「ホロコースト教育と関係ない表現だ」といった抗議の声

第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。アンネ・フランクはユダヤ人だったために、ナチスからの迫害を逃れてオランダのアムステルダムの隠れ家で約2年間、身を潜めて生活していたが、密告されて1945年にベルゲン・ベルゼン強制収容所で病気で死亡した。アンネが隠れ家生活で思いを綴った日記を戦後、ホロコーストから生き延びた父オットー・フランクが「アンネの日記」として出版し、現在でも世界中で多くの人に読まれている。アンネ・フランクはホロコーストを象徴するような人物で、欧米やイスラエルではホロコースト教育が行われることが多く、小学生の必読書にもなっている。

そして「アンネの日記」には、アンネが隠れ家で性的な表現について書いた箇所があったが、本を出版する時に父のオットー・フランクがそのページの掲載をしなかった。だが2017年にアンネ・フランク財団は、アンネが綴った性的な表現の箇所を掲載している「アンネの日記」(The Diary Of a Young Girl)を出版した。

ブラジルのサンパウロの学校ではその性的な表現も描写されている「アンネの日記」をホロコースト教育に利用しているが、ブラジルの保護者たちから「ホロコースト教育の重要性は理解できるが、その部分は不要であり、ホロコースト教育には不適切だ」「ホロコースト教育と関係ない表現だ」といった抗議の声が上がっており、ネットでも炎上している。性的な表現といっても13歳の少女が隠れ家で日記に綴った「女性の裸を見るとドキドキしてしまう」といった内容である。

ホロコースト教育は反ユダヤ主義や民族憎悪、ヘイトスピーチに反対して、ホロコーストのような悲劇が二度と繰り返されないようにすることが目的であることから、たしかに「アンネの日記」での性的な表現はホロコースト教育の本質とは、ずれているかもしれない。だが、13歳の少女が当時思ったことを日記に書いているので「大騒ぎしすぎだ」「どこにでもいる普通の少女らしい」といった擁護する声も多い印象だ。

30年以上前に性的な表現が入っている「アンネの日記」(The Diary of Anne Frank: The Revised Critical Edition)が初めて出版されており、その版も世界中のいくつかの国や学校でのホロコースト教育で利用されていたが、当時はネットも普及してなく、現在のように炎上したり、大きな話題になることはなかった。