イスラエル軍 ガザとの国境で弾薬や食糧、負傷者を運ぶ半自律型軍事ロボット「REX MK II」開発
既に導入されている半自律型ロボット「ジャガー」を補完し、水や食料品、負傷者の移送にも利用
イスラエル軍はガザとの国境警備に半自律型軍事ロボット「REX MK II」を配置することを明らかにした。この半自律型軍事ロボットはイスラエルの軍事企業のイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)が開発した。この半自律型ロボットは、監視だけでなく、弾薬を運んだり、水や食料品、さらに負傷者を載せて運ぶことも可能。
イスラエル軍はすでにガザとの国境には、同社が開発した半自律型軍事ロボットの「Jaguar(ジャガー)」を配置しているが、ジャガーは監視専用のロボットで、今回の「REX MK II」の導入によって、さらに警備も強化する。
「REX MK II」は基本的にはロボットが自律的に動いて監視や物品の輸送を行うが、人間が遠隔地でタブレットによって操作、コントロールすることも可能。銃も搭載されているので敵に対して砲撃もできる。敵軍に奪われた場合には、自動的に破壊される。そのため敵軍によって悪用されて、イスラエルに攻めてくるようなことはない。
同社のヨニ・ゲッジ氏は「この半自律型軍事ロボットは走行するたびに、様々なデータや情報を収集して、それらを元にさらに自律する機能が強化されていきます」と語っている。
国境警備は人間の軍人よりもロボットが適任
AI技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。ロボットは人間よりも3D業務(Dangerous:危険な、Dirty:汚い、Dull:退屈な)に優れている。疲れることもないし24時間稼働できるし、壊れたら代わりの軍事ロボットを持って来ればよい。特に国境警備は3D業務の典型であり、人間の軍人よりもロボットの方が適している。1日に24時間休むことなく働けるし、人間のように文句も言わない。壊れたら交換すればよい。
また無人の軍事ロボットやドローンを積極的に軍事分野で導入することによって、人間の軍人が戦場で死ぬリスクが低減される。そうなると、軍人の人間の安全保障は確保されるようになる。
一方で、戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。イスラエルやアメリカ、ロシアなどは反対していないので、このように積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。