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マッスル美女に魅惑の後ろ姿美人まで…韓国ではなぜ「ミスコン」が多いのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国予選を経てミス・インターナショナルなど国際大会にも出場できることも魅力らしい(写真:ロイター/アフロ)

夏を迎えて各地でさまざまなイベントが行われていると思う。最近は「ゆかた美人コンテスト」や「水着コンテスト」なども開かれていると聞くが、韓国でもそれは変わらない。

先月7月29日にも江原道(カンウォンド)のナクサンビーチで『ミス・ビキニコリア』なる大会が行われたという。韓国最高のビキニ美人を決める大会で、上位入賞者は来年3月にメキシコで開催予定の『ミス・ツーリズム ユニバース』に出場できるということもあって、会場はかなりの盛り上がりだったようだ。

(参考記事:韓国最高の“ビキニ美女”を選抜する「ミス・ビキニコリア」の開演!!)

最近はマッスル美女コンテストまで!!

それにしても改めて思うのは、韓国の“ミスコン”好きだ。

韓国を代表するミス・コンテストと言えば、『ミス・コリア選抜大会』が日本でも有名だが、これ以外にも『ミス・ユニバース』『ミス・ワールド』『ミス・インターナショナル』『ミス・アース』といった世界の4大ミス・コンテストの韓国大会は毎年かならず行われている。

近年は“マッスル美女”ブームもあって、大小さまざまなマッスル大会が開かれている。『マッスル・マニア』『NABAA WFFコリアグランプリ』『WBFFコリア・チャンピオンシップ』など数えたらキリがないほとだ。

(参考記事:写真20連発!! 今年のマッスル美女は誰だ? 韓国で行われたマッスル大会の熱い現場を見よ!)

この夏も、地方都市などで大小さまざまなマッスル・コンテストが開かれており、6月には『2017 WORLD FITSTAR KOREA』というコンテストが開かれ、女子高生のハン・ジユンさんが史上最年少入賞を果たしたことで話題になった。

ハン・ジユンさんはガールズアイドルとして芸能活動をしていた時期もあり、日本のファンもいるらしく、彼女のインスタグラムには日本語での祝福メッセ―ジも寄せられているというのだから、韓国の美女コンテストの認知度の広さを感じずにはいらない。

女優や女子アナなど“有名人への登竜門”

では、韓国ではいつから美人コンテストが開かれてきたのか。

韓国初の美人コテンストは1949年に月刊誌『新太陽』が主催した“ミス大韓”だったと言われている。当時は応募者たちの写真を徳寿宮(トッスグン)に飾って市民たちによる投票で行われた美人コンテストだったという。

それから1年後の1950年には『全国春香(チュニャン)選抜大会』なるものが開催された。

韓国の代表的な古典小説『春香伝』に登場する美女・春香(チュニャン)を彷彿させる美女を探せという趣旨で始まった『全国春香選抜大会』は、1957年から始まる『ミス・コリア選抜大会』と双璧をなす“韓国美女コンテストの代名詞”として現在も行なわれている。

コ・ヒョンジョンなどミス・コリア出身芸能人たちが多いのに対し、『全国春香選抜大会』の受賞者たちは伝統的に、KBSやMBCなどテレビ局のアナウンサーなどに転身して人気を博すケースが多いのが特長かもしれない。近年、韓国で話題のスポーツ女子アナ“三大将”にもミス春香出身だ。

こうした例でもわかる通り、韓国では美人コンテストが“有名人になるための登竜門”になっている。以前、韓国の知人もこんなことを言っていた。

「韓国には本当にたくさんのミス・コンテストがある。これほど多い国も世界では珍しいでしょう。ただ、それは裏返せば女性の地位がまだまだ低いから。女性が社会的に成功したり出世するためにもっとも早い近道は、有名スターになることであって、そのためにはミス・コンテスト出場がもっとも手っ取り早い。その流れはこれからも避けられないのでは?」

今だ根強い外見至上主義と女性たちの社会進出欲が絡み合って、美女コンテストが“雨後のタケノコ”のように乱立されているという主張だが、興味深いのはその外見を競い方が多様になっていることだ。

後ろ姿美人を競う『ミス・セクシーバックコンテスト』

象徴的なのが本日8月5日にソウルのKBSアリーナで行われる『ミス・セクシーバックコンテスト決勝大会』だろう。

今年で4回目を迎える同コンテストは文字通り、“後ろ姿美人”を競うコンテスト。「健康な後ろ姿美人を探せ!!」というスローガンのもと、グラマラスで美しい脚線美と適度なボリュームと弾力があるヒップラインを持つ美女を公募してナンバーワンを決めようというものだ。

それもその競い合い方が独特でもある。黒いショートパンツにヘソ出しビキニ・スタイルでヒップラインを強調するところまではわかるが、顔には怪しい金のマスクをつけることが義務付けているのだ。

(参考記事:出演者一挙公開!! 韓国最高の後ろ姿美人決める『ミス・セクシーバック・コリア』開催。今年の優勝者は!)

主催者側によると、「顔がわかると審査のピントがズレてしまう。あくまでも後ろ姿のセクシーさを競うコンテストであるがための処置」だという。

また、多くの美人コンテストには年齢制限などがあるが、『ミス・セクシーバックコンテスト』は年齢不問だ。

6月6日から韓国の各地で行われた地域大会には、モデルやフィットネストレーナーだけではなく、教師、塾講師、看護師、チアリーダー、主婦に大学生など、さまざまな職種の女性たちが参加したという。

その中から厳選された24名のファイナリストたちが、本日行われる決勝大会で韓国ナンバーワンの“後ろ姿美人”の座を競うという。

ちなみに今年の『ミス・セクシーバックコンテスト』には、3000人近い応募があったそうという。自薦他薦は問わない完全公募式で、年齢も身長・体重も既婚・独身の区分もなしに応募できる手軽さもあるのだろうが、その数の多さには驚かずにはいられない。

美女コンテストが行われるたびに「女性という性を商品化している」との指摘も上がるが、それでも参加者たちが絶えない現実が韓国にはあるわけだ。

日本では「美人は3日で飽きる」と言われるが、韓国は「美人はしかめっ面でも美しい」という格言があるお国柄。こういったところにも、韓国の美女コンテスト好きの理由があるのかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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