コロナで夏休みが明けても1億4000万人が登校できず ユニセフが報告
世界規模での新型コロナウィルス感染拡大に伴うロックダウンや学校閉鎖も世界中の多くの国で行われていた。国連児童基金(ユニセフ)が発表したレポートによると、夏休みが明けても全世界で約1億4000万人の子供が初登校の日が延長になってしまった。そのうち800万人は1年以上対面授業を行っていない。
ユニセフのレポートによると、2020年のパンデミックで学校が閉鎖された結果、平均授業日数は79日のみだった。そして1億6800万人の子供にとって、ほぼ1年間、学校が閉鎖されたままとなっていた。現在でも世界規模でのパンデミックが止まっておらず、学校が閉鎖されたまま再開の見込みがないところもある。
学校が閉鎖でもオンライン学習も受けられない子供たち
日本でも新型コロナウィルス感染拡大によって2020年には多くの学校が休校になり、オンライン学習が導入された。小中学校は再開したが、大学では今でもオンライン学習が主流だ。日本だけでなく世界中で新型コロナウィルス感染拡大によって学校が閉鎖され、オンライン学習やリモート学習が導入されたが、特に途上国では自宅にネットの回線がない、パソコンだけでなく学習用のスマホやタブレットを所有していない、たとえスマホを所有していても長時間の授業を受けられるほどの通信費を払えない子供が多い。
ユニセフは、教員が生徒の学習損失を回復するために、デジタル技術を授業に取り入れるように支援することを表明しているが、そう簡単にはいってない。デジタル機器がないこと、仕事をしなくてはならないことなどの理由から、世界中の小学校の29%がリモート学習を受けられていない。
そのような子供たちはパンデミックで学校が閉鎖されてしまうと、教育を受ける機会はゼロになってしまい、また家計を助けるために働かざるをえない。特に女子は学校に行かないで家計を助けるためだけでなく、家族の世話をするためにも働くことが多い。さらに様々な犯罪に巻き込まれる可能性もある。そして学校が再開されても、授業についていけなかったり、仕事をやめるわけにいかずに学校をやめてしまうことも多い。また、たとえスマホやタブレットなど機器や回線のデジタルツールが整備され、リモート学習が可能な環境になったとしても、家では家族が多くて、狭くて自分の部屋もなくてオンライン学習で授業を受けられない子供も多い。
さらに授業は学校で受けるものという思い込みがあり「家にいるなら働いて家計を助けろ」とリモート学習に対する理解を示さない保護者への対応も必要になってくる。日本では考えられないだろうが「女子が学校に行く必要はない」「女子に教育は必要ない」と本気で今でも思っている人が多い。そのためデジタルツールの整備が完了しても、家でリモート学習ができない現在の環境と保護者のリモート学習への理解を得ることへの対応が重要になってくる。
▼コロナ感染拡大のため、ビーチで授業を行うスペインの学校