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スイスの無人地雷除去車GCS、1台で1日にサッカー場の広さの地雷除去:ウクライナにサービスセンター

佐藤仁学術研究員・著述家
(GCS提供)

キーウにサービスセンター開設

2023年11月にウクライナに地雷除去車「GCS-200」、「GCS-100」を提供しているスイスのGlobal Clearance Solutionsがウクライナの首都キーウにサービスセンターを開設したとウクライナのメディアUnited24が報じていた。United24によると1台のGCS-200で1日にサッカー場1つ分くらいの場所の地雷の除去ができる。

「GCS-200」、「GCS-100」のような大型のマシンは広い大草原などでの地雷除去には適している。だが、対人地雷が多く敷設されているような狭い道や脇道などには大きすぎて入り込んでいくことができない。「GCS-200」でも「GCS-100」も1日に地雷除去ができるのがサッカー場の広さである。他の無人地雷除去車も同じくらいの広さである。

サッカー場の広さ分の場所の地雷を除去できるのは、かなり広いと思うかもしれない。だがロシア軍はウクライナのあらゆる場所に対人地雷、対戦車地雷を敷設している。そのため「GCS-200」、「GCS-100」で地雷を除去していっても相当な日数がかかる。地雷除去の作業は基本的に太陽が出ている明るい昼間に行う。しかもウクライナ軍が地雷を除去しても、地雷は安価なので次から次へと敷設されてしまう。

▼無人地雷除去車を提供しているGCSがウクライナにサービスセンターを開設したことを伝えるウクライナのメディア

目立つので破壊されやすい無人地雷除去車

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ロシア軍は大量の対人地雷、戦車用の地雷をウクライナの最前線に設置している。ロシアは対人地雷の使用、生産、移譲などを禁止しているオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)に加盟していない。

多くのウクライナ兵や一般市民が対人地雷の犠牲になっている。地雷では殺害されることはほとんどないが、手足が吹っ飛んでしまう。また小型のおもちゃのようにも見える対人地雷は子供や一般市民が拾ってしまい、爆発したら手足が吹っ飛んでしまう大けがをすることになる。地雷の他にも不発弾や、迎撃されたが上空で爆発しないで墜落した「爆弾を搭載した神風ドローン」なども地上に散乱しており、それらも何も知らずに踏んだり触ったりしてしまうと爆発する危険性がある。

ウクライナ政府やウクライナ軍はスイスの無人地雷除去車「GCS-200」、「GCS-100」だけでなくチェコ製の「BOZENA5」など欧米諸国が軍事支援で提供してくれたり、ウクライナの農民自らが独自に開発したりした地雷除去用の無人車などで地雷原で地雷の除去をしている。しかし地雷除去車は足りていない。

対戦車地雷は戦車を撃破することを目的にしているので破壊力も強い。人間が対戦車地雷と知らずに触ってしまったら大爆発して死亡する可能性が高い。ロシア軍はウクライナに侵攻してから勝手に対人地雷、対戦車地雷を敷設しており、ウクライナ政府職員やウクライナ軍の兵士が地雷を探知したら丁寧に爆破して除去している。人間の兵士が地雷を探知して除去するのは大変な作業で危険を伴っている。

リモートで大量の地雷を除去できる無人地雷除去車は地雷を除去するのに最適なように見える。だが「GCS-200」、「GCS-100」のような大型の地雷除去車は稼働するときに大きな騒音を伴うデメリットがある。「無人地雷除去車」は鉄の塊やチェーンで草原の地雷を探知し、地雷を探知したら爆破して除去する。鉄の塊やチェーンが回るたびに、そして主に対戦車地雷を除去する際の爆発で大きな音がする。また地雷原で地雷除去をするために特にチェーンを大きく回転させている時には砂煙も上がるので上空の監視ドローンなどからも目立つ。「GCS-200」、「GCS-100」も大きな鉄の塊を回しながら地雷を除去しているので地雷除去作業をしているのがとても目立つ。

そのため、すぐにロシア軍に発見されて攻撃の標的にされてしまう。そして地雷原で破壊されてしまった無人地雷除去車を片付けるためには、周囲の地雷を除去してから地雷除去車を撤去しないと、地雷除去車を撤去するためのレッカー車やトラックが地雷で爆破されてしまう危険がある。今後、静音化できるようになったとしても上空の監視ドローンからは大きく目立ってしまうので攻撃の標的になりやすい。特に地雷除去車による地雷除去は広い草原など上空からも目立つような場所で行っているので、監視ドローンにすぐに探知されてしまう。

ロシア軍の攻撃の標的にされやすい無人地雷除去車だが、サービスセンターがウクライナ国内にあることによって完全に破壊されたら修復は簡単でないだろうが、故障修理などの対応は迅速になりうることが期待されている。

大型の無人地雷除去車は大量の地雷を除去するには適しているが、作業時には大きな音もするし、上空からも目立つのですぐにミサイルや攻撃ドローンの標的にされて破壊されやすい。リモート操作の無人機なので人間の兵士が攻撃時に命を落とすリスクはない。だが地雷除去車は破壊されたら草原に鉄の塊が残るので、地雷除去車自体の撤去作業にも相当な稼働とコストがかかる。それでも地雷は除去しないといけないし、人間の兵士や当局職員では時間もかかり危険性も伴うので、ロシア軍から破壊されるリスクも大きいが地雷除去車で作業を続けている。

対戦車地雷のように道路に置いてあり、上空からも目立って見える地雷はドローンで見つけてドローンから爆弾や手榴弾を投下して地雷ごと爆破している。だが多くの地雷は草原や茂みなど目立たないところに敷設されていて、兵士や一般市民が地雷とわからずに触れてしまい爆発している。

▼ウクライナで無人の地雷撤去作業を行う「GCS-200」

▼GCS-200

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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