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若い女性が二極化!? 過度なダイエットと整形トラブルが投影する韓国の“外見至上主義”

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソウル地下鉄構内の美容整形病院広告看板(著者撮影)

何かと“格差”が社会問題となっている韓国では、若い女性の肥満度にも二極化が生じているという。

ソウル峨山病院パク・ヘスン教授チームが1998~2012年に5回にかけて行った国民健康栄養調査の結果を、5月29日に発表した。19~39歳の若者1万9218人(男性8366人、女性1万852人)を対象にしたその調査では、肥満や生活習慣の変化推移が分析されている。

それによると、韓国では男女ともに肥満が増加しているという。男性は、1998年に実施した第1回調査の肥満率は2.3%だったが、第5回調査では6.6%に上昇。女性も1.9%から4.3%と肥満率が上がっているらしい。

韓国人女性は肥満率と低体重率が上昇!?

韓国の若者全体で肥満が増加しているというわけだが、興味深いのは、女性は肥満率が上昇する一方で、低体重率も上がっていることだ。

韓国人女性の低体重率は、8.8%から14%まで上昇。つまり、太った女性と痩せすぎの女性という二極化が見られるようになったわけだ。

なぜだろうか。パク教授は以下のように指摘している。

「現代社会では肥満女性に対する否定的な視線と差別が多いため、肥満ではないのに過度なダイエットをしようとする若い女性が多い。低体重は骨密度の減少、免疫力の低下など健康に害を与えるため、制度的な管理が必要だ」

昨今は“奇跡のDカップ女神ボディ”ユ・スンオクを筆頭にした「マッスル美女」が注目を集めて健康志向が高まっている韓国だが、ダイエットにまつわるトラブルは相も変わらず尽きていない。

ダイエットトラブル&整形手術

何よりも、ジム通いなどをせずに「楽をして痩せたい」「何かに頼りたい」という女性たちの心理を悪用したダイエット詐欺事件が多い。

「アイドルが使っている」という脂肪分解注射を使って、副作用が出た女性が続出したり、“痩せる漢方薬”と言って数十億ウォンの売上を上げていた漢方薬に致命的な心臓トラブルを起こす物質が含まれていた事件もあった。

(参考記事:詐欺に医療訴訟、死亡事件まで!! 韓国で絶えないダイエットトラブルの数々

彼女たちが過度なダイエットに走るのは、他人の目を気にしすぎる“外見至上主義”の傾向があるからだろう。そして韓国のその傾向は、「整形大国」という言葉に集約しているといえる。

『東亜日報』の「“顔の覇権主義、厳然たる現実”…求職者の半分が“就職整形を考慮したことがある”」という記事によると、10人中9人が「外見もスペック」と考えており、就職活動を成功させるために「整形手術を考えたことがある人」が58%に上ったという。

日本ではアイドルが整形を告白することは少ないが、韓国では美容整形に臨んだ過程を堂々と公開するガールズグループが登場しているほどだ。

(参考記事:過熱競争の果てが生み出した韓国ガールズアイドルの「美容整形ビフォー&アフター」

整形の副作用で体重27kgに…

特殊な例かもしれないが、整形の副作用で低体重になってしまった女性もいた。

整形手術後に痛みが生じたため、麻薬性鎮痛剤を服用するも効き目はほとんど表れず、今度はその副作用で、何かを食べるとすぐ吐いてしまうようになったそうだ。

彼女は体重が27kgまで減り、悲惨な現実をネット上で嘆いて話題になった。

(参考記事:【画像あり】恐ろしすぎる… 整形手術の副作用で体重が27kgになった韓国女性が話題

いずれにせよ、外見を重視するあまり過度なダイエットや整形手術に走る女性が多い韓国。一方で「整形よりも肉体改造」というトレンドも生まれているだけに、これ以上の二極化は避けてほしいものだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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