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除隊する東方神起ユンホに待ち受ける“もうひとつの兵役”とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
K-POP界の模範生は軍隊でも模範兵だった(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

韓国はもちろん、日本でも絶大な人気を誇るK-POP界のスーパーグループ東方神起。そのリーダーであるチョン・ユンホのファンたちの歓喜の悲鳴が聞こえてきそうな朝が来た。

本日4月20日、ユンホは韓国の成人男子の義務である兵役を無事に終えて除隊するのだ。

ユンホが人気絶頂の中で芸能活動を休止し、軍隊生活をスタートさせたのは2015年7月。兵役の中でも「二度と経験したくない厳しさ」とされる基礎軍事訓練で「最優秀訓練兵賞」を受賞したユンホは、陸軍第26機械化歩兵師団の軍楽隊に配属され、主に公演活動や慰問活動に努めてきた。

しかも、ただの軍楽隊ではない。2016年5月には陸軍の“特級戦士”としても表彰されている。“特級戦士”とは、射撃、体力、精神戦力、戦闘力などすべての科目において90点以上の成績を上げた優秀な兵士のみに与えられる資格で、まさに模範兵と言える。

現在、東方神起のチャンミン、SUPER JUNIORのシウォン、JYJのユチョンとジュンス、BIGBANGのT.O.Pなど多くの大物芸能人が兵役中だが、ユンホほどの表彰を受けてる者はいない。

(参考記事:あの韓国アイドルたちは今、軍隊でどう過ごしている?

ユンホはもともと人脈が広く慈善活動にも積極的な“正しき男”とされてきたが、軍隊生活でも模範的だったわけだ。

そんな彼が晴れて除隊の日を迎えるだけに、韓国メディアの注目度は高く、ユンホは本日、記者たちの前で会見も開くという。そこには韓国はもちろん、日本からも大勢のファンが駆け付けることが予想されている。まさに歓喜の除隊式となりそうなのだ。

ただ、その歓喜に水を差すわけではないが、今日の除隊式を最後にユンホの兵役が終わるわけではない。たしかに今回の除隊で現役兵としての務めは終わるが、これからは“予備役”になるのだ。

予備役を簡単に説明すると、普段は一般社会で普通の生活を送るが、戦争などの有事の際には軍に復帰しなければならない制度のこと。期間は約6〜8年間で予備役の間は、年に1度2泊3日の動員訓練に参加しなければならない。まさに“もうひとつの兵役”が続くと言ってもいいだろう。

韓国では予備役にある芸能人の動員訓練がしばしばニュースになる。普段は華やかなスポットライトを浴びる芸能人が、1年に一度は再び軍服に着替えて一般人たちと混じり、訓練を受けるだけにそれも当然かもしれない。

(参考記事:スターたちのリアル軍服姿にファン大興奮!! 芸能人も避けて通れない予備軍訓練

ユンホは今後、この予備役の身分になるわけが、前出した通り、「戦争などの有事になれば軍に復帰」しなければならない。

昨今、アメリカと北朝鮮の関係が緊迫して朝鮮半島はいつになく緊張状態にあるが、仮にその緊張の糸が切れて朝鮮半島で有事が起これば、ユンホもすぐに軍隊に復帰しなければならないのだ。

そうした最悪の事態が起きないことを願うばかりだが、ユンホが軍隊で過ごした2年間は今後、韓国芸能界でひとつの模範例となるだろう。というのも、近年、韓国では芸能人やスポーツ選手の兵役トラブルや優遇論が絶えず、芸能人やスポーツ選手だけを対象にした兵役ルールの改正が取り沙汰されている。

そんななかで現役兵として軍隊生活を送り、“模範兵”として表彰されながら、最後までその任を務めあげたユンホは、女性ファンはもちろん、男性たちからも“真の男”として賞賛されており、その株を一気に高めた。これまでK-POPアイドルの兵役問題は、とてつもなくセンシティブでナイーブな問題とされてきたが、ユンホによってそのイメージも大きく変わったと言えるだろう。

(参考記事:東方神起やJYJのメンバーも服務中!! 韓流アイドルと兵役のナイーブな関係

それだけに期待したくなるのは除隊後のユンホの今後である。約2年間のブランクを埋め吹き飛ばしてしまうような、精力的な芸能活動を期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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