欧州各国の“不参加ドミノ”だけじゃない。平昌五輪が解決に苦しむ最重要課題とは?
開幕まで140日を切った韓国・平昌五輪に、新たな懸念が浮上している。緊張高まる北朝鮮情勢を理由に、フランスやオーストリア、ドイツといった欧州各国が参加辞退の可能性を示唆したのだ。
フランスに続き、オーストリアやドイツも
報道によれば、オーストリアのオリンピック委員会会長は「(北朝鮮情勢の)状況が悪化し、自国選手団の安全が保障されなくなった場合、我々は韓国には行かない」と語ったという。ドイツは「より控えめな立場を表明」(『AFPBB News』)したそうだが、韓国としては看過できない事態だろう。
フランスのスポーツ相はこれに先立つ9月21日、「状況が悪化し、安全が確保できなければ、フランス選手団はここにとどまる」と述べていたが、韓国文化体育観光部が同23日にフランス政府に確認したところ、正式に参加することを伝えたという。
それでも韓国メディアを見ると、スウェーデンのスポーツ長官も「一部国家が(平昌)五輪の参加を考慮していること自体がとても心配だ」と話していたともあり、予断は許さない状況だ。
“不参加ドミノ”のニュースは当然ながら、韓国でも話題になっている。報道に触れた韓国ネット民たちからは、「本当に北朝鮮は役に立たない」「北朝鮮は何も良いことをしないな」といった声が少なくない。
問題は“不参加ドミノ”だけではなかった
ただ朝鮮半島の緊迫以前に、そもそも平昌五輪自体にも問題があるという指摘も尽きないのが現状でもある。
例えば、開閉会式の会場として作られた新スタジアムだ。
最近、現地を取材したスポーツライターの大島裕史氏の取材によると、今現在も「3万5000席のうち大半は仮設」だという。
(参考記事:五輪開幕が近づく平昌に行く~国民性ゆえの過剰投資も…平昌は今、工事中)
実際にチケットも売れていない。平昌冬季オリンピック組織委員会によれば、9月20日までに売れたチケットは27万枚。これはチケット販売目標である107万枚の25%に過ぎない数字であるという。
しかも、すでに売れたチケット27万枚のうち、17万枚余りが海外で売れたもので、韓国国内の販売量は10万枚にも届いていないという。
韓国国籍を取得した選手を多く投入して強化に勤しんでいるアイスホッケー男子決勝などは、1枚90万ウォン(約9万円)と高騰しているが、韓国で人気のない種目はそれこそまったく売れていない。
(参考記事:平昌五輪のために外国人の国籍取得を続々と許可せざるを得ない韓国の実情)
パラリンピックはさらにひどい状況で、9月12日までに361枚と、目標である22万枚の0.2%も売れていないというのだから、つくづく心配になってくる。
高梨沙羅や本田真凜に注目するも…
韓国国内で平昌五輪への期待値が上がらないのは、スター不足も原因のひとつだろう。
冬季五輪の人気種目スキージャンプも、韓国は国内唯一の女子ジャンパーであるパク・ギュリムが史上初めて冬季五輪の出場権を獲得しているもののメダルは期待できそうにない。そのせいか日本の高梨沙羅に対して、妬みとも対抗心ともとれる悪態をついているのが現状だ。
(参考記事:対抗心か妬みか。韓国が高梨沙羅に対して悪態をついているワケ)
長らく活躍していたキム・ヨナが引退したことで、女子フィギュア界にも、これといったスターがいない。
とある韓国メディアは日本の本田真凜を「親韓派」とべた褒めしていたが、キム・ヨナの後継者探しに躍起になっている韓国フィギュア界を盛り上げたい思惑もあったのかもしれない。
いずれにしても、開幕まで140日を切った段階で新たな問題が浮上している平昌五輪。一日でも早く北朝鮮情勢の緊張が緩和され、平昌五輪自体の問題も解決されてほしいと願うばかりだ。