「ホロコーストと同じ民族抹殺やヘイトスピーチが起きないためにも重要です」

英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにはホロコースト教育センターの調査によると、英国の学校ではホロコースト教育が行われているが、教える先生側がホロコーストについての十分な知識がないということを明らかにした。英国で1077人の教員に調査し、そのうち964人がホロコースト教育のクラスを教えている。

調査結果によると、英国の先生方でホロコースト教育を行っている人のうち、

・「ホロコーストがいつ、どこで始まったかわからない」

・「1933年にナチスドイツが誕生した時にドイツにユダヤ人が何人いたのか、わからない」

・「英国政府がユダヤ人に対して、どのような政策をとったのかわからない」

と多くの先生が回答していたとのこと。たしかに多くの先生がホロコーストの専門家ではなく、それ以外の授業も担当しているし、学校の庶務などで多忙であるためホロコーストの歴史の勉強まで手が回らないのだろう。

同大学のアンディー・パース助教授は「ホロコースト教育をきちんとすることは、現在と将来にわたって、ホロコーストと同じ民族抹殺やヘイトスピーチが起きないためにも重要です。ホロコーストに関するフェイク情報、ホロコースト否定論、ユダヤ人陰謀論などが蔓延してしまっているので、そのような間違った情報でなくて、正しい歴史を学校で教えていかないといけません」と語っていた。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのホロコースト教育センターでは「ホロコースト歴史教育」や「反ユダヤ主義学」「ホロコーストと文学」などに関する講義も提供しており筆者も受講したことがある。特に「反ユダヤ主義学」はユダヤ教の始まりから始まって、中世、近世、現代までの各国でのユダヤ人と反ユダヤ主義の状況が多岐にわたって網羅されており、とにかく難しかった思い出がある。

日本人にとってはほとんど馴染みがないかもしれないが、欧米では反ユダヤ主義が今でも蔓延っており、「ホロコーストなんて存在していなかった」というホロコースト否定論を支持する人も多く、その度にネットは炎上している。ホロコースト否定の発言はたいていSNSに投稿されることが多く、Facebookやツイッターはホロコースト否定論の投稿を禁止している。だが露骨なホロコースト否定の文言ではすぐに削除されてしまうので、隠語などで表現して仲間内にしかわからないような表現でホロコースト否定を語っていることも多い。

戦後70年以上が経過し、ホロコースト生存者は高齢化が進み、ホロコーストを体験した人たちは年々減少している。「ホロコーストは当時、実際にあった」と証言できる生存者らがいなくなると、「ホロコーストはなかった」という"ホロコースト否定論"が世界中に拡散されることによって「ホロコーストはなかった」という虚構がいつの間にか事実になってしまいかねない。いわゆる歴史修正主義だ。そのようなことにならないために、欧米やイスラエルでは多くの学校でホロコースト教育も導入されて、正しいホロコーストの歴史を後世に伝えようとしている。