Yahoo!ニュース

イスラエル、ハマスからのミサイル&ドローンの攻撃にアイアンドームで迎撃

佐藤仁学術研究員・著述家
アイアンドームでの迎撃(写真:ロイター/アフロ)

上空からのロケット弾などの約9割を迎撃

イスラエルとハマスの軍事紛争で、お互いの激しい空爆が続いている。イスラエルもガザ地区への空爆を行っており、ハマスはイスラエルに対してロケット弾や「Shehab」と呼ばれるイラン製と思われる神風ドローンで攻撃と空爆を行っている。

イスラエルでハマスからのロケット弾や攻撃ドローンを迎撃しているのが、イスラエル軍の「アイアンドーム」と呼ばれるミサイル迎撃システムである。2011年に完成したアイアンドームはイスラエルの軍事企業が製造。5月10日から約3000発のハマスからのロケット弾や攻撃ドローンの9割を迎撃していると報じられている。またアイアンドームによって、これだけ多くのロケット弾やミサイルが迎撃されるのは初めてとのこと。実戦においてもアイアンドームの精度の高さを見せつけたようだ。

アイアンドームは地上にいる人たちや建物への攻撃を回避させダメージを最小化させることが目的。アイアンドームは上空のロケット弾やドローンをレーダーが察知すると、地上からミサイルが発射されて、地上の標的が攻撃されて大惨事になる前に、敵のロケット弾や攻撃ドローンを上空で爆破させる。

安全保障において重要な上空からの攻撃からの防衛

イスラエルとハマスの間では空爆による空中戦が続いている。ロケット弾だけでなく、「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれている攻撃ドローンも多く使われている。これは標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコやイスラエルの「神風ドローン」が紛争に活用されていた。「神風ドローン」の大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。

また、ドローンは製造コストも高くないので、大国でなくとも大量に購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人が傷つくリスクは低減されるので有益で、これからも様々な紛争で活用されてしまうだろう。そのため、上空からのロケット弾や攻撃ドローンからの防衛は国家の安全保障だけでなく、自国民の人間の安全保障においても不可欠である。

▼アイアンドームでの迎撃の仕組みを解説している動画

▼アイアンドームでの迎撃

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事