Yahoo!ニュース

トルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」開発のバイカル社で操縦やメンテナンス訓練生の修了式

佐藤仁学術研究員・著述家
バイカル社の軍事ドローン訓練の修了式の様子(バイカル社提供)

トルコ、アゼルバイジャン、キルギスから96人が参加

ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃していた。現在ではウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」をほとんど使用していない。

ロシア軍侵攻直後には、トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献していた。ロシア軍侵攻直後は、ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞していた。

ウクライナ軍がトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を活用してロシア軍を多く攻撃している。そして爆破に成功するたびに上空からの動画をSNSで公開して世界中にアピールしていた。

トルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を製造しているバイカル社は2022年8月にウクライナにおいて軍事ドローン「バイラクタルTB2」の生産を行うと地元メディアに語っていたが、同社の工場がウクライナに設置されたかどうかは明らかにされていない。

トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいるが、バイカル社はその中でも代表的な企業である。バイカル社のCTOのバイラクタル氏はトルコのエルドアン大統領の娘と結婚しておりトルコでも有名。軍事ドローン「バイラクタルTB2」はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国など世界28か国に輸出している。アゼルバイジャンやカタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。

そんななか、バイカル社では同社が開発している軍事ドローンの操縦、メンテナンスを行うエンジニアなどの訓練を行っている。2023年4月にはバイカル社で96人のトルコ、アゼルバイジャン、キルギスから来ていた訓練生の修了式が行われていた。修了式のダイジェスト版をバイカル社が動画でも配信している。

▼バイカル社の軍事ドローン訓練の修了式の様子

高価で訓練が必要な大型軍事ドローンよりも誰もが使える小型民生品ドローンが主流のウクライナ最前線

バイカル社が開発、製造している軍事ドローンは「バイラクタルTB2」をはじめとして操縦やメンテナンスに訓練が必要なくらい高度な技術が要求される大型で高価な軍事ドローンばかりである。

「バイラクタルTB2」はウクライナでロシア軍の大型の軍事施設や艦隊などへの攻撃に大きな貢献をしていた。だが多くの「バイラクタルTB2」がロシア軍の地対空ミサイルなどにも迎撃されて破壊されていた。

現在のウクライナとロシアの紛争で使用されているのは、もともと監視・偵察用に製造された安価な小型の民生品ドローンに爆弾を搭載して投下したり、ドローンごと標的に突っ込んでいき爆発させるタイプが主流である。

そのような小型民生品ドローンは安価なので何台でも調達しやすいし、敵に探知されて破壊されても、いくらでも代替機がある。またドローンの操縦も少し練習すれば誰でもできるようになり、ロシア軍に爆弾投下したり、神風ドローンとしてロシア軍の標的に突っ込んでいっている。軍人やドローン専門のエンジニアや操縦士だけでなく、戦争前までは学生やサラリーマンだった人たちが小型民生品ドローンを操縦してロシア軍を攻撃している。

「バイラクタルTB2」のような大型の軍事ドローンは破壊力は強いが、大きくて目立つので迎撃もされやすい。大型なので開発にも時間がかかり高額で、さらに操縦やメンテナンスにも特殊技能が必要なので人件費もかかる。コストパフォーマンスは決して高くない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事