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社会人に中高生まで。韓国で今、なぜか“美容整形”の予約が殺到しているワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソウル市内にある美容整形病院の広告看板(著者撮影)

韓国では本日9月30日から10月9日まで、日本でいうところのお盆にあたる「秋夕」(チュソク)に入る。

例年は秋夕当日(今年は10月4日)とその前後日の3日間が連休となるが、今年は振替休日や祝日、土日が見事に組み合わさって、大型連休となった。これほど連休が長く続いたケースは、初めてともいわれている。

故郷に帰省したり、海外旅行に出かけたりして過ごす人々が多いようで、旅行会社やデパートなどでは売り上げ競争がスタートしている。

そんななか韓国ならではといえる「特需」が生じている業界もある。美容整形外科だ。

女優やアイドルも整形告白…より身近に!?

周知の通り、韓国は美容整形大国で、今では整形は決して特別なことではない。

かつては整形を告白する芸能人はほとんどいなかったが、近年は「美貌を保つ秘訣はエステと整形」と堂々と公表する女優やタレントも増えているほどだ。

(参考記事:大物女優やアイドルも大胆公表!! 整形告白した韓国芸能界のスターたち

「秋夕連休特需に美容整形外科業界はうれしい悲鳴を上げている」と報じた『聨合ニュース』によると、この連休中の整形手術は予約が殺到しているという。

「連休期間の手術の予約が多くて、今週頭には相談を打ち切らなければならない」「どの病院も同じだと思うが、秋夕連休は手術で埋まっている状態」などと、美容整形外科関係者は口を揃えているそうだ。

普段まとまった休みが取れない社会人にとって、秋夕の連休は手術を受けられる絶好のチャンスだろう。

連休初日に手術を受けてゆっくり回復を待てば、連休明けには何もなかったように出勤できる。今年は特に連休が長いため、なおさらだ。

社会人だけではなく、最近は女子中高生たちの整形が急増しているらしい。それも何かと賛否が多い人気オーディション番組『アイドル学校』の影響か。この連休を利用して整形する女子中高生も少なくないことだろう。

副作用を考えず、話題作りに利用するアイドルも

ただ需要が多い分、トラブルも多い。

前出の記事でも「患者を誘引しようと術後の話をでっち上げて宣伝したり、値段を下げて不必要な手術を勧めたりするケースがあるだけに、注意が必要だと専門家らはアドバイスしている」と指摘していた。

実際、ヤブ医者が運営する整形外科で頬骨整形手術を受けたというある女性は、副作用で体重が27キロにまで激減したというのだから恐ろしい。

さらに今年5月には、韓国の女芸人カン・ユミがユーチューブに「整形して変わった10のこと」と題した動画を公開し、ちょっとした波紋も呼んだ。

(参考記事:赤裸々告白!! 韓国の女芸人が語る「整形して変わった“10のこと”」

こういった副作用の問題は完全にゼロにすることはできないため、リスクもあるわけだが、それでも整形したいという人が後を絶たないからこその「特需」なのだろう。

それどころか、話題作りと人気獲得のために韓国のとあるガールズグループが「美容整形」に挑んだ過程を公開したりしているのだから驚かざるを得ない。

(参考記事:過熱競争の果てが生み出した韓国ガールズアイドルの「美容整形ビフォー&アフター」

平然と整形を告白する者が増え、より身近な存在になっている韓国の整形事情。今年の秋夕休みは過去にないほど長いだけに、例年以上に連休明けに顔を変わった人が増えているかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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