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イ・ボミが1位じゃない? 日本でもっとも優勝している韓国人女子ゴルファーは誰か

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イ・ボミ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今日から始まる国内女子ゴルフツアーの『サマンサタバサガールズコレクション・レディーストーナメント』。従来のトーナメントとは一線画するさまざまなエンターテインメント要素が盛り込まれた大会として知られているが、今年は韓国でも注目度が高い。

といっても、その華やかに関心が集まっているわけではない。有名タレントがプレゼンターを務めたりスペシャルゲストを務めることはしばしばあるし、『サマンサタバサ・レディース』の目玉でもあるランウェイほどではないが、韓国でもKLPGAアワードでは女子プロたちの華やかなドレス姿でレッドカーペットを歩く“ランウェイ”が披露されて話題になるのだ。

むしろ韓国メディアが注目と期待を寄せるのは、『サマンサタバサ・レディース』で更新されそうな数字にある。スポーツメディア『SPOTV NEWS』などは、「韓国女子ゴルファーたち、サマンサタバサ・レディースで201回目の日本征服に挑戦」と報じているほどだ。

201回目という数字には、それなりに意味がある。というのも、先週の『ニッポムハム・レディース』をイ・ミンヨンが制したことで、日本ツアーでの韓国人選手の勝利数が通算200勝になったのだ。韓国メディアは『サマンサタバサ・レディース』でその更新を早くも期待しているわけだ。

そもそも韓国の女子プロが日本で初勝利を挙げたのは、1985年に『紀文レディース』で優勝した故ク・オッキが初めてだった。

韓国女子ゴルフをテーマにした拙著『イ・ボミはライバルか? 女王たちの素顔』で当時のことを紹介しているが、選手としてその瞬間を見守り現在はKLPGA首席副会長を務めるカン・チュンジャ氏は言っていた。

「オッキが優勝したとき、私たち韓国人選手たちだけでなく、樋口久子さんをはじめ日本人プロたちもともに喜んでくださって、それが嬉しくありがたかった。韓国ゴルフ界にとって大きな自信になりましたし、韓国も頑張れば日本のように女子ゴルフを活性化できると思えた瞬間でした」

以降、韓国女子プロたちは日本で勝ち星を積み重ねていき、先週の『ニッポンハム・レディース』で通算200勝を達成するわけだが、では、誰がどれだけ優勝しているのだろうか。

まず、故ク・オッキは通算23勝。現在も活躍するアン・ソンジュ(23勝)、李知姫(21勝)、申ジエ(15勝)なども二桁勝利しているが、近年、もっとも多くの勝ち星を積み重ねているのはイ・ボミだろう。2年連続賞金女王はすでに20勝を挙げている。

(参考記事:日本女子ゴルフ通算20勝を達成したイ・ボミの「歓喜」と「意義」とは?)

もっとも多いは2013年賞金女王の全美貞(25勝)。全美貞は昨年の『サマンサタバサ・レディース』も制していることもあって、「全美貞、最多勝更新と優勝合作201勝に挑戦」(『マニア・リポート』)と期待を寄せられているほどなのだ。

この全美貞だけではなく、今年はイ・ボミやアン・シネにも期待がかかる。

特にアン・シネは先週の『ニッポムハム・レディース』で13位に入るなど調子を上げてきているだけに「人気に続き成績まで…アン・シネ二兎を得るか」(『OSEN』)という記事も出回るようになった。韓国メディアも、アン・シネのファッションだけではなく日本での成績にも注目しているのだ。

(参考記事:話題の超絶セクシークイーン“アン・シネ旋風”。日本と韓国では何がどう違う?)

「優勝が不可能とは思っていない」と本人も日本ツアーへの手応えを口にするようなっただけに、『サマンサタバサ・レディース』ではひょっとするとひょっとするかもしれない。

それに『サマンサタバサガールズコレクショ』には韓国から新たな“美しき刺客”もやって来る。

その名はキム・ヘリム。今季のKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)ツアーですでに2勝を飾っている実力者だ。

これまでも『サマンサタバサガールズコレクション』には数多くの韓国人選手が招待されてきた。2012年には、当時、韓国で絶大な人気を誇った“フィールドの妖精”キム・ジャヨンが招待出場を果たしているし、昨年2015年には韓国女子ゴルフ史上最年少で国家代表にもなった “スーパー女子中学生”と呼ばれたユ・ヘランが招待出場しているが、キム・ヘリムはただ強いだけではない。

前出のイ・ボミやアン・シネも務め、実力と美の両方を兼ね備えた者だけが厳選して選ばれる“KLPGA広報モデル”にも選ばれている人気者だ。

「(日本ツアー本格進出については)まだ計画はないですが、挑戦したい気持ちはある。(『サマンサタバサレディス』に)行った後、考えてみなければいけないようです」と語っている逸材なだけに、今から注目しておくのも良いかもしれない。

(参考記事:キャラが渋滞気味の女子ゴルファー、キム・ヘリムの実力と素顔)

いずれにしても、『サマンサタバサガールズコレクション・レディーストーナメント』に出場するすべての韓国勢が通算201回目の優勝を虎視眈々と狙っていることに違はない。そんな韓国勢と日本の選手たち、特にサマンサタバサと所属契約やウェア契約を交わす“サマンサガールズ”たちとの競演が、今回の見どころかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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