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ウクライナ軍 英国からの携帯式防空ミサイルでロシア軍の偵察ドローン撃墜「英国に感謝。もっと兵器を」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「ウクライナ軍はもっと兵器を必要としています」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンが監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ロシア軍はロシア製の「KUB-BLA」で攻撃を行っており、ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」やウクライナで開発した軍事ドローン「PD-1」でロシア軍の装甲車を上空から破壊している。ウクライナ軍による軍事ドローンでの上空からのロシア軍への攻撃はロシア軍にとっても大きなダメージとなっており、ロシア軍のウクライナ侵攻に大きな足かせとなっている。

そして、ウクライナ軍が英国が提供した携帯式防空ミサイルシステムでロシア軍の監視・偵察用ドローン「Orlan」を破壊したという動画がウクライナのSNSから発信されていた。「英国が提供してくれたスターストリークでロシア軍のドローンOrlanを破壊することに成功しました。ボリス・ジョンソン首相へ敬意を表します。英国、ありがとうございます!我々ウクライナ軍はもっと兵器を必要としています」と英国とジョンソン首相への謝辞とさらなる兵器の提供を訴えていた。また他のウクライナのSNSでは撃墜されたロシアのドローン「Orion」の破片も公開していた。

監視・偵察用、そして攻撃用と多くのドローンがウクライナ上空を飛行しているようだ。このように両軍ともにドローンを活用しているが、敵軍のドローンを上空でいち早く破壊したり、機能を停止させることが自軍にとって優位にもなり防衛と安全保障の観点からも重要になっている。

英国のジョンソン首相は2022年4月9日にウクライナのキーウを電撃訪問してゼレンスキー大統領と会談。ウクライナに対して財政・軍事面での追加支援を発表したばかりだった。ジョンソン首相は「ウクライナの人々は世界の新しい英雄です」と称賛していた。ゼレンスキー大統領は「イギリスの強力な支援がウクライナ軍の防衛力を強化してくれていることに感謝しています」と語っていた。

アメリカは攻撃用の軍事ドローンだけでなく、ドローン迎撃システムとしてFlex Forceの「Dronebuster」とIXIの「Dronekiller」をウクライナ軍に提供している。両方とも電磁波による妨害で上空のドローンの機能を停止して、地上に落下させることができる。民生品の監視・偵察用ドローンであれば、このような電磁波による機能停止、いわゆるソフトキルも可能だが、大型のドローンであれば上空で破壊する方が効果的である。

そしてドローンは戦車や戦闘機よりも開発と製造コストがはるかに安いので大量に生産できる。そのため、このようなドローン迎撃システムもいくらでも需要がある。

▼ウクライナ軍に破壊されたロシアのドローン「Orlan-10」

▼ウクライナ軍に破壊されたロシアのドローン「Orion」

▼ウクライナを電撃訪問したジョンソン英首相

提供:Ukrainian Presidential Press Service/ロイター/アフロ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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