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話題の美ボディ祭典『マッスルマニア』が韓国で人気定着している秘密とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
大会の様子(写真提供:SPOMAX/MUSCLE MANIA KOREA)

近頃、日本ではカラダを鍛えている女性が急増している。

SNSには“腹筋女子”とハッシュタグを付けて投稿する女性が増えており、女優の中村アンらを指導するAYAさんもカリスマトレーナーとして脚光を浴びているが、お隣・韓国では“マッスル・ブーム”が巻き起こっている。

“奇跡のDカップ女神ボディ”が誕生した大会

韓国では現在、ソウルはもちろん全国津々浦々で様々なマッスル大会が開かれており、10年前には年間70大会程度に過ぎなかったという大会数は、現在150以上に上ると言われているほどなのだ。

特に“マッスル美女”に関する注目度は高く、韓国メディアは「マッスル・クイーン ベスト10」といった独自のランキングを発表したこともあった。

こうした空前のマッスル・ブームに火をつけたのが、『マッスルマニア』である。

『マッスルマニア』とは、1991年からアメリカで始まり、ボディビル&フィットネスで鍛えた肉体美を競う大会のこと。韓国では“奇跡のDカップ女神ボディ”と呼ばれるユ・スンオクが2011年に東洋人として初めてトップ5入賞を果たしたことで知られるようになった。

(参考記事:写真17連発!! ドレスの上からでもくっきり…ユ・スンオクの“女神ボディ”

この大会からは、韓国の人気オーディション番組『プロデュース101』でフィットネス・トレーナーを務めた“脱アジア級美ボディ”レイヤンをはじめ、数々のフィットネス・タレントたちが誕生している。まさに韓国における“マッスル美女”の登竜門とも言える大会なのだ。

“ハリウッド・ボディ”を目指す

ただ、それだけに気になるのは、なぜこの大会が韓国でそれほどの影響力を及ぼしているのかということだろう。その真相を探るため、『マッスルマニア』韓国大会を主催している株式会社SPOMAXのキム・グンボン代表を訪ねた。

「そもそも『マッスルマニア』を韓国で開催するようになったのは2009年からでした。当時から弊社は国内のボディビル大会の後援を行っていたのですが、アメリカで行われた『マッスルマニア』を見て、韓国でも開催しようと決めました。

“この大会は、これから韓国のトレンドをリードしていく大会だ”と直感したんです。

アメリカから輸入した大会を推し進めることは、ほかの国内大会に反旗をひるがえすも同然の行為でしたが、それでも私は可能性を信じて『マッスルマニア』の発展に力を入れてきました」

 それほどの魅力を感じたということだが、数あるマッスル大会と『マッスルマニア』との違いはどこにあるのだろうか。

「『マッスルマニア』の特徴は一言で、“ハリウッド・ボディ”を目指していることだと言えます。テレビや映画に出演しても見栄えが良く、皆が見たいと思う肉体を目標にしているのです。審査基準においても、全体的なボディバランスや顔のビジュアルを重視しています」

 実際、“モデル”部門や“ミス・ビキニ”部門という競技種目があることからも、その理念は伝わってくる。

(参考記事:【写真と動画で解説】韓国美ボディの祭典「マッスルマニア」を楽しむ方法)

現在では多くの国内大会が『マッスルマニア』の形式を踏襲しているというから、キム代表の決断は間違っていなかったと言えるだろう。

“マッスル美女”は熟知している

もっとも、韓国でマッスル人気を高めた直接的なきっかけは、ユ・スンオクやレイヤンをはじめとした大会の出場者の活躍にあったのも事実だ。

最近、初創刊された『PLAY BOY KOREA』で韓国版初のプレイメイトも務めたイ・ヨンファも、今年の『マッスルマニア』で彗星のように登場したが、キム代表は「彼女たちとの出会いは偶然ではない」と断言する。

取材中のキム・グンボン代表
取材中のキム・グンボン代表

「この仕事を続けていると、ボディビル大会に出場する選手はほとんど自然と知ることになりますし、あちこちからさまざまな選手の情報が寄せられます。実際にトレーニングを見に行くこともあります。ただ大会を運営しているだけでなく、我々も情報を集め、選手と一緒に大会を育てていると言ってもいいでしょう」

韓国で『マッスルマニア』というブランドを自ら育て上げてきただけに、キム代表は選手一人ひとりについても詳しく、それぞれのアピールポイントも熟知している。

例えば、今年“大胆開脚始球式”でも話題を集めたチェ・ソルファについては、「バレエを専攻していたため、指先から足先まで繊細な魅力があります。ボディラインの美しさはトップクラスです」と評価する。

(参考記事:写真20連発!! “大胆開脚”で視線をかっさらったチェ・ソルファの美セクシー始球式

『マッスルマニア』には800人もの出場者が集うこともあるというが、運営側が選手の育成にも力を注いできたことも、大会が成功した一因だと言えるだろう。

ただ、キム代表によれば、韓国で『マッスルマニア』や“マッスル美女”といったコンテンツが受け入れられた背景には、人々の認識に変化があったのだという。

次回はマッスル・ブームと韓国社会との関係について迫りたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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