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開校100年の小学校の校章も変更に…エスカレートする韓国の“旭日旗アレルギー”への懸念

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

韓国は釜山(プサン)市の東来(トンレ)地区に位置するとある小学校の校章が、開校100年で変更になることが決まった。その学校とは明倫(ミョンリュン)初等学校で、以前から校章が「旭日旗に似ている」と非難されていたのだ。

小学校に破壊行為も…

同校の校章には、中央に丸い円が置かれていて外側に光が伸びていくような柄がある。韓国メディア『聨合ニュース』が伝えたところによれば、「日本軍国主義を象徴する旭日旗を連想させるという指摘が提起されてきた」という。

誰が、いつ、なぜこのデザインの校章を作ったのかは不明らしい。学校側は「明るく昇る太陽は、子供たちの面影を象徴している」と説明してきたそうだが、今年4月、学校の裏側の壁に描かれていた数十の校章が壊されたことで、校章の変更が急速に求められるようになったらしい。

校章が原因で小学校が破壊行為にさらされるとは、穏やかなことではない。学校が学生を対象にして実施したアンケート(1290人中1250人が参加)でも、80%が校章の変更に同意したことで今回の変更が決まったというが、筆者が一目見て「旭日旗」に似ているなと感じるほどではなかった。

確かに太陽が描かれているが、よくありがちな絵柄だ。これが不快に感じてしまうなら韓国で太陽のイラストを描くには慎重にならざるを得なくなる。

韓国の“旭日旗クレーム”に世界が困惑

というのも韓国における旭日旗の扱いは、ナチスのハーケンクロイツと似ているのだ。そういったこともドイツが世界一の嫌韓国家となる引き金になっているかもしれないが、韓国は旭日旗に対してあまりに神経質すぎるところがある。

例えば、先日もバーガーキングが韓国で発売開始したズワイガニワッパーの包装紙が「旭日旗を連想させる」というクレームがあった。

白い包装紙に描かれた赤いカニの本体が太陽に、カニの足が光線に見えるという主張だった。

そればかりかフランスのファッション展示会、映画『ベイマックス』などなど、旭日旗を連想させるとしてクレームをつけた事例は枚挙に暇がないほどだ。

(参考記事:狙いは日本だけではない!! グローバル化する韓国の“旭日旗クレーム”に世界が困惑

勝手な思い込み=“認知バイアス”も影響か

少しでも旭日旗を連想させるようなデザイン、模様、形があれば、激しいクレームが飛び交うわけだが、韓国における“旭日旗アレルギー”で気になるのは、「連想させる」という言葉だ。

実際に今回『聨合ニュース』が報じた記事のタイトルにも「“旭日旗を連想”釜山明倫初の校章、開校100年ぶりに変わる」と、「連想」という文字が並んでいる。

まったく意図がなかったとしても「旭日旗と連想」されただけで叩かれてしまう実状があるわけだ。勝手な思い込み、つまり“認知バイアス”があるとしかいいようがない。

(参考記事:韓国人の90%以上が該当…自分の考えや感情を正当化する“認知バイアス”の怪

今年のサッカーACLの水原三星vs川崎フロンターレの試合で川崎のサポーター2人がスタンドで旭日旗を掲げたときも、水原側はこの行為についてAFC派遣の監査官に報告した上で、サポーターが掲げた旗を没収。試合後には、水原サポーターが川崎側観客席に押し寄せる騒ぎが起きている。

アジア・サッカー連盟(AFC)は韓国側の主張になぞり、「政治的な差別の意図」を理由に川崎の上訴を棄却していたが、議論を呼んだ。

ここまで激しく反発しているのは韓国だけ!?

こうした激しい反対姿勢やクレームを見る限り、韓国ほど旭日旗を問題視している国もないだろう。

事実、「バンコクが旭日旗に占領された」という主旨の記事が韓国メディアで掲載されて話題になったが、タイと韓国ではまったく印象が違うようなのだ。

(参考記事:「バンコクは旭日旗に占領された」…愛国心の強い韓国人大学生がタイで受けた“衝撃”とは

そうした中で起こった今回の校章変更騒動。歴史のある小学校の校章まで旭日旗を連想させるとして変更されるというニュースは、なんとも後味が悪い。韓国のこういった世論が今後、変わることはあるのだろうかと心配にもなってくる。

韓国の人々が抱く旭日旗に対するネガティブな感情は否定はしない。ただ、明らかな難癖に思えるような“旭日旗クレーム”が多すぎるのだ。それに、韓国が世界各地で過度な“旭日旗クレーム”を展開していくことは、結果的には韓国のイメージを悪化させることにもなるような気がしてならない。

真に歴史認識の共有を求めるなら、一方的かつ感情的なクレームばかりを続けることを韓国側も是正していかなければならないと思うのだが…。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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