両軍による上空の「ドローンの落とし合い」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ紛争での軍事ドローンといえばトルコの軍事企業バイカル社の「バイラクタルTB2」によるロシア軍への攻撃が目立っている。だがウクライナ製の監視ドローン、攻撃ドローンの他、アメリカや欧州諸国からも軍事支援として監視ドローンや攻撃ドローンが提供されて実戦で使用されている。

ポーランドからはポーランド企業WBエレクトロニクスが開発した監視ドローン「FlyEye」と攻撃ドローン「WARMATE」がウクライナ軍に提供されている。攻撃ドローン「WARMATE」は標的を探知すると弾薬を搭載したドローンが突っ込んでいき爆発して標的を破壊する、いわゆる「神風ドローン」と呼ばれるタイプの攻撃ドローンである。両方とも同社が動画を公開している。

ロシア軍によって破壊された監視ドローン「FlyEye」と神風ドローン「WARMATE」の残骸の動画をウクライナ軍が公開していた。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害（ジャミング）してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル（soft kill）"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル（hard kill）"がある。爆弾などを搭載していない小型の監視・偵察ドローンならばジャミングで機能停止させる"ソフトキル"で迎撃できるが、中型から大型の攻撃ドローンの場合は対空機関砲や重機関銃のような"ハードキル"で上空で爆破するのが効果的である。

ウクライナ軍もロシア軍の監視ドローンや攻撃ドローンを破壊したり機能停止している。両軍による徹底的な上空の「ドローンの落とし合い」になっている。監視ドローンは検知したらすぐに機能停止したり破壊しておく必要がある。監視ドローンで居場所を察知されてしまったら、すぐに大量のミサイルを撃ち込まれてしまい、おおくの死傷者が出る。また攻撃ドローンによる上空からの爆弾投下や、弾薬を積んだ「神風ドローン」が突っ込んでくることも殺傷力があり被害が大きい。とにかく上空のドローンを察知したら、すぐに機能停止したり破壊しておく必要がある。

そのため監視ドローンも攻撃ドローンも両軍で不足している。機能停止して落下するだけでは、地上で拾われて部品が再利用されてしまうので破壊しておいた方が効果的だ。ロシア軍が使用している監視ドローン「Orlan-10」はもはや生産が追い付かないのか部品の再利用を行って使用している。ウクライナ政府も世界中にドローンだけでなく、あらゆる兵器の提供を呼びかけている。

▼ポーランド製神風ドローン「WARMATE」

▼ポーランド製監視ドローン「FlyEye」