨル(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

本日11月16日から19日まで、東京ドームで開催される『ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017』。今年から新設されたこの大会では、日本、韓国、台湾の3カ国が対決する。

今夜の開幕戦で日本が対戦するのは、韓国だ。日本にとっては、2015年11月の『プレミア12』で大逆転負けを喫した相手でもあり、この試合はある意味リベンジマッチとも言えるかもしれない。今大会が初陣となる稲葉篤紀監督も、当時の試合には打撃コーチを務めていただけに、なおさら力が入る一戦になることだろう。

韓国代表を指揮しているのは、現役時代には中日でクローザーとして活躍したソン・ドンヨルである。

現役時代は韓国プロ野球史上もっとも優れた投手と言われ、引退後は監督としてサムスン・ライオンズを2度の韓国シリーズ優勝に導いた英雄は、今年7月、KBO(韓国野球委員会)で「専任監督制度」が導入されて初めて代表監督に就任した。

東京五輪までの約3年間を託されており、この大会がソン・ドンヨル監督体制の初陣となることから、韓国にとってもこの日韓戦は重要な試合となる。

それだけに気になるのは今大会の韓国代表の実力だが、「U-24または入団3年目以内」が出場条件となっている中、韓国は唯一、オーバーエイジ枠を使わなかった。

(参考記事:「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」韓国代表選手名鑑【投手編】

この決断には、日本と台湾と比べ戦力が落ちるとの懸念の声も上がっているが、ソン・ドンヨル監督は、自信たっぷりにこう語っている。

「最高の若手選手、有望選手たちを中心に選出したと自負しています。日本と台湾がオーバーエイジ枠を使っており、実力が高いことも事実だが、我々はこれから先に控えているアジア大会とプレミア12、東京五輪を見据えて選手を選抜しました。十分に期待してください」

実際、若き韓国代表には、実績のある選手が少なくない。

例えば、サムスン・ライオンズの看板打者のク・ジャウクだ。189cmの長身を生かしたスイングで17年シーズンには21本塁打を記録。ファンからは“リトル・イ・スンヨプ”のニックネームを授かっている強打者である。

また、2014年に50盗塁を記録して韓国プロ野球最優秀新人賞を受賞したパク・ミンウ(NCダイノス)、17年シーズンに20盗塁を記録したナ・ギョンミン(ロッテ・ジャイアンツ)など走力に長けた選手が多いのも韓国の特長だ。ソン・ドンヨル監督も「チームの一番の武器は機動力」と考えている。

(参考記事:「2017アジアプロ野球チャンピオンシップ」韓国代表選手名鑑【捕手・野手編】)

もっとも、日本がもっとも警戒すべきなのは、ネクセン・ヒーローズのイ・ジョンフだろう。彼の父は、かつて中日でもプレーし、“風の息子”と呼ばれ韓国プロ野球界で大活躍したイ・ジョンボム。

今季は打率0.324、47打点、111得点を記録し、新人王にも輝いた高卒ルーキーだ。彼については韓国メディア『SPOTV NEWS』も、「代表チームのヒット商品を選ぶとすれば、真っ先にイ・ジョンフが挙げられる」と評価している。

韓国球界の英雄的存在が新進気鋭の若手たちを率いて日本に乗り込む。かの国の野球ファンたちも“新生・韓国”に大きな期待を寄せており、関心も高い。KBOはプロ野球界でアイドル並みの人気を誇るチアリーダーを日本に派遣し、応援団も公募していたほどだ。

(参考記事:【画像あり】セクシー美女ぞろい!! 韓国メディアが選ぶ2017年版“韓国チアリーダーBEST10”

韓国のテレビ中継には、今年現役を引退したイ・スンヨプも解説として出演するらしい。韓国も今日の日韓戦には関心を寄せているわけだ。

どちらが勝つにせよ、その結果には日韓両国の野球ファンたちの間で大きな注目を集めることは間違いなさそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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