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「黄金比率のヨガ女神」韓国で話題の“謎のヨガ美女”イ・ユジュとは誰か!?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真提供:イ・ユジュ LEE YU JOO)

今や日本でもすっかり定着したヨガ人気。女性だけでなく、男性たちの間でもヨガ愛好者が増えている。サッカー日本代表の長友佑都もコンディショニング管理の一環としてヨガを取り入れており、『ヨガ友』なる書籍を発表したことなども有名な話だ。

韓国でもヨガ人気は高まっている。韓国では約200万人のヨガ人口がいるとされており、企業や自治体がヨガ・イベントを開くことも少なくない。

そんなヨガ・ブームの中で注目を集めている職業が、韓国で“ヨガ・カンサ(講師)”と呼ばれる職業だ。韓国でヨガ・インストラクターの資格を持つ者は1万人に達すると推定されており、実力もあってルックスも良いインストラクターたちは人気者となり、メディアが美人ヨガ講師を紹介するほどである。

そんな美貌と実力を兼備した“スター講師”たちの中でも、特に注目を集めているのがイ・ユジュさんだ。

現在アシュタンガヨガのインストラクターとして活動中の彼女は、1990年生まれの27歳。2015年に出演したテレビCMをきっかけに世間に名を知られて以降、“美女ヨガ講師”としてさまざまな活動を行っている。

しかも、27歳にして自身のスタジオを持つ若手実力派だ。155cmの小柄な身長にもかかわらず「黄金比率のヨガ女神」と騒がれ、その柔軟ボディとポーズはヨガ愛好者だけではなく、一般の人々からも憧れの眼差しを浴びているほどだ。

そんなイ・ユジュさんの素顔と韓国のヨガ人気の盛り上がりを聞くために、ソウル市内に位置する彼女のスタジオ『YOGAUM』を訪ねた。

―韓国は今、空前のヨガ・ブームと聞きます。イ・ユジュさんがヨガを始めたきっかけは何でしたか?

「実は、17歳の頃から20代前半までバリスタとして働いていました。仕事はすごく楽しかったし、ずっと続けたいと思っていたのですが、職業柄、長時間立ちっぱなしになることが多くて…。常に体が緊張した状態になって、ストレスも溜まっていきました。

それで何か運動をしなければいけないなと思ったとき、頭に浮かんだのはジムに通うこととヨガしかなかった。黙々と1人でトレーニングをするジムよりも、たくさんの人と一緒にレッスンを受けるヨガのほうが長続きするだろうという単純な理由だったんですよ」

―“奇跡のDカップ女神ボディ”と呼ばれるユ・スンオクさんのような マッスル美女になる可能性もあったわけですね。それが今は立派な、それも人気インストラクターとして活躍されています。なぜ、仕事としてヨガの道に進もうと思ったのですか?

「ヨガを始めた頃は、より健康な体でバリスタの仕事をするのが目的でした。ところが、仕事を終えてヨガ教室に行くと、そこにはまったく違う世界があったんです。

ヨガをしているだけで、ありのままの自分でいられるというか、自分がこの地球上に確かに存在していることを感じられて、とても穏やかな気持ちになれました。

指導してくれたインストラクターもすごく温和な方で、“私も先生のようになりたい”という気持ちもありましたね。そんなある日、インストラクター育成コースの募集を見かけて、ヨガを学びながら、もう一度、自分の将来のことを考えたいと思いました。それが職業として、ヨガの世界へ踏み出したわけです」

―ヨガといっても、いろんな種類がありますよね。ご本人がやってらっしゃるアシュタンガヨガはどんな特徴がありますか?

「アシュタンガヨガは、マニュアルのようにポーズの順番がおおよそ決まっています。順番を覚えてその通りに練習すればいいので、とてもシンプル。ただ、躍動的なポーズが多く、筋力と柔軟性のバランスが取れていないと、怪我をする場合もあります。

ですから私は、受講生のレベルに応じて難しいポーズを省いたりしますね。人はみんな違う体型をしているので、同じ方法で同じポーズができるとは限りません。授業中はそういった危険性を知らせ、基本を守ることに重きを置いています」

―ヨガは体だけでなく、精神的にも影響を与えると聞きました。

「よく“無を感じる”ことがヨガだと言いますが、私はまだその境地には達していません。ただ、少しでも雑念を振り払い、自然体の自分を見つけられることがヨガの魅力ではないでしょうか。

私はヨガを通じて、自分自身はもちろん、自分を取り巻く自然環境をより良くしたいと思うようになりました。なるべく肉食を減らして、エコではないものを使わないように気をつけています。

もちろん完璧に守ることは難しいですが、そういう習慣が付いたことで日常の些細なことに対する感謝の気持ちが大きくなったように思います」

―それにしても昔に比べて、ソウルにヨガスタジオが増えましたよね。静的なヨガは、 “パルリ(早く)、パルリ(早く)”が口癖でせっかちな韓国の国民性とは、ともすると似合わないような気もしますが、韓国でヨガが人気を集めている理由はなんでしょうか。

「やはり心身の健康を求める人が増えていることではないでしょうか。私が運営するヨガ・スタジオは住宅街に位置していて、主婦や母娘といった女性が受講生の約9割を占めていたのですが、最近は男性の受講者も多くなっています。

学生やサラリーマン、公務員に中年のお父さん世代など、さまざまです。忙しない日常の中で、ヨガに癒しや人生の落ち着きを求めている方々が増えているのだと感じますね。

地道にヨガを続けると、健康に役立つことは誰もが知っている事実。もちろん途中で諦める方もいますが、ヨガをやり始めたときに正しい指導を受けた方は長続きする傾向がありますね。

また、韓国人は流行に敏感で、人気芸能人のように影響力を持つ人がヨガをやっていると分かると、すぐブームになったりするんです。そういったことも関係しているかもしれません」

―まさに今、歌手のイ・ヒョリさんがヨガのインフルエンサーになっていますよね。イ・ヒョリさんは男性はもちろん、同性からも支持が高い韓国の“セクシー・シンボル”でしたが、ヨガを楽しむ彼女のライフ・スタイルが韓国でも話題になったと聞きます。

「ええ。それも人々がヨガという存在を知る、ひとつのきっかけになると思います。

今のところ、人々がヨガに求めるものは“心身の健康”が大きいですが、個人的にはいつか自分の肉体が自然に戻るときのことをしながらヨガに向き合ってほしいと感じます。まあ、そういう考えが一般に広まるにはまだまだ時間が必要でしょうね。

それにしても、最近は以前よりヨガの受講生のレベルが高まって、難しいポーズなどもたくさん紹介されています。韓国のインストラクターたちも研究を重ねて怪我の対策などを知らせるなどしており、韓国のヨガ・レベルが全体的に高まっている状況ですね」

(つづく)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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