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イ・ボミら先輩にも挑む!!韓国のスーパー女子高生と勝率10割の飛ばし屋が日本初参戦!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国のスーパー女子高生チェ・ヘジンもやって来る。(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

昨日5月5日から始まる女子ゴルフの『ワールドレディス選手権 サロンパスカップ』。国内女子ツアーのメジャー初戦だけに注目度は高い。サロンパスカップと言えば、昨年は韓国のチョン・インジが優勝した。日本ツアー初出場ながらいきなりメジャー大会を制した彼女はその後、昨年の全米女子オープンも制して今や世界から注目されるトッププロになった。現在はアメリカ女子ツアーに参戦中だ。

(関連資料:【2015】ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ

そのチョン・インジは今季からアメリカ女子ツアーに参戦中ということもあって今年のサロンパスカップには参加しないが、今年も韓国からさらなる刺客が日本にやって来ている。それもふたり。パク・ソンヒョンとチェ・ヘジンだ。

ふたりとも日本では耳慣れない名前かもしれないが、ともに韓国では有名選手だ。

まずはパク・ソンヒョン。彼女は今年のKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)広報モデルにも選ばれている。KLPGA広報モデルは過去にイ・ボミやキム・ハヌルはもちろん、今年4月の『ヤマハ』で注目を集めたユン・チェヨンも8年連続で選ばれるなど、美と実力を兼ね備えた選手だけが選出される言わば“KLPGAの顔”だが、パク・ソンヒョンは今年初めて選ばれた。

(参考記事:2016年の“KLPGA広報モデル”が決定、 実力と美を兼ね備えた注目選手は誰!?

その中でもパク・ソンヒョンは今、もっとも波に乗っている選手だ。昨季は韓国メジャー大会のひとつである『韓国女子プロオープン』でのプロ初優勝を含む国内3勝。今季は米国女子ツアーの『KEB・ハナバンク選手権』2位タイ、『キア・クラシック』4位タイ、『ANAインスピレーション』6位タイと、常にトップ10入りを果たしている。それどころか国内ツアーでは4月22〜24日に行なわれた『ネクセン・セント・ナイン・マスターズ』まで3戦3勝。国内ではまさに勝率100%という驚異の勝率を誇っているのだ。

韓国のゴルフ記者によると、彼女は今季開幕前から『2016年の韓国ゴルフ界を動かす10人』に選ばれており、同僚の女子プロたちによるアンケート「2016年にもっとも活躍しそうなプロ」1位にも輝いているという。なんでもそのドライバーの平均飛距離は国内1位らしく、そのパワーは男性プロも顔負けらしい。今回のサロンパスカップで日本ツアー初出場となるため、「優勝に対する欲はない。初めて経験する日本コースだから良い経験にしたい」と謙虚に語っていそうだが、昨年のチョン・インジのような快挙を狙っているに違いない。

(参考記事:男子プロ顔負けの飛距離と驚異の勝率!! 韓国女子ゴルフ界の新星パク・ソンヒョン

このパク・ソンヒョンも注目だが、個人的に注目しているのはチェ・ヘジンだ。昨年の韓国女子アマチュア選手権優勝者として今回のサロンパスカップ出場資格を得た彼女だが、驚くなかれ。彼女はまだ16歳。ゴルフ歴8年目にしかならないのだが、韓国メディアで報じれた経歴を見ると、凄い。

まだアマチュアながら、すでに韓国女子ツアーはもちろん、欧州女子ツアー、米国女子ツアーも経験済みで、今年2月の『ISPSハンダ ニュージーランド女子オープン』では、世界ランキング1位のリディア・コに2打差に迫る2位タイ(通算8アンダー)に入り、“ベストアマチュア”に選ばれているのだ。

しかも、よくよく調べてみると、2014年の仁川アジア競技大会では団体銀メダルを獲得している。2014年仁川アジア大会では、超新星にして女優キム・テヒに似ている風貌から“韓国ゴルフ界のキム・テヒ”と呼ばれるパク・キョルも出場し個人金メダルに輝いているが、まさにそのパク・キョルと双璧をなす実力者で、韓国では“スーパー女子高生ゴルファー”とも呼ばれているらしい。

(参考記事:若干16歳のスーパー女子高生ゴルファー、チェ・ヘジンは新たな”10代伝説”を作れるか

言わば“韓国版の勝みなみ”だが、韓国のスーパー女子高生ゴルファーと聞いて思い出すのは“ゴルフ神童”と呼ばれるキム・ヒョージュだろう。2012年の『サントリーレディスオープン』。当時はまだ女子高校生だったキム・ヒュージュは16歳332日という日本女子ツアー史上最年少優勝記録を大きく更新する(前記録は宮里藍の18歳101日)快挙を成し遂げた。チェ・ヘジンもキム・ヒョージュの再来の可能性を十分に秘めているのではないだろうか。

それにしても圧巻なのは韓国女子ゴルフ界の充実ぶりだ。前出したチョン・インジはパク・キョル、キム・ヒョージュやパク・チヨンなどについては以前にも紹介したが、とにかく群雄割拠(チェ・ヘジンは彼女たちよりもさらに若い1999年生まれ韓国だ)。女子プロゴルファーと言えば、イ・ボミやキム・ハヌルが有名だが、1988年生まれの彼女たちもウカウカできないほど、韓国女子プロゴルフ界は若手の台頭が目覚しい。

(参考記事:イ・ボミも気が抜けない!? 韓国ゴルフ美しき新世代がスゴい!!

ただ、イ・ボミやキム・ハヌルも後輩たちの台頭を黙って見ているつもりもないだろう。何しろふたりは韓国時代から親友であり好敵手。今季はイ・ボミが2勝、キム・ハヌルが1勝を上げている。先週の『サイバーエージェントレディス』では優勝こそ逃したが、キム・ハヌルは2位、イ・ボミは3位。賞金ランキンクでも目下、1位イ・ボミ、2位キム・ハヌルとしのぎを削りあっている間柄だ。サロンパスカップでもその火花を散らすはずだ。

(参考記事:日本で火花散らすイ・ボミとキム・ハヌルのゴルフ好敵手物語 ヤフーニュース個人 16/03/23

韓国からやって来るふたりの若き刺客と、日本で火花散らすふたりの“スマイル女王”。そんな韓国勢に待ったをかける日本人選手は誰か。女子ツアー今季初のメジャー大会となる『サロンパスカップ』はいつになく盛り上がりそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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